中国の石油産業 2014 年度の 10 大ニュース

更新日:2015/1/6
調査部:竹原 美佳
中国の石油産業 2014 年度の 10 大ニュース(短報)
(中国経済網1他)
中国石油企業協会が業界の専門家を集め、2014 年度の中国の石油産業における 10 大ニュースを選出
し、発表した。企業の活動と並びエネルギーの消費抑制政策や産業構造改革の進展など政府の活動や
政策が目立つ印象を受ける(産業統制強化のあらわれか)。露中天然ガス合意や油価下落の中国にお
けるプラスとマイナスの影響についての評価などが興味深い。概略は以下の通りである。
1.
国家エネルギー発展計画の始動
11 月 19 日、エネルギー発展戦略行動計画(2014 年~2020 年)が公表され、5 分野 20 項目の重点計
画が明確に。戦略方針は①節約(省エネルギー)の優先、②国内資源に立脚、③グリーン・低炭素エネ
ルギーの重視、④技術革新の四点。
註①:エネルギー発展戦略行動計画(2014 年~2020 年)
中国の国務院(内閣に相当)は 11 月 19 日、2020 年までのエネルギー発展戦略行動計画(2014-2020
年)に関する通知を公表した2。今年4 月9 日に張高麗副首相が主催した同計画に関する会議を受けまと
められたもの。6 月には原案が出来ていたが、公示は半年後以上遅れた。同計画は 2015 年までの 12 次
五カ年計画から 13 次五カ年計画(2016~2020 年)までのつなぎ(五カ年計画の産業、項目別目標は通
常開始年から数年遅れて発表される)という位置付けではないかと思われる。
2.
エネルギー生産・消費革命の提起
6 月 13 日、習近平中共中央総書記が主催した財経指導グループ会議において中国のエネルギー安
全保障戦略、エネルギーの生産と消費革命の推進が提示された。
註②:エネルギーの生産と消費革命の五点方針3
1.エネルギー消費革命の推進にあたり、合理的ではないエネルギー消費を抑制
2.エネルギー供給革命を推進するにあたり、供給の多角化を進める。
3.エネルギー技術革命を推進し、産業のアップグレードを図る
–1–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
4.エネルギー体制革命の推進にあたり、エネルギーが商品であることに立ち返り、競争性のある市場を
構築。またエネルギー価格の市場価格化を進め、政府のエネルギー管理方式を改め、エネルギーの法
治制度を確立する。
5.国際協力の強化と開放の下、エネルギーの安全を実現する。
3.
石油業界のクリーンエネルギーへの取り組み
LNG 受入基地の建設が進展した。Sinopec は全国 14 の省、市で地熱資源開発を実施している。
PetroChina は天然ガス販売が二桁成長を続けている。石油製品の低硫黄化が進展した。PetroChina は
国 4 ガソリン対応で累計 200 億元(約 33 億ドル)を投じ、Sinopec は石油製品の品質向上のために 10 年
で累計 2, 000 億元(約 333 億ドル)を投じた。
4.
国内・国際油価ともに下落
6 月以降国際原油価格が下落(107 ドル/バレルから 55.9 ドル/バレルにまで下がった)し、国内製品
価格も 10 期連続で下がった。油価の暴落は、世界経済の低迷や市場の需給バランスの崩れ、ドル高な
ど多様な要因により起きた。低油価は原油調達の多様化や市場化につながり、中国が進めるエネルギ
ー改革、とりわけ価格の市場化促進につながる。また企業の国外進出や石油備蓄構築に資する。しかし
国内の新エネルギーや石油・天然ガス探鉱開発事業は厳しい局面に立たされるだろう。
5.
中露が世紀の契約、総額 4000 億ドルにおよぶ天然ガスの契約を締結
5 月 21 日、中露は総額 4000 億ドルにおよぶ天然ガスの供給契約を締結した。10 年の交渉を経た世紀
の契約がついに決着した。これは両国の経済・貿易関係促進や人民への裨益にとどまらず、世界のエ
ネルギーフローの変化やエネルギー地政学のランドスケープの遷移をもたらす。
6.
中央アジア油ガスパイプラインはシルクロード経済ベルトの一助
9 月 13 日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで中央アジアパイプライン D 線のタジキスタン区間の起工
式が行われ、習主席とカリモフ大統領が参加。同パイプラインは全長 1,000km で新疆伊犂付近の烏恰
(Wuqa)から中国領内に入り、第 5 西気東輸パイプラインと接続する。9 月 7 日に習主席がナゼルバエフ
大学で講演した際、“シルクロード経済ベルト”を共に構築しようと提案し、“シルクロード経済ベルト”とい
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
う言葉が注目を集めるようになった。
7.石油企業の混合所有制改革が進展
9 月 12 日、Sinopec Corp の小売部門子会社中国石化販売有限公司は 25 社と第三者割当増資に伴う
株式(発行済株式の 29.99%にあたる総額 1070 億 9400 万元〈約 1 兆 8700 億円〉)の引き受けについて合
意した。混合所有制経済を体現している。
8.
南シナ海の探鉱で進展
海洋掘削装置「海洋石油 981」により南シナ海深海の陵水(Lingshui)17-2 ガス田で良好な成果を得た。
南シナ海の油ガス資源は豊富だが70%が深海にあり探鉱難易度が高い。陵水17-2ガス田の探鉱の進展
により宝の門が開いた。
9.
石油・天然ガスの探鉱成果
3 月 20 日に PetroChina は四川で安岳ガス田(技術的に開発可能な資源量は 10.9Tcf)を発見。8 月 30
日に CNOOC は「海洋石油 981」により陵水 17-2 ガス田で 56.5MMcf のガスを得た。7 月 18 日に国土資
源部は涪陵(Fuling)シェールガス田の原始埋蔵量を 3.77Tcf と認定した。12 月1 日に PetroChina の新疆
油田公司はジュンガル盆地西北辺縁で油田を発見した。
10.資源税、費用から税への改革
10 月 11 日に、中国財政部および国家税務総局は「原油と天然ガスの資源税関連政策に関する通知」
を公表した。12 月 1 日から石炭、原油、天然ガス、鉱物資源における鉱産資源補償費をゼロとし、原油と
天然ガスの資源税を 5%から 6%に引き上げた。石炭については従量税から従価税(税率 2~10%)に変更
した。資源税の改革は費用から税への一元化により企業の負担を軽減し、資源の合理的な開発を促進し、
産業の持続的な発展を図ることが目的である。
中国経済網 2015/1/4 他
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21 世紀経済報道 2014/11/28 他(国弁発[2014]31 号、2014 年 6 月 7 日、公示 11 月 19 日)
能源網 2014/6/16 他
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