Page 1 Page 2 泌尿紀要 52ご ー-6, 2006年 中井川 昇ー) 矢尾 正祐ど

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
嫌色素細胞腎癌16例の臨床病理学的検討
中井川, 昇; 矢尾, 正祐; 近藤, 慶一; 岸田, 健; 野口, 和美; 窪
田, 吉信; 長嶋, 洋治; 河野, 尚美; 稲山, 嘉明; 野沢, 昭典
泌尿器科紀要 (2006), 52(1): 1-6
2006-01
http://hdl.handle.net/2433/113776
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
泌 尿 紀 要52 1
1-6,2006年
嫌色素細胞 腎癌16例 の臨床 病理学的検討
中 井 川 昇1,矢 尾 正 祐1,近
藤 慶 一,岸
野 口 和 美1,窪
嶋 洋 治2,河 野 尚 美3
田 吉 信1,長
田 健1
稲 山 嘉 明3,野 沢 昭 典4
1横浜市立大学大学院医学研 究科泌尿器病態学,
2横浜市 立大学大学 院医学研究科分子病態腫瘍病理学,
3横浜市立大学 附属病院病理部
,4横 浜市立大学 附属市民 医療 セ ンター病理部
CHROMOPHOBE RENAL CELL ACLINICOPATHOLOGICAL Noboru NAKAIGAwAI, Kazumi STUDY Masahiro NoGucHI1, YAol, Yoshinobu Yoshiaki CARCINOMA:
Kel-ichi KoNDo1, Takeshi KlsHIDAI,
Y('ji NAGAsHIMA2, Naomi KAwANo3,
KuBoTAI, INAYAMA3 OF l6 CASES
and Akinori NozAwA4
iTh・D御tm・nt ・f U・ ・⑫,}「
・k・伽
・0吻
σ痂 ・吻0・
・ぬ ・t・
・S伽1 ・f M・di・ine,
2Th
・Dψ ・・轍
彦・fM・lecul・ ・P・th・1・gy,}わ ん・h・m・ α 夢 σ 励6γ 吻
伽duat・8・h・
・1 ・fM・ 戯 ・・,
3Th・D御
鰍'卵
励
珈 ・al and S・・gi・
・♂P・ 伽 」
・gy
,}x・k・加 襯
伽
伽 ・・吻
π ・桝 ・Z,
4Th・ D御'燃
Pathological chromophobe characteristics, renal Yokohama analyzed. Pathologically,14 coexisting The C-reactive pathological RCC and recurrcnces during chromophobe RCC and sarcomatoid The dcmonstratcd (pTlbN2MO), patient change(pT3aNOMO)died mctastascs and died of multiple The lymph Iung and bone metastases a hypovascular
nodes increased
cases showing
cases were treated
there have patient with and no
of
l 8 months
collecting at preopcrative and carcinomatous been a mixture Iung metastases RCC and
On preoperative
Thirteen of chromophobe to the paraaortic RCC
in one paticnt To date of multiple a mixture age;50.9±17.0).
Fourteen examination. at
l991 and
protcin(IAP)were elements. f()llow-up. trcated had chromophobc changc nephrcctomy. postoperativc showlng old (averagc acidic by partial RCC bctwcen all cases showcd pathological on preoperative Centcr sizc was 7.1±4.lcm. immunosuppressive treated with two paticnts or angiography, with aggressive the 6 to l60 months after nephrectomy. carcinoma was and tumor tomography did not metastases Medical that is, sarcomatoid The avcrage computed another RCC, 〃
of l6cascs(4.1%)of
patients l 6 to 74 years elemcnts, in thc other. protein(CRP)and by nephrectomy, was 伽
examinations 389 City University chromophobe in the two cases coexisting pure chromophobe among age distribution studies with enhanced specifically 翫 勿 ・吻M・4副
and preoperative and Yokohama had pure aggressive duct carcinoma pattem. patient outcomc, Hospital patients with collecting ん・h・ma吻
cell carcinoma(RCC)observed City University 2004were imaging げP・th・1・gy,}わ
duct
examination
peritonitis 8 months
aftcr ncphrectomy.
The patients including with pure chromophobe aggressive clinical coursc. Thc clements RCC had a favorable such as sarcomatoid increase in CRP or IAP change prognosis, or collecting could predict but those with a mixed duct carcinoma, poor prognosis words:Chromophobe 緒
renal cell carcinoma, Clinicopathologic type
a poor
in such cases.
(Hinyokika Key showed Kiyo 52:1-6,2006)
characteristics
ら,腎 細 胞 癌 が まっ た く異 な る性 質 を持 つ多 様 な腫 瘍
言
型 の 集合 か らな る こ とが 明 らか に な っ て きた.こ れ ら
成 人 に発 症 す る 腎細 胞 癌 は これ まで一 種 類 の もの と
の 新 知 見 に基 づ い てWHOIUICCの
考 え られ,画 一 的 な診 断,治 療 また 臨床 解 析 が行 わ れ
類 が1997年 に提 唱 されD,2004年
て きた.し か しな が ら最 近 の分 子遺 伝 学 的解 析,と
を引 き継 い で い る2)本
り
わ け 家 族 性 腎 腫 瘍 症 候 群 の解 析 に よ る知 見 の 集 積 か
新規腫瘍 亜型 分
のWHO分
類 も これ
邦 で も1999年 の 腎 癌 取 扱 い 規
約 第3版 か ら この 分類 が 採 用 さ れ る よ う に な っ た3)
泌 尿 紀 要 52巻 1号 2006年
2
こ の分 類 で は基 本 組 織4型
られ た 症 例 を混 合 型 と して検 討 を行 っ た.
