ロシア情勢(2015年12月 モスクワ事務所)

更新日:2016/2/12
JOGMEC モスクワ事務所
木原 栄治/井戸 智子
公開可
ロシア情勢(2015 年 12 月 モスクワ事務所)
1.政治・経済情勢
(1)国内
・
12 月 3 日、プーチン大統領は、クレムリンで施政方針を示す年次教書演説を行った。冒頭、シリアに
おけるイスラム過激派組織「イスラム国」との戦いについて、ロシアにとっての危機は同国や CIS 諸国
からシリアなどに向かった戦闘員が故郷に戻りテロを実行することであり、それを阻止するために行
っていると説明し、国連の下で対テロ統一戦線を組むべきだと訴えた。ロシア軍機撃墜で対立するト
ルコについては、トルコ国民は善良で勤勉で古くからの友人であり、テロリストを支援する一部の政
権上層部とは違うとした上で、同国に対する追加の制裁措置を取る考えを示した。
経済に関しては、厳しい状況に直面したが、現在、工業生産高やルーブルの為替相場が安定化し、
インフレ率も低下、資本の国外流出も 2014 年度比でかなり縮小されたと強調した1。
≪上写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/50864/photos/42696 ≫
1
Kremlin.ru,2015/12/3
–1–
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
・
12 月 16 日、シルアノフ財務相は、「財務省が 2016 年に Rosneft の株式 19.5%を売却することによ
り、5,000~5,500 億ルーブルの歳入を確保することに期待をかけており、経済発展省が本案件に取
り組んでいる」と語った。一方、経済発展省のウリュカエフ大臣は、ルーブル建ての Rosneft の株価は
IPO 時よりも高くなっているとし、株式 19.5%の価値を 5,800 億ルーブル以上とみなしているとした。
・
12 月 17 日、2016 年度のロシア連邦予算が成立した。連邦予算法によれば、歳入が 13.738 兆ルー
ブル、歳出は 16.099 兆ルーブルで、財政赤字は、2.36 兆ルーブル、GDP 比にして3%としている。
1 バレル当たりの油価 50 米ドル、1 米ドル 63.3 ルーブルの前提で、インフレ率は 6.4%の予測。予
算は 2009 年以降 3 年編成であったが、2016 年は単年編成となっている2。
・
12 月 17 日、プーチン大統領は年末恒例の記者会見を開き、国内外の報道機関からの広範囲にわ
たる質問に回答した。経済については「ロシアの経済危機は最悪期を越した」とした。2016 年度の予
算に関しては、1 バレル当たり 50 米ドルで編成されているため、38 米ドルまで下落した今、見直しが
必要になると述べた3。
(2)対外関係
①EU
・
12 月 21 日、欧州連合(EU)理事会は、ロシアに対する EU の経済制裁を 2016 年 7 月 31 日まで延
長した。1 回目の延長で、同制裁措置の適用は 2016 年 1 月 31 日までとされたが、2015 年 12 月 31
日までにミンスク合意が完全履行されないことから、制裁期間は、理事会がその実施の進捗状況を
評価する間、延長された。制裁措置は 2014 年 9 月に強化され、ロシアとの金融・エネルギー・防衛
部門および軍民両用物品分野での特定の取引を対象としている4。
②米国
・
米財務省は22日、ウクライナ東部への軍事介入を理由に、ロシアやウクライナの34の個人、団体を
新たに制裁対象に追加したと発表。制裁により、米国内での資産凍結、金融取引が禁じられる。制裁
リストには、ウクライナの親ロシア派やロシアの対外取引銀行(VTB)などの銀行、および軍需企業
2
Rossiiskaya Gazeta,2015/12/17
3
Kremlin.ru,2015/12/17
4
Euinjapan,2015/12/21
–2–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
「カラシニコフ」に関連した企業・個人が含まれている5。
③ウクライナ
・
12 月 18 日、ヤツェニュク首相は、キエフで開催した政府会議でウクライナ債にモラトリアムを発動す
ることを明らかにした。ロシアが債務再編に応じないためとし、「我々の再編提案が受け入れられるか、
裁判所の決定が下るまで支払を凍結する」と表明。また、ウクライナの国営企業 2 社がロシアの銀行
から借り入れている約 5 億 700 万ドルについてもモラトリアムを適用すると語った。債務が未返済とな
った場合、ロシアはウクライナに対し、法的措置を取る方針。
・
12 月 22 日、メドヴェージェフ首相は、ウクライナとの自由貿易協定(FTA)を 2016 年 1 月 1 日から停
止する内容の政府決定に署名した。ウクライナと欧州連合(EU)がFTAを1月1日に発効させること
への対抗措置であり、ウクライナからの食品禁輸措置も導入する予定。さらに、12 月 20 日に償還期
限を過ぎた対ロシアのウクライナの 30 億米ドルの債務が未返済であるため、政府および財務省に司
法機関への提訴準備を進めるよう要請し、法廷闘争に乗り出す構えである6。
④中国
・
ロシア政府外国投資監督委員会は、中国石油株式有限公司(Sinopec)にシベリアウラル石油化学天
然ガス会社 Sibur の株式 20%を売却することを承認した。連邦独占局のアルテミエフ長官によると、
