§4 105 分数冪微分と微分の対数 数や γ の知識は分数冪微積の研究に欠かせないが未解決問題も多い.特に γ は e や π 同様 整数係数の代数方程式の根にならない超越数と思われている が,未だに有理数か無理数かさえわかっていない.数学での重要な未解決問 題の一つである. 4 分数冪微分と微分の対数 1. 定義 1 a > 0 とする. I a f (x) = 1 Γ(a) x (x − t)a−1 f (t)dt (4.1) 0 を f (x) の(原点 0 からの)a 階の不定積分という. f (x) は x > 0 で定義され,そこで連続とする.x ≤ 0 の場合の定義は後で 述べる.また,c からの a 階不定積分 Ica f (x) = 1 Γ(a) x (x−t)a−1 f (t)dt c も定 義できるが,以下では使わない. 〔例〕 f (x) = xc であれば t = ux, 0 ≤ u ≤ 1, と変数変換して I a xc = 1 Γ(a) x (x − t)a−1 tc dt = 0 xa+c Γ(a) 1 (1 − u)a−1 uc du 0 となるから,c+1, a+c+1 が負の整数でなければ I a xc = Γ(c+1) a+c x Γ(a+c+1) (4.2) である. 命題 2 分数冪不定積分は関数の和と(複素) 数によるスカラー積に関して線 形で,次のことが成り立つ. 1. I a I b = I a+b : f が連続なら I a (I b f ) = I a+b f .
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