第46回 日本癌治療学会総会抄録号 示説05−15 座長三 木誓雄(三重大学) 大腸・肛門 Bevacizumab併用化学療法2 PSO5−15−1当科におけるbevacizumab併用化学療法の現況 秋山 聖子1、二井谷 友公2、奈良坂 俊明2、浅野 太郎2、蒲生 真紀夫2 みやぎ県南中核病院 消化器・腫瘍内科1、みやぎ県南中核病院 腫瘍内科2 【はじめに】2007年8月以降、当院でbevacizumab併用化学療法を施行した転移性大腸癌症例9例に関して効果、安全性を検 討した。【患者背景】年齢は53−76歳(平均61.5歳)、lst line4例、2nd line5例であり、転移部位は肝6例、肺2例、腹膜4例であっ た。【結果】投与コースは1−21コース(中央値10)であり、総計75コースに対して併用された化学療法はmFOLFOX64例30コー ス、FOLFIRI4例22コース、LV/5FU3例23コースであった。奏効率は333%、疾患進行抑制率は777%(CR O,PR3,SD4, PD2)、治療継続中の症例も含め、5症例は5ヶ月以上の無増悪期間を示した。副作用はG1の鼻出血2例、高血圧1例の他、消 化管穿孔を1例経験した。穿孔例は腸閉塞で発症した直腸癌、同時性肝転移症例であり、低位前方直腸切除・回腸痩造設術後、 mFOLFOX6を8コース、引き続くbevacizumab併用LV/5FUを施行4コース施行後に、直腸吻合部に穿孔を生じ、骨盤内腹 膜炎を併発した。軽快後の直腸内視鏡では、吻合部局所再発を認め、穿孔の背景因子であると推定された。【まとめ】穿孔例の 1例以外は、bevacizumab併用による副作用の増強を認めず、長期の進行抑制が期待できる効果を示した。 PSO5−15−2進行再発大腸癌に対するBevacizumabの治療経験 正村 裕紀、高橋 昌宏、中野 詩朗、赤羽 及川 太 弘充、柳田 尚之、花本 尊之、久慈 麻里子、北 健吾、 JA北海道厚生連旭川厚生病院 外科 進行再発大腸癌の予後は不良で延命のために様々な化学療法が開発されている。2007年6月に本邦でも分子標的治療薬Bevacizumabが使用可能となり、当科で2008年4 月までに4例の進行再発大腸癌に本療法を行ったのでその治療成績と有害事象につき報告する。 《患者背景》投与症例4例 Bev・FOLFIRll2例、Bev−FOLFOX6:2例。 男性:3例、女性:1例。平均年齢:67,3(53−75)才。 初回手術根治度 A:1例、C:3例。 病理組織 we11:2例、mod:1例、por:1例。 前治療数 1stline:2例、2nd linel1例、3rd line:工例。 標的臓器 肝14例、肺、リンパ節、腹膜播種1各1例。 《結果》総投与数1中央値3.5回(2−9回)。平均観察期間 3.3ヶ月(1−6ヶ月)。 効果ICR1例、PD1例。 有害事象:3例(75%)で認めた。内訳は食欲不振2例、倦怠感2例、蛋白尿1例、嘔気1例、吃逆1例であった。1症例でGrade3の嘔気、食欲不振、倦怠感を認め、投与を中止 し入院治療を要した。残りの3例は外来通院での治療が可能であった。 《まとめ》Bev−FOLFIRIIFOLFOX療法4例を経験した。比較的有害事象が少なく安全に治療可能であった。 PSO5−15−3mFOLFOX6施行後の神経毒性に対してsLV/5FU2+ベバシズマブを用いてPRを継続している進行 大腸癌の1例 五十嵐 淳、藤森 芳郎、望月 靖弘、篠原 北信総合病院 外科 剛、山岸 喜代文、西村 博行 症例は74歳女性。下腹部痛を主訴に近医受診しCF施行。下行結腸に全周性の腫瘍を認め生検にて高分化型腺癌と診断された。 精査にて左鎖骨上窩、左腋窩、傍大動脈リンパ節に多発するリンパ節腫大を認めた。悪性リンパ腫との鑑別目的に左鎖骨上窩 のリンパ節生検を施行し腺癌の診断を得たため大腸癌の多発リンパ節転移と診断した。イレウスの危険性がありまず腹腔鏡 補助下の下行結腸切除(D!郭清)を施行。その後FOLFIRIを開始。合計15コース施行したが一旦低下した腫瘍マーカーが再上 昇し理学所見やCTにて再度リンパ節腫大を認めたためmFOLFOX6を開始した。mFOLFOX6は著効し一度121ng/mlまで 上昇したCEAが5コース終了後には正常化し、画像上もPRとなった。しかし14コース終了時点で神経毒1生が顕著となり中止 せざるを得ない状況となったためmFOLFOX6よりOxaliplatinを除いたsLV/5FU2にベバシズマブを併用した。現在7コー ス施行したが腫瘍マーカーの上昇なく画像検査上もPRの状態を継続できている。このレジメンは神経毒性のためFOLFOX が継続困難となった時有効な手段の一つと考えられた。 43巻第2号 941
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