株式譲渡は 2 段階に分けて実施する予定。第 1 段階で、Sinopec はまず 10%を 13 億 3,800 万米ド
ルで取得し、3 年以内に残りの 10%を買収する権利を持つ。残りの 10%の株式価格は未確定。
Sinopec と Sibur は長年協力関係にあるが、中国向け LPG 販売等で競合関係にあるとのこと7。
・
12 月 17 日、北京を訪問中のメドヴェージェフ首相と李克強総理の共同立会いのもと、露中企業間で
各種協定・覚書が調印された。主な協定は以下の通り8。
【Gazprom と中国石油天然ガス集団公司(CNPC)】
 「シベリアの力」ガス P/L の露中越境ラインの設計と建設協定
5
Sputnik,2015/12/23
6
Rossiiskaya Gazeta,2015/12/22
7
Vedomosti,2015/12/14
8
Gazprom,Rosneft,Novatek Press release,2015/12/17
–3–
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 「シベリアの力」ガス P/L の露中越境ラインのコミュニケーションに係わる協定
 天然ガス発電所事業に関する共同作業計画
 ロシア極東から P/L による中国への天然ガス供給事業に関する作業計画
【GazpromNeft と CNPC】
 石油協力覚書(期間:3 年間、共同でロシア・中国・第 3 国における探鉱、生産、石油の精製、
販売での協力、探鉱・生産・精製機材調達に関する協力等)
【Rosneft と中国石油化工集団(China Petrochemical Corporation(SINOPEC グループ))】
 東シベリアにおけるガス・石油化学関連事業協力に関する覚書
【NOVATEK とシルクロード基金(SRF)】
 Yamal LNG 事業権益 9.9%の売却に関する法的拘束力のある協定
 SRF による期限 15 年間、総額約 7.3 億ユーロの融資に関する協定
⑤ インド
・
12 月 23 日から 2 日間の日程で、インドのモディ首相がロシアを公式訪問し、プーチン大統領と会
談を行った。戦略的パートナーシップの強化を確認し、インドにおけるロシア製原子力発電所の建
設の推進や先端兵器の共同開発などで合意した。石油プロジェクト関係では、ONGC Videsh と
Rosneft が東シベリアの Vankorneft における合弁事業の第一段階遂行に関する合意文書を締結し
た。両社は 2015 年 9 月にウラジオストク東方経済フォーラムの場で、Vankorneft の権益 15%の売買
契約に調印している9。
≪上写真出典:クレムリン HP: http://kremlin.ru/events/president/news/51008/photos/42959≫
9
Kremlin.ru,2015/12/24
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6.石油ガス産業情勢
(1)原油・石油製品輸出税
・
2015 年 12 月、原油輸出税は USD12.13/BBL に引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田
等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・
12 月の石油製品輸出税は USD42.4/t、ガソリンについては USD75.1/t に設定された。
<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
404.3
392.2
2014 年
平均
366.1
55.4
53.7
50.2
12.1
16.5
減税特典原油(USD/t)
減税特典原油(USD/BBL)
199.2
27.3
190.1
26.0
174.9
24.0
0
0
0
0
石油製品(USD/t)
内、ガソリン(USD/t)
266.8
363.8
258.8
353.0
242.0
330.0
42.4
75.1
57.7
92.7
輸出税
原油(USD/t)
原油(USD/BBL)
2012 年
平均
2013 年
平均
2015 年
12 月
88.4
2015 年
平均
120.3
(2)原油生産・輸出統計(エネルギー省 HP 情報)
・
12 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4578.2 万 t(約 3.3 億 BBL)で前年同月比 1.5%増。
・
12 月、原油輸出量は 1996.6 万 t(約 1.46 億 BBL)で前年同月比、22.2%増。
(3)天然ガス生産統計(1 月 11 日付 Interfax 報道)
・ 12月、天然ガス生産量は633.1億㎥(約2.3TCF)。
(4)2015年の石油・ガスの生産量、輸出量10
①石油生産量
・
燃料エネルギーコンプレクス中央指令局の発表によると、2015 年の原油・ガスコンデンセート生産量
は前年比 1.4%増の 5 億 3,408 万 1,000 トン(1,072 万 6,000b/d)であった。
会社別では、Rosneft:1 億 8,920 万 2,000 トン、Lukoil:8,565 万 4,000 トン、Surgutneftegas:6,162 万
10
Interfax,2016/01/02
–5–
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
