Ⅰ 研究主題 「学校図書館の活性化推進総合事業」研究主題 確かな学力・豊かな感性をはぐくむよりよい学びを目指して ~子どもが主体的な学習活動や読書活動を展開できる学校図書館の活用~ 本荘南中学校研究主題 一人一人に「確かな学力」を付ける授業の創造 ~学力を高める分かる授業づくりを通して~ Ⅱ 本校の研究主題設定の理由 本校では,これまで次のよう研究を進めてきた。 〔9次研究〕平成5~8年度 「生き生きと自ら学習に取り組む生徒の育成」 〔 10次研究〕平成9~ 12年度 「よりよく自己実現できる生徒の育成」 〔 11次研究〕平成 13~ 15年度 「一人一人が確かな学力を身につけるための学習指導の工夫」 〔 1 2 次研究〕平成 1 6 ~ 1 9 年度 「学ぶ意欲の高揚を目指す学習指導の工夫」 12 次研究では,意欲的に取り組む授業の構築と基礎・基本の定着を目指し,生徒が意欲をも って,主体的に学習に取り組む姿勢を育ててきた。 しかし,生徒の実態として,基礎・基本が十分に身に付いていない生徒が見られ,上位,下位 の生徒の学力差の大きさも感じられた 。秋田県学習状況調査の結果 ,教科合計の平均は ,平成 19 年度の1年は,通過率 69.5 %〔全県平均 71.5 % 〕,2年 65.3 %〔全県平均 64.2 % 〕,平成 20 年 度は,1年 63.1 %〔全県平均 69.7 % 〕,2年 57.8 %〔全県平均 61.6 %〕と全県平均を下回る傾 向にあり,学習内容が十分に身に付いていないという結果になっている。平成 20 年度の学習意 欲等に関するアンケートでも『学校の勉強がよく分かる』について肯定的な回答をした生徒の割 合は,1年 55.5 %〔全県平均 69.6 % 〕,2年 65.2 %〔全県平均 62.2 %〕と高いとは言えず,分 かる授業づくりが必要であると感じられる。 また ,『勉強が好きだ』の設問には ,「そう思わない 」,「まったくそう思わない」が,1年 26.4 %〔全県平均 13.7 % 〕,2年 18.8 %〔全県平均 16.8 %〕であり,勉強が好きではないと感じて いる生徒が少なくない。 そのような結果につながる原因の一つとして,教師が指示を出して一方的に活動させる授業が 多く,生徒が受動的な姿勢で授業に臨んでいるため,分かる喜びや学ぶ楽しさを感じることがで きず,学習の意欲が低下し,それが学習内容の理解にも影響を及ぼしていると考えられる。そこ で,教師主導の一斉画一の授業から,生徒が主体的に活動する授業への改善を図り,様々な学習 活動に自ら考え,積極的に取り組む姿勢を身に付けさせることによって,実生活や将来をよりよ く生きていくための「確かな学力」がはぐくまれるものと考え,本主題を設定した。 Ⅲ 研究仮説 問題解決的な学習を中心とした分かる授業づくりを,課題提示や導入の工夫,主体的な課 題への取り組み,適切な評価の工夫の面から進めることによって,生徒一人一人が学習意欲 をもって主体的に学習に臨むようになり,知識や技能にとどまらない「確かな学力」を身に 付けさせることができるのではないか。 Ⅳ 研究内容 「分かる授業」とは,教師が「分からせる授業」ではなく,生徒が自ら学び,考えていく生徒 主体の授業である。そのためには,生徒が学習に意欲的に取り組み,一人一人が自分で考えなが ら活動していく授業でなければならない。その中で,生徒が課題に意欲的に取り組めるように課 題提示や導入の仕方を工夫したり,生徒が自ら課題に対して主体的に取り組めるような活動を設 定したりして,生徒が主体的に取り組む学習にしていかなければならない。また,各時間に適切 な評価を行うことによって,生徒自身が分かった,できたと実感でき達成感や満足感が生まれ, さらに高い学習意欲につながるものと考える。教師側も評価を積み重ねていくことによって,生 徒一人一人の1時間の授業での到達状況や単元を通しての生徒の変容をつかむことができ,生徒 に応じた指導ができるものと考える。 今年度,学校図書館の活性化推進総合事業の協力校として ,「学び方を学ぶ場としての学校図 書館機能」を生かし,全教科で図書の活用による生徒一人一人の主体的な学習活動を展開し,知 識や技能を広げたり,深めたりすることを通して,生徒の読解力,言語力,情報収集・活用能力 を高めていくこととなった。 年度当初に実施した図書館活用に関する教師,生徒に対するアンケートの結果,次のような実 態が明らかになった。 教師へのアンケートの結果,昨年度,学校図書館を利用した授業を実施した教科は国語,理科 総合的な学習に時間のみであり,大部分の教科では全く実施していなかった。