4 分数冪微分と微分の対数 - ODN

§4
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分数冪微分と微分の対数
数や γ の知識は分数冪微積の研究に欠かせないが未解決問題も多い.特に γ
は e や π 同様 整数係数の代数方程式の根にならない超越数と思われている
が,未だに有理数か無理数かさえわかっていない.数学での重要な未解決問
題の一つである.
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分数冪微分と微分の対数
1. 定義 1 a > 0 とする.
I a f (x) =
1
Γ(a)
x
(x − t)a−1 f (t)dt
(4.1)
0
を f (x) の(原点 0 からの)a 階の不定積分という.
f (x) は x > 0 で定義され,そこで連続とする.x ≤ 0 の場合の定義は後で
述べる.また,c からの a 階不定積分 Ica f (x) =
1
Γ(a)
x
(x−t)a−1 f (t)dt
c
も定
義できるが,以下では使わない.
〔例〕 f (x) = xc であれば t = ux, 0 ≤ u ≤ 1, と変数変換して
I a xc =
1
Γ(a)
x
(x − t)a−1 tc dt =
0
xa+c
Γ(a)
1
(1 − u)a−1 uc du
0
となるから,c+1, a+c+1 が負の整数でなければ
I a xc =
Γ(c+1) a+c
x
Γ(a+c+1)
(4.2)
である.
命題 2
分数冪不定積分は関数の和と(複素)
数によるスカラー積に関して線
形で,次のことが成り立つ.
1. I a I b = I a+b : f が連続なら I a (I b f ) = I a+b f .