更新日:2016/4/4 調査部:舩木弥和子 油価下落下でも石油会社参入が続くウルグアイ沖合の探鉱状況(短報) (Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas、Business Monitor International 他) 原油価格の低迷にも関わらず、2015 年末から、ExxonMobil と Statoil が相次いでウルグアイ沖合の鉱 区にファームインし注目を集めている。2016年第2四半期には両社がファームインした鉱区で、同国にと っては 40年ぶりとなる試掘が行なわれる予定である。この試掘井は水深3,411mとこれまで掘削された坑 井の中で最も深い水深での掘削となり、この点でも関心が高い。ウルグアイ政府は、第 3 次ライセンスラ ウンドの実施を計画しており、この試掘井の結果次第では、ウルグアイ沖合での探鉱がさらに活発になる 可能性もある。 ウルグアイ沖合では、Chevronが1976年にPunta del Este BasinのArea1でLobo-1号井(掘削長2,713 m)、Area2で Gaviotín-1号井(同3,631m)を掘削したり、国営石油会社Administración Nacional de Combustibles, Alcohol y Portland(ANCAP)が2006~2011年に地震探鉱を行ったりした以外は、ほとんど 探鉱が行われていなかった。しかし、2008年の第1次ライセンスラウンドでPetrobras/YPF/Galpコンソー シアムが、2012年の第2次ライセンスラウンドでBP、Total、BG、Tullowがウルグアイ沖合鉱区の権益を取 得、各鉱区で地震探鉱が行なわれるようになった。 これら10の鉱区のうち、Area4鉱区については、ShellがPetrobrasより権益40%を取得し、オペレーター となっていたが、2014年に政府に同鉱区を返還した。また、2015年8月には、BPが原油価格下落によりリ スクの低いプロジェクトを優先することとした結果、Area 11、12、6鉱区での探鉱を中止し、撤退すると発 表、同年10月に同鉱区を返還した。さらに、2016年1月にはYPFがArea3鉱区を返還、現在、ウルグアイ 沖合で探鉱が行なわれているのは、Area8、9、13、14、15の5鉱区のみとなっている。 しかし、これらの鉱区へのIOCの関心は高い。 なかでも、Area14鉱区については、第2次ライセンスラウンドでTotalが権益の100%を取得していたが、 2015年11月10日にExxonMobilが権益の35%を取得し、ファームインした。ExxonMobilは第2次ライセンス ラウンドで札を入れたものの落札できなかった企業の1社であり、以前からウルグアイ沖合への関心が高 かったものと考えられる。さらに、2016年2月1日にはStatoilが同鉱区の権益の15%を取得し、ファームイ –1– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ンした。 同鉱区では、Totalが2012年と2014年に3D地震探鉱を実施した。そして、2016年第2四半期には同鉱 区内の水深3,411mの海域で試掘井Raya1号井を掘削する計画である。水深3,411mでの掘削はこれまで で最も深い水深での掘削であり、掘削には約2億ドルが投じられるという。掘削長は7,000mとなる見通し だ。Totalは当初、2014年にこの試掘井の掘削を行う予定であったが、掘削開始は計画よりも2年遅れるこ ととなった。そのため、2012年10月に締結されたPS契約では、探鉱期間は2016年3月までとされていたが、 2016年1月に政府とTotalがこれを2017年9月まで延長した。 Area14鉱区に隣接するArea15鉱区についても、2013年5月にInpexが権益の30%を取得し、ファームイ ン、原油価格下落後の2016年2月15日にもStatoilが権益の35%を取得し、ファームインした。2012年10月 に締結されたPS契約では、同鉱区の探鉱期間は2015年12月までとされていたが、2017年6月まで延長さ れた。 Area8、9、13鉱区に関しても、権益100%を保有するBG(Shell)と政府が、当初のPS契約で定められた 探鉱期間2015年11月を2017年5月まで延長することで合意し、引き続き探鉱を行なっていく方針を示し た。 ウルグアイ政府は、2014下半期から2015年にかけて、第3次ライセンスラウンドを実施することを予定し ていた。しかし、原油価格が下落したため、これを延期している。現時点では、第3次ライセンスラウンド は、沖合の大陸棚から超大水深までの17鉱区を対象に行なわれるとされており、間もなく詳細が発表さ れるという。締結される契約は、第2次ライセンスラウンドで結ばれたPS契約に類似したものとなるが、深 海や超大水深の鉱区については大陸棚の鉱区よりもリスクが高いので、契約条件を有利なものとする計 画であるという。 Raya1号井の結果次第では、ライセンスラウンドに多くの企業が参加し、ウルグアイ沖合での探鉱がさ らに活発になる可能性もあり、動向が注目される。 –2– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ウルグアイ沖合鉱区保有状況 ラウ ンド 1 2 鉱区 Area3 オペレ ーター YPF Area4 Shell Area6 Area11 Area12 Area8 Area9 Area13 Area14 BP BG (Shell) Total Area15 Tullow 権益保有状況等 ( )内は権益保有比率 YPF (40%)、Petrobras (40%)、Galp Energía (20%)のコンソーシアムが権益 取得。ShellはPetrobrasより権益を取得するが、2013年3月撤退。YPF (80%)、Galp Energía (20%)は2016年1月に鉱区返還。 YPF (40%)、Petrobras (40%)、Galp Energía (20%) のコンソーシアムが権 益取得。ShellはPetrobrasより権益を取得、オペレーターとなるが、2014年に 鉱区返還。 BPが権益100%を保有。2012年10月に締結されたPS契約では、探鉱期間 は2015年12月までとされていたが、BPは2015年10月に同鉱区を政府に返 還。 BG(Shell)が権益100%を保有。2012年10月に締結されたPS契約では、探鉱 期間は2015年11月までとされていたが、2017年5月まで延長。 2015年11月10日にExxonMobilが権益35%を取得し、ファームイン。2016年2 月1日にStatoilが権益15%を取得し、ファームイン。オペレーターのTotalが 権益の50%を保有。2012年10月に締結されたPS契約では、探鉱期間は 2016年3月までとされていたが、2016年1月にこれを2017年9月まで延長。 2012年10月に締結されたPS契約では、探鉱期間は2015年12月までとされ ていたが、2017年6月まで延長。2013年5月にInpexが権益30%を取得し、フ ァームイン。2016年2月15日にStatoilが権益35%を取得し、ファームイン。オ ペレーターのTullowが権益の35%を保有。 (各種資料より作成) –3– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 第2次ライセンスラウンド後のウルグアイ沖合鉱区図 (各種資料より作成) 以 上 –4– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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