学習内容の理解の 深化,学習への興味・関心・意欲の向上,情報活用能力の向上など,図書館を活用した授業の効 果は認識しているものの,時間的な余裕の不足,授業に使える図書の不足,必要な情報が得られ ないなど,物理的な面から利用できなかったという回答が多かった。また,図書よりもインター ネットの方が課題解決に適している,調べやすいや,活用のための研究不足などが理由としてあ げられていた。 一方,生徒のアンケートでは,昨年授業のために学校の図書館を「よく利用した 」「ときどき 利用した」と答えた生徒は半数を超えているものの,大半が国語と総合的な学習の時間であり, ほとんどの教科では利用していないという現状であった。しかしながら,図書館を使った授業は 普段の授業より楽しいか,分かりやすいか,役に立つかという質問に対し,それぞれ 70 %以上 が肯定的な回答をしている。 教師 ,生徒のこのようなアンケートの結果から ,教師が学習効果があると考え ,生徒も楽しい , 分かりやすい,役に立つと感じていることから,学校図書館を活用した教科の授業は有効である と考えることができる。 Ⅴ 研究の重点と具体的施策 1 図書館の学習環境整備 学校図書館を学び方を学ぶ場とするためには ,「読書センター」としてだけでなく,教科の 授業で活用できる「学習・情報センター」としていかなければならない。そのためには,教科 での調べ学習等に活用できる図書の充実を図る必要がある。学校図書館を有効に機能させられ る単元や授業を各教科で検討し,必要な図書の購入を進め充実させていく。また,学校にない 図書も活用できるように,本荘図書館や県立図書館などの公立図書館・小中学校・市教育研究 所を結ぶトライアングルプランによるネットワークを整備し,有効に活用し,様々な本が容易 に手に入るようにしていく。 また,各教科で使いやすいように配架を工夫したり,移動教科図書コーナーを設けるなどし て調べ学習などが能率的に進められるようにしていかなければならない。さらに,教科の授業 が行える図書館にするために,机の配置や移動黒板の設置など図書館内の設備の工夫も図って いく必要がある。 2 学校図書館を活用した「分かる授業」づくり ① 課題提示や導入の工夫 課題提示や授業の導入の際に,図書を活用することによって学習意欲の喚起や課題意識の 高揚を図ることができる。また,図書を使った調べ学習や課題解決をする際には,いろいろ な方法や視点から追求できる課題や様々な本や資料から総合的に解決が図られていくような 課題を設定したり,提示の仕方を工夫したりしていく必要がある。本の内容の一部を抜き出 して終わるようなものではなく,多面的な見方や考え方をすることによって課題に迫れるよ うな学習課題を設定することが,図書館活用の意義につながり,生徒の読解力,言語力の育 成につながるものであると考える。 ② 主体的な課題解決 課題解決においては,教室での授業で学んだことを確かめたり,広げたり,深めたりする ために,本や資料を集め,それを読み取り,自分の考えをまとめ,発表するという主体的な 学習活動の展開が予想される。 そのためには,本を読むことへの抵抗がなく,自分の必要な情報を速く正確に取り出すこ とができる能力を身に付けさせていくことが重要である。 また,図書や新聞,雑誌,パンフレット等の多様な情報から課題を追求していくことによ って,資料の探し方,集め方,選び方,比較の仕方,情報のまとめ方などの様々な能力が身 に付くと考えられる。そして,このような活動を通して図書に深くかかわることによって, 生徒の読解力や言語力などの言語能力が育ち,将来につながるコミュニケーション能力や豊 かな感性をはぐくむことができると考える。 Ⅵ 研究計画 月 実 施 5月 研究計画の作成 6月 図書館の利活用に関するアンケート実施Ⅰ 7月 第1回指定校訪問 社 会 「世界と日本の自然」 2年 英 語 「 Multi Plas 1 わたしの夢」 1年 美 術 「色の世界」 3年 保健体育 「健康な生活と病気の予防(健康の成り立ち )」 年間指導計画,実践一覧の作成 9月 第2回指定校訪問 3年 数 学 「第2章 多項式」 1年 理 科 「植物の仲間」 2年 音 楽 「合唱のよろこび」 3年 技 術 「エネルギー変換を利用した電気機器の製作」 2年 家 庭 「これからの衣生活」 図書館の利活用に関するアンケート実施Ⅱ 公開研究会 実践資料集の発行 11月 12月 1月 図書館の利活用に関するアンケート実施Ⅲ 報告書作成(実践研究のまとめ) 啓発リーフレット作成 2月 3月 容 2年 8月 10月 内
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