演習問題5

線形代数学Ⅱ 演習問題 5
2014 年度後期
工学部 1 年
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
※レポートを提出したい人は、以下の注意点を守って提出して下さい。
(ⅰ) 必ず分かるところに学籍番号、学科、氏名を書いて下さい。
(ⅱ) A4 の紙を用いて、複数枚になる場合はホチキスや針無しステープラーで綴じて下さい。
(ⅲ) 提出期限は 2015 年 1/9 (金) の講義時 とします。
問題 5-1. (固有値と固有ベクトル)
以下の正方行列 A, B を考える。
(
A=
17
−10

3 4

B = 1 6
4 4
)
30
,
−18
このとき以下の設問に答えなさい。
(1) 正方行列 A, B の固有値、固有ベクトルを全て求めなさい。
(2) 正方行列 A, B を対角化しなさい。
(3) (2) の結果を用いて An , B n を計算しなさい。
問題 5-2. (行列の対角化の応用: 連立漸化式)
連立漸化式
{
an+1
bn+1
= 8an − 6bn
,
= 9an − 7bn

n−1
8 −6

を
を計算することにより解きなさい。
9 −7
1
{
a1
b1
= 1
= 1

−6

−6
−7
問題 5-3.∗ (ジョルダン標準形)
2 次正方行列
(
A=
)
6 −4
4 −2
について、以下の設問に答えなさい。
(1) 行列 A の固有値は唯一つ固有値を持つ。その固有値 λ を求めなさい。
(2) 固有値 λ に関する固有空間 Wλ の次元が 1 次元であることを証明しなさい*1 。また、固有空
間 Wλ の基底 (つまり固有ベクトル) v を一つ求めなさい。
(3) (A − λI2 )v ′ = v を満たすベクトル v ′ を一つ求めなさい (但し I2 は 2 次単位行列)。
(4) 2 次正方行列 P を P = (v v ′ ) で定める。このとき、P が正則であることを証明し、逆行列
P −1 を求めなさい。また、P −1 AP を計算しなさい。[特に P −1 AP がどのような形の行列に
なっているかを確認しよう。P −1 AP を A の ジョルダン標準形 Jordan canonical form と
呼びます。]
(5) 実数 α 及び自然数 n に対して
(
α
0
1
α
)n
(
=
αn
0
nαn−1
αn
)
が成り立つことを示しなさい。また、この結果を用いて An を計算しなさい。
[ヒント]
( )
( )
a
x
′
(4) v =
であったとすると、v =
は連立一次方程式
b
y
{
(6 − 2λ)x
4x
−
4y
+ (−2 − λ)y
= a
= b
の解に他ならない。したがって拡大係数行列
(
6 − 2λ
4
−4
−2 − λ
a
b
)
を行標準形に変形してゆけば良い。
(5) 例えば n = 2, 3, . . . のときに試しに計算してみれば、感覚はつかめる筈。
この手の自然数に関する証明問題をきちんと解く際には 数学的帰納法 が有効です。
*1
講義でも扱ったように、このことは A が対角化出来ない (!!!) ことを表しています。そんなときにも頑張ればある程
度「きれいな」形に変形出来る、というのがジョルダン標準形の理論です。
2