営業店リスク管理者 - 金融財政事情研究会

第 116 回 金融業務能力検定(2014 年1月 26 日実施)
《模範解答》
・営業店リスク管理者
※配点は,特に記載のない限り,公表しておりません。また,配点・試験の内容に関す
るお問合せには,お答えできません。
※合格発表は,3月6日の予定です。
一般社団法人
金融財政事情研究会
検定センター
〈合格基準〉100 点満点で 70 点以上
【第1問】
(50 点)
番号
問1
問2
問3
問4
問5
問6
問7
問8
問9
問 10
正解
2
2
1
1
1
4
4
1
4
4
番号
問 11
問 12
問 13
問 14
問 15
問 16
問 17
問 18
問 19
問 20
正解
2
4
4
3
1
1
3
2
4
2
番号
問 21
問 22
問 23
問 24
問 25
正解
3
4
3
4
1
【第2問】(問 26) (12 点)
(解答例)
(1) 対応すべきと考えられる事項
・本部部署へ当該事案を報告し,本部を通じて,金融庁に当該事案を疑わしい取引とし
て届け出る。
・x支店を管轄する警察署へ当該事案を届け出る。
・預金口座の名義人Zに関する調査を行う(取引時確認資料の確認,本部部署への照会,
警察・他金融機関との情報交換等)
。
・Q金融に関する調査を行う(調査会社への依頼、Q金融の貸金業者登録番号の確認、
本部部署への照会、警察・他金融機関との情報交換等)。
1
・預金口座の状況確認を行う(名義人Zからの通帳・キャッシュカードの紛失・盗難届
の有無、預金口座の取引経過等)。
※ 上記の解答例と趣旨の合致するものが,重複なく3項目挙げられていれば,それぞれ採
点の対象とする。
(2) 取引停止または強制解約の対象となる口座の種類
・名義人が存在しないことが明らかになった預金口座,または名義人の意思によらず開
設されたことが明らかになった預金口座
・預金者が譲渡・質入れ等の禁止の定めに違反した預金口座
・法令や公序良俗に反する行為に利用され,またはそのおそれがあると認められる預金
口座
・金融機関が法令で定める取引時確認等の確認を行うにあたって,預金者について確認
した事項に関し,虚偽が明らかになった預金口座
※ 上記の解答例と趣旨の合致するものが,重複なく3項目挙げられていれば,それぞれ採
点の対象とする。また,以下の2項目の趣旨を解答した場合も,それぞれ採点の対象と
する。
・一定の期間,預金者による利用がなく,かつ,残高が一定の金額を超えることがない
預金口座
・法令に基づく取引停止または強制解約の対象となる預金口座
【第3問】(問 27) (12 点)
(解答例)
①
金融商品の契約に際しての説明義務違反
金利スワップ契約の解約清算金の説明が不十分である。デリバティブ取引の商品内容,
リスクについては,想定最大損失額の例示を含めた書面を交付して説明することが必要
である(特に解約清算金については,中途解約の時点および期限の利益喪失時点で発生
すること,その内容(試算額等)を書面を交付して説明しなければならない)。
②
融資契約に際しての「優越的地位の濫用の禁止」違反
金利スワップ契約の締結は,融資取引(契約締結,融資条件等)に影響を及ぼすもの
であってはならない(優越的地位の濫用の禁止)。したがって,融資と金利スワップ契約
の一方のみの契約には応じられない旨の説明は不適切である。
③
金融商品の販売時の契約書(写し)交付義務違反
融資契約,金利スワップ契約,保証契約の各契約書の写しを債務者や保証人に交付す
ることは必須条件であり,それを怠ったことは問題である。
④ 「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行」への違反
2
Bの友人Cは、A社の経営に関与せず、かつ自発的な意思に基づき保証人となること
を申し出たとは考えられない。Bの友人Cを連帯保証人とする契約は、
「経営者以外の第
三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行」に反している。
(個人連帯保証契約については,経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないこと
を原則とする方針を定め,特に,経営者以外の第三者が,経営に実質的に関与していな
いにもかかわらず,例外的に個人連帯保証契約を締結する場合には,当該契約は契約者
本人による自発的な意思に基づく申し出によるものであって,金融機関から要求された
ものではないことを確保すべきである)
⑤
例外として第三者を個人連帯保証人にする場合の,説明義務違反等(説明義務違反お
よび,説明を受けた旨の連帯保証人からの確認の徴収義務違反)
例外として第三者を個人連帯保証人にする場合の説明が不十分である。Mは、契約者
本人の経営への関与の度合いに留意し,原則として,経営に実質的に関与していない場
合であっても保証債務を履行せざるを得ない事態に至る可能性があることについての特
段の説明を行い、併せて,保証人から説明を受けた旨の確認を行わなければならない。
⑥
連帯保証人への一般的な説明義務違反
Cに対する連帯保証契約の説明が不十分である。連帯保証人であるCに対して,主債
務者(A社)が債務不履行に陥った場合の保証人の義務について,最悪のケース(保証
履行)を想定した説明が必要である。その他,連帯保証人には催告の抗弁権,検索の抗
弁権,補充性や分別の利益等の主張ができない点も重要な説明事項である。設例のよう