2,000 トン、GazrpomNeft:3,432 万 6,000 トン、Tatneft:2,724 万 8,000 トン、Slavneft:1,547 万 5,000 ト
ン、Bashneft:1,991 万 9,000 トン、Russneft:738 万 7,000 トンの順。また、ロシアと外国企業の合弁企
業による 2015 年の原油・ガスコンデンセート生産量は 7,355 万 6,000 トンで、ロシア全体の 13.8%で
あった。生産分与協定(PSA)事業のオペレーターによる炭化水素生産量は 1,498 万 1,000 トンで、ロ
シア全体の 2.8%であった。
②石油輸出量
・
燃料エネルギーコンプレクス中央指令局によると、ロシアから外国への 2015 年の原油輸出量は前年
比 10.6%増の 2 億 2,026 万 7,000 トン(442 万 3,000b/d)。その内 Transneft の P/L 経由で外国に送
油された量は 2 億 1,081 万 3,000 トンで、外部から Transneft のシステムに流入した量は 230 万 3,000
トンであった。
 港別輸出量(Transneft の P/L 経由):Novorossiysk 港:約 2,207 万 2,000 トン、Primorsk 港:
4,507 万 1,000 トン、Kozmino 港:3,043 万 5,000 トン、Ust-Luga 港:1,758 万 7,000 トン。
 Transneft の輸送網を利用した会社別輸出量:Rosneft:9,747 万 7,000 トン、Lukoil:2,262 万
7,000 トン、Surgutneftegas:2,988 万 7,000 トン、GazpomNeft:785 万 1,000 トン、Tatneft:1,044
万 1,000 トン。垂直統合型石油会社の子会社以外の企業:1,338 万 5,000 トン。
 PSA 事業のオペレーターによる原油輸出量:150 万 5,000 トン。
 原油のトランジット輸送:カザフスタン:1,512 万 5,000 トン、アゼルバイジャン:127 万トン、トル
クメニスタン:73 万 900 トン、ベラルーシ:161 万 5,000 トン。
③ガス生産量
・
燃料エネルギーコンプレクス中央指令局によると、2015 年のガス生産量は対前年比1.0%減の 6,353
億 4,900 万㎥だった。CDU TEK は Gazprom 単体の 2015 年のガス生産量を発表していないが、
Gazprom の数字は 2015 年の「その他鉱物開発業者」の項目(4,691 億 2,900 万㎥)の主要部分であ
る。Novatek の 2015 年のガス生産量は 518 億 8,500 万㎥、PSA 事業者によるガス生産量は 266 億
7,500 万㎥であった。垂直統合型石油会社で最もガス生産量が多かったのは、Rosneft の 423 億 800
万㎥で、Lukoil:188 億 2,500 万㎥、GazpromNeft:125 億 2,700 万㎥、Surgutneftegas:95 億 5,700 万
㎥の順。
–6–
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7.ロシア石油ガス会社の主な動き
(1)ロスネフチ
・
12 月 20 日付 Vedomosti 紙は、インドの国営石油会社の Indian Oil Corp(IOC)と Oil India が TaasYuryakh Neftegazodobycha 社の株式 29%の取得に関する交渉を Rosneft との間で行っていると伝え
た。ロスネフチ内の複数の情報源も協議が事実であることを認め、「皆が株式の取得を希望している。
全ては価格次第である」と語った。
・
12 月 21 日付 IOD 紙によれば、Rosneft と米石油大手 ConocoPhillips は各々の事業ポートフォリオの
縮小計画に伴い、両社の合弁企業である Polar Lights(50%ずつ出資)のそれぞれの株式持ち分を
売却したとのこと。ConocoPhillips はこれにより、20 年以上にわたる対ロシア投資から完全撤退となっ
た。Rosneft は売却先と売却額の公表を控えているが、条件好都合であったと説明している。同紙は
ConocoPhilips の売却先も Rosneft と同じで、Rosneft の前社長 Khudainatov 氏とベラルーシのビジネ
スマン Khotin 氏と報じている。
・
Rosneft の 12 月 25 日付プレスリリースによると、プーチン大統領とインドのモディ首相との会談の後、
インドの石油会社(複)と以下の合意書を署名したとのこと。
【Rosneft と ONGC Videsh】
 Vankorneft を基盤とする JV の設立に向けた第一段階が成功したことを確認する合意書
今回の合意書は、Vankorneft の株式 15%の売買に関わる合意書、および株主間合意書(2015
年 9 月の署名)の延長線上にあるもの。両社は規制当局からの承認が下り次第、売買契約を完
了する方針
 ロシアの陸域・海域における炭化水素の地質調査、探鉱、および生産における協力に関す
る覚書
両社は東シベリアにおける Rosneft の事業でのパートナーシップの拡大の可能性についても検
討する予定
【Rosneft と Oil India および Indian Oil Corporation】
