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2015 大阪大学前期日程(2/25 実施) 世界史
【解答例】
(1)問1
インドと中国を結ぶ海上交通路が開かれると,東南アジア沿岸部には中継地
として港市国家が生まれ,インド船が来港した。そのためヒンドゥー教やサ
ンスクリット語を表現手段とする文化が伝わった。
問2 13 世紀からムスリム商人の海上交易による東南アジア進出がさかんになり,
神秘主義教団の布教活動も活発化した。そのため島嶼部を中心にイスラーム
教が広がり,アラビア文字も用いられるようになった。
問3
ベトナム北部は古くから中国文化圏に属し,漢の武帝以後はその支配下に置
かれたため漢字が普及した。やがて元の侵入を撃退した陳朝では民族意識が
高まり,漢字をもとにチュノムが作成された。
問4
近世のヨーロッパ各国は東南アジア各地に港市を築いて香辛料貿易を行い,
こうした活動と結びついてカトリック布教も進めた。しかし近代になると原
料供給地や市場を求めてタイを除く諸地域を植民地化し,プランテーション
を営んだ。
(2)問1 A-デンマーク
B-シュレスヴィヒ・ホルシュタイン
問2 C-ユグノー
フランスのカルヴァン派であるユグノーはアンリ4世が発布したナントの王
令により個人の信仰の自由を認められた。しかしルイ 14 世がカトリックによ
る宗教の統制をめざしてナントの王令を廃止したため,国外に逃亡すること
になった。
問3(a)12 世紀以後エルベ川以東への東方植民によりバルト海南岸にドイツ騎士団
領とブランデンブルク辺境伯領が成立した。その後合体してプロイセンとな
り,三十年戦争で東ポンメルンを,ポーランド分割ではポーランド回廊を領
有した。
(b)鉱物資源をめぐる対立こそ,戦争の主因となっていたため,独仏の恒久平和を
目的にヨーロッパ石炭鉄鋼共同体が結成され,ザール地方の石炭や鉄鉱石も
加盟国の共同管理下に置かれた。
問4 戦後,中国はパリ講和会議で大戦中に日本が得ていた山東における旧ドイツ権
益の返還などを求めた。しかし民族自決はアジアには適用されず,中国の要求
も拒否されたため,中国では愛国的な五・四運動が起こった。一方,アメリカ
はワシントン会議を開き,中国の主権尊重・領土保全を約する九カ国条約により
日本を中国から後退させた。