腎細胞癌の胸腔内リンパ節転移に対する手術療法について

腎細胞癌の胸腔内リンパ節転移に対する手術療法について
神崎隆、東山聖彦、岡見次郎、児玉憲(大阪府立成人病センター呼吸器外科)
要旨
胸腔外に原発巣を有する転移性縦隔リンパ節腫瘍の原因として、腎癌は大きな割合を占める。近年腎癌の
胸腔内リンパ節に対し積極的切除し良好な成績が報告されている 1。今回当科で経験した切徐例 2 例を検討
した。
キーワード:腎癌、胸腔内リンパ節、肺転移
はじめに
考察
腎癌根治手術後の再発部位は肺が最も多い。しかし
腎癌術後の縦隔肺門リンパ節転移は通常肺転移を
肺転移を欠く胸腔内リンパ節転移は稀である。
伴う。剖検例では 1451 例中 75 例(5%)に胸腔内
リンパ節転移が報告されており、その内 90%は肺
対象と方法
転移を伴っていた 2。従って肺転移を欠く胸腔内リ
症例 1 は 71 歳、男性。既往歴として H5 年腎細胞癌
ンパ節転移は稀であるといえる。胸腔内リンパ節
に対し右腎摘出術を受けており、高血圧、胃潰瘍、
への転移経路は文献的に 2 つの経路が推定されて
通風にて当院内科に通院中であった。H18 年 4 月よ
いる。一つは胸管または下肺靱帯内のリンパ管を
り胸部違和感が出現し、同年 9 月の胸部 CT で気管
通過する経路であり
右前面に径 21mm大の腫瘤を指摘された。やや不
micrometastasis を経由したものである。本症例 2
均一ながらよく造影され、PET-CT では同部位に軽
では術後肺・縦隔リンパ節再発を認めており、臨床
度の FDG の集積を認めた。診断的治療として胸腔鏡
経過からは第二の経路即ち micrometastasis を経
補助下右開胸上縦隔リンパ節郭清術を施行した。病
由したものが考えられる。腎癌の孤立性遠隔転移
理組織診断の結果、腎明細胞癌の単発性右気管傍リ
に対しては切除が推奨され、その 5 年生存率は 30
ンパ節転移であった。
-60%と報告されている
症例2は 60 歳、女性。H10 年腎細胞癌に対し左腎
ンパ節に対し積極的に切除を行った報告が為され
摘出術を受け、2 年後に 30mm 大の Botallo 管リン
ている。Whiston ら 1 は 386 例の腎癌術後患者中 9
パ節腫大を指摘された。診断的治療として開胸手
例に胸腔内リンパ節再発を認め、前例に手術を行
術を行いリンパ節切除を行った。病理組織診断の
い合併症を経験せず良好な成績を上げている。
3
、もう一つは肺の
4,5
。最近腎癌の胸腔内リ
結果腎顆粒細胞癌の転移であった。
結論
結果
腎癌の胸腔内リンパ節転移には積極的切除が妥当
症例1:術後 2 年経過し、無再発生存中である。
であると考えられる。
症例2:術後 5 年経過し、肺・縦隔リンパ節再発を
認めるも生存中である。
本研究結果の発表
Surgical treatment for patients with solitary
metastasis in the mediastinal lymph node from
renal cell carcinoma.
Interactive
CardioVascular and Thoracic Surgery 8 (2009)
485–487
文献
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