皮膚の悪性腫瘍／ G．癌の皮膚転移 443 肺病変，汎血球減少などとともに，全身に出血性小丘疹が出現． 頭部は脂漏性皮膚炎に類似する．化学療法や造血幹細胞移植が 行われるが，予後不良． ハンド シュラー 先天性自然治癒性組織球症 （congenital self-healing histiocytosis） クリスチアン Hand-Schüller-Christian 病：小児期に好発．頭蓋骨の溶骨性 病変，眼球突出，下垂体性尿崩症を 3 主徴とする．皮疹は肉芽 腫性変化や黄色腫様変化が主体．自然軽快することがある． 好酸球性肉芽腫：年長児〜成人に発症．頭蓋骨や脊椎の溶骨性 病変が単発〜散在する．病理組織学的には組織球様細胞に加え て，好酸球の著明な浸潤がみられる．予後良好で，経過観察す ることもある． G．癌の皮膚転移 metastatic carcinoma of the skin 内臓悪性腫瘍が連続性，血行性またはリンパ行性に皮膚に転 移してきたもの．原発巣としては乳腺，肺，結腸，子宮，卵巣 などがあり，原発癌の末期に生じる皮膚転移である．皮内およ び皮下に自覚症状を欠く結節を多数生じることが多い（図 22.35） ．特殊な臨床型として，以下のようなものが存在する． 丹毒様癌（carcinoma erysipelatodes） ：癌性リンパ管炎を伴 い，丹毒のように急速に発赤，浸潤を触れる． 腫瘍性脱毛（alopecia neoplastica） ：被髪頭皮へ腫瘍細胞が転 移，局所性脱毛． シスター メアリ ジョセフ Sister Mary Joseph 結節（Sister Mary Joseph nodule） ：消化 器癌（結腸癌，膵癌など）が臍部に転移して結節をつくったもの． 原発巣が末期状態であることが多いため，予後は不良であり 数か月で死に至ることが多い． 22 図 22.35 癌の皮膚転移（metastatic carcinoma of the skin）
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