tmt’s math page 1 ハミルトン-ケーリーの定理 (Hamilton-Cally’s theorem) 「ハミルトン-ケーリーの定理」は「ケーリー-ハミルトンの定理」とも呼ばれるが、要するに 2 人の名前が冠された定理である。これは 2 次の正方行列を扱うときに重宝する定理で、2 次の正方 a b 行列を A = 、単位行列を E 、零行列を O とするとき c d A2 − (a + d)A + (ad − bc)E = O (1) が成り立つというものだ。 おいおい。こんなものなら自分にだって発見できるぞ。これで、後生に名が残るなんてうらやま しい限りだ。 一瞬そんな風に思えるほど、たしかに簡単な定理である。でも、本当はそうじゃない。ハミルト ン-ケーリーの定理は A を n 次正方行列, Φ(λ) = det(λE − A) をその固有多項式とするときΦ(A) = 0 . というものである。ちょっと見ただけでは何のことかさっぱりの定理だが、線型代数学では重要な 定理である。 ここで n = 2 とすれば、定理より 1 0 Φ(λ) = λ 0 1 − a b = c d λ−a −b −c λ−d = λ2 − (a + d)λ + (ad − bc) となるから、結局 Φ(A) = 0 であると言っている。Φ(A) は λ に A を代入することなので、めでた く (1) の関係ができあがるのだ。納得したかな? いくら何でも、ちょいと四則計算をしただけで定理を名乗れるほど、世の中は甘くない。そうそ うウマイ話しは転がっていないというこだ。
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