な説明では,現実に保証債務履行請求した際に保証否認される可能性がある。
※ 上記の解答例と趣旨の合致するものが重複なく4項目挙げられ,要点をおさえて説明さ
れていれば,それぞれ採点の対象とする。
【第4問】(問 28) (14 点)
(解答例)
(1) 債務者区分
要注意先(その他要注意先)
(2) 理由
・A社は3期連続して赤字を計上し,債務超過に陥っているが、役員報酬の減額の余地が
あり、代表者の個人資産も考慮すると、A社の財政上の問題点は緩和される。
・貸出条件変更の申出について信用保証協会も応諾しており,現時点で延滞はなく,貸出
金利はX銀行の調達コストを上回っているため、本件貸出金は貸出条件緩和債権(元金返
済猶予債権)には該当しない。
・経営計画と比して業況の改善は順調である(1年で経営改善計画比8割以上の実績で推
3
移し,その2年後には約定弁済開始予定である)。
(3) 債権の分類
非分類(Ⅰ分類)50 百万円
【第5問】(問 29) (12 点)
(解答例)
1.組織としての対応
○設例のようなケースにおいて担当者や担当部署だけで対応した場合,要求に応じざる
を得ない状況に陥ることもあり得るため,組織全体としての対応とその根拠が企業の
倫理規程,行動規範,社内規則等に明文で定められていなければならず、顧客対応等
の担当者や担当部署等は、有事の際に当該対応に従う。
○従業員の安全を確保する。
○反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を統括する部署(反社会的勢力対
応部署)が、反社会的勢力に関する情報を一元的に管理・蓄積し,研修活動の実施,
対応マニュアルの整備,外部専門機関との連携等を行う社内体制を整備していなけれ
ばならず、営業店等は、設例のようなケースに遭遇した場合、当該部署から反社会的
勢力との関係を遮断するための取組みの支援を受ける。
2.外部専門機関との連携
○反社会的勢力からの不当要求に備えて,平素から,警察,暴力追放運動推進センター,
弁護士等の外部の専門機関の連絡先や担当者を確認し,担当者レベルで緊密な連携関
係を構築する。
○暴力追放運動推進センター,企業防衛協議会,各種の暴力団排除協議会等が行う地域
や職域の暴力団排除活動に参加する。
○反社会的勢力から不当要求がなされた場合に,積極的に外部の専門機関にも相談する
とともに,その対応に当たっては,暴力追放運動推進センター等が示している不当要
求対応要領等を参考に対応する。
3.取引を含めた一切の関係遮断
○相手方が反社会的勢力であるかどうかについて,通常必要と思われる注意を常に払う
とともに,反社会的勢力とは知らずに何らかの関係を有してしまった場合には,相手
方が反社会的勢力であると判明した時点や反社会的勢力であるとの疑いが生じた時点
で,速やかに関係を解消する。
○反社会的勢力が取引先や株主となって不当要求を行う場合の被害を防止するため,契
4
約書や取引約款に暴力団排除条項を導入し,取引先の審査や株主の属性判断等を行い,
可能な範囲内で自社株の取引状況を確認する。
4.有事における民事と刑事の法的対応
○あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに,
「被害が生じた場合も不当要求に屈
しない姿勢」を反社会的勢力に鮮明に示して更なる不当要求を抑止するため,積極的
に被害届を提出して刑事事件化する。
○反社会的勢力から不当要求がなされた場合には,積極的に外部専門機関に相談すると
ともに,その対応に当たっては,暴力追放運動推進センター等が示している不当要求
対応要領等に従って対応する。要求が正当なものであるときは,法律に照らして相当
な範囲で責任を負う。
5.裏取引や資金提供の禁止
○反社会的勢力への資金提供は,反社会的勢力に資金を提供したという弱みにつけこん
だ不当要求につながり,被害の更なる拡大を招くとともに,暴力団の犯罪行為等を助
長し,暴力団の存続や勢力拡大を下支えするものであるため,絶対に行わない。
○反社会的勢力による不当要求が,事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする
場合であっても,事案を隠ぺいするための裏取引を絶対に行わない。
○反社会的勢力から不当要求がなされた場合には,積極的に外部専門機関に相談すると
ともに,その対応に当たっては,暴力追放運動推進センター等が示している不当要求
対応要領等に従って対応する。要求が正当なものであるときは,法律に照らして相当
な範囲で責任を負う。
○反社会的勢力による不当要求が,事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする
場合には,反社会的勢力対応部署の要請を受けて,不祥事案を担当する部署が速やか
に事実関係を調査する。調査の結果,反社会的勢力の指摘が虚偽であると判明した場
合には,その旨を理由として不当要求を拒絶する。また,真実であると判明した場合
でも,不当要求自体は拒絶し,不祥事案の問題については,別途,当該事実関係の適
切な開示や再発防止策の徹底等により対応する。
※ 上記1.~5.の項目のうち3項目のそれぞれについて,○で記されている箇条書きの
いずれかの内容と趣旨の合致する記述が重複なくなされていれば、採点の対象とする。
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