 ロシアの陸域での炭化水素の地質調査、探鉱、および生産における協力に関する覚書
同覚書は、3 社の長期にわたるパートナーシップの基礎となるもの。第一段階として、TaasYuryakh Neftegazodobycha 社の鉱床での協力の可能性を検討することで合意
–7–
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(2)NOVATEK
・
12 月 2 日付 Kommersant 紙によると、NOVATEK と Nefte Petroleum Limited(元ロシア連邦エネルギ
ー大臣のユスホフ氏の投資ファンド「Energiya」の傘下企業)の合弁企業である「YARGEO」が
Yarudeiskoye 鉱床での生産を開始したとのこと。同合弁企業は NOVATEK 傘下で石油生産に特化
した初めての企業。2016 年より年間 350 万トンの石油を生産する予定であり、その結果 NOVATEK
社の石油生産量は 40%増加することになる模様。同社のミヘリソン社長は「Yarudeiskoye 鉱床の商
業生産開始の結果、石油生産量は 2016 年も二桁の伸びを維持することが可能となり、フリーキャッシ
ュフローにも肯定的影響を及ぼすであろう」と語っている。
・
NOVATEK の 12 月 18 日付プレスリリースによると、Yamal LNG 事業で保有する権益のうち、9.9%
を中国のシルクロード基金(SRF)に売却することに関し法的に拘束力のある最終的な合意書に署名
したとのこと。当該取引は、露中の政府間合意書に修正を加えた後、完了となる。また、SRF が
NOVATEK に対し、Yamal LNG 事業へのプロジェクトファイナンスとして、期間 15 年、約 7 億 3,000
万ユーロの貸付を行うことで合意。
8.東シベリア・極東・サハリン情勢
(1)サハリン
・
12 月 17 日、現地報道によれば、サハリン2の LNG 拡張計画で、出資会社の三井物産、三菱商事、
Gazprpom および英蘭の Royal Dutch Shell は生産規模を拡張するための基本設計(FEED)にはいる
ことで合意したとのこと。生産規模を 1,500 万トンまで拡張する計画。
9.新規 LNG・P/L 事業
(1)「シベリアの力」ガス P/L
・
Gazprom は 12 月 17 日付プレスリリースで、ミレル社長の発言とし、「『東ルート』計画は順調である。
法的な側面は整備され、『シベリアの力』ガス P/L の建設はスケジュール通りに進められている。資
源基盤は拡大しつつあり、Amur GPP(ガス発電プラント)の建設も開始された。必要な施設は全て契
約要件に合うように完成する見込みだ」と発表した。「西ルート」による露中ガス供給に関する協議も
行われ、当初計画(年間送ガス能力 300 億㎥のガス P/L を 1 本敷設)について確認したとのこと。ま
た、2 本目の P/L の建設の見通し等について協議された模様。Commercial Negotiation は、2016 年
–8–
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1 月の第 4~5 週目に引き続き行うとのこと。
・
12 月 30 日、Gazprom が「シベリアの力」ガス P/L(計画送ガス能力:610 億㎥/年)の区間 822km を建
設を請け負う業者を決めるための入札を中止した。Gazprom の入札については、かねてより連邦反
独占局(FAS)が「ロットについての詳細説明が不適切である」「入札業者に要求する条件が過大であ
る」との理由で、応募できる業者の数が制限されていると批判しており、同局からの圧力があったとみ
られる。この入札の開催は 2015 年 11 月に発表があり、同年 12/11 に入札結果が出るはずだったが
(のちに 12/30 に延期)、12/30 に中止が決まった。中止の理由についての説明はない11。
(2) TAPI(Turkmenistan-Afghanistan-Pakistan-India)
・ 12 月 13 日、TAPIP/L の起工式が挙行され、Gurbanguly Berdimuhammadov 大統領、Ashraf Ghani
アフガニスタン大統領, Nawaz Sharif パキスタン首相、Mohammad Hamid Ansari インド副首相が式典
に
出席した。パイプラインの総延長は 1,814km でトルクメニスタン区間は 214km、アフガニスタン区間は
735km、パキスタン区間は約 800km で国境の Fazilka 村からインドに入る。アフガニスタン区間の工
期
は 3 年。輸送容量は 330 億 m3、ソースは Galkynysh ガス田、総コストは$100 億。政府合意は 2010
年
Ashgabat で調印。Turkmengaz(リーダー)、 Afghan Gas Corporation、 Pakistan’s “Inter State Gas
Systems (Private) Limited”, “GAIL (India) Limited”の 4 社で TAPI Ltd. Consortium が 2014 年 11 月
に
設立12。
以上
11
IOD,2015/12/30
12
Trend,2015/1213
–9–
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