と して淡 明 細 胞 型,乳 頭 状
型,嫌 色 素 細 胞 型,集 合 管 癌 が,そ れ ぞれ 尿 細 管 の 異
結
果
な る細 胞 か ら異 な る腫 瘍 化 機 構 に よ っ て発 生 す る との
知 見 に基 づ い て 規 定 され て い る.さ
1991年4月
らに こ れ らの未 分
よ り2004年12月
まで に 当 施 設 に て病 理 組
化 ・低 分化 型 と して,肉 腫 様 腎癌 が位 置づ け られ て い
織 学 的 に 腎 細 胞 癌 と診 断 さ れ た 症 例 は389例
る ト3)
こ の う ち 嫌 色 素 細 胞 癌 と 診 断 さ れ た 症 例 は16例,
この うち,嫌 色 素 細胞 癌 は1985年 にThoenesら4)に
4.1%で
よ り初 め て そ の 概 念 が 提 唱 され た が,比 較 的稀 な組 織
平 均 年 齢 は50.9(±17.0)歳
型 とい う こ とで そ の 臨 床 像 は一 般 に広 く認 知 され て い
が30歳
ない のが 現 状 で あ る,そ こで 今 回 わ れ わ れ が経 験 した
(2.2:1)で
16例 の嫌 色 素 細 胞 癌 につ い て臨 床 病 理 学 的検 討 を行 っ
全 例 単 発 例 で,Birt-Hogg-Dube(BHD)syndromeな
た.
ど,遺
あ っ た(Table l).診
断 時 年 齢 は16-74歳,
で,う
以 下 で あ っ た.性
あ っ た.患
で あ り,
ち3例(18.8%)
別 は 男 性11例,女
側 は 右8例,左8例
性5例
で あ っ た,
伝 性 の 症 例 は 認 め な か っ た.
病 理 組 織 学 的 に 嫌 色 素 細 胞 癌 単 一 型 を 示 し た14例 の
対 象 と 方 法
対 象症 例:1991年4月
う ち,無
症 状 で 超 音 波,CTス
キ ャ ンな ど画 像 検 査 で
発 見 さ れ た 偶 然 例 が10例(71.4%)を
よ り2004年12月 まで に横 浜 市
例 は4例
セ ン ター にお い て 治療 を受 け,病 理 組 織 学 的 に嫌 色 素
あ っ た.一
細 胞 癌 と診 断 され た16例 を対 象 と した.
Bellini管 癌 と の 混 合 型 は 背 部 痛 を 主 訴 と し て い た.
検 討 項 目:(1)臨
合 併 症 と して は,高
別,主 訴,既
往 歴,患
側,病 理 組 織
stage,術 後 経 過 につ い て,(2)画
波,CT, MRI,血
像 診 断 と して超 音
管 造 影 につ い て,(3)術
部 腫 瘤 が1例
血 圧 が3例,糖
嚢 胞 が3例
尿 病 が3例,重
癌:1例),糸
球 体腎
に 認 め た.
病 理 組 織 診 断 で は嫌 色 素 細 胞 癌 単 一像 を示 した もの
が14例,そ
つい
の う ち6例
はpale ccll優 位 の い わ ゆ る
て検 討 を行 っ た.
classical variant,6例
はpalc cellとeosinophilic 嫌 色 素 細 胞 癌 の 病 理 組 織 学 的 診 断 お よ び病 期 分 類
が ほ ぼ 同 じ 比 率 で,便
宜 上mixed は,腎 癌 取 扱 い 規 約 第3版2)に 従 っ た.他 組 織 成 分 が
はeosinophilic cellが
優 位 のeosinophilic 混在 しな か っ た症 例 を嫌 色 素 細 胞 癌 単 一 型 と し,占 有
あ っ た.症
比 率 の大 小 にか か わ らず 嫌 色 素 性 細 胞 以 外 の 成 分 が 見
肉 腫 様 癌 成 分 を示 す 領 域 が 大 半 を 占 め た が,一
Table …eA・
1
・G・nd・
L ・C…f・
Characteristics of l l patients ・mpl・…S…
蘭
having …h・1・gy 例4で
typeと
variantで
は紡 錘 細 胞 が 充 実 性 に増 殖 して い る
chromophobe renal 部 に典
cell carcinoma
Outcome
V・ …n・G・ad・TNM・t・g・(Followmonths)
13.O Phobe
Classical 2 2 0 0 2
160
NED
Grosshematuria
lt
I3,0 Phobe
Eosino 2 2 0 0 2
CT
rt
5.O Phobe
Mixed F
Abd 2
16
M
3
65
M
mass
Sarc>15
Phobe
110
NED
2 1b O O l
100
NED
3 3a O O 3
18
CD
4 54
F Abd mass
1t
.O
5
72
M
CT
1t
l3.O Phobe
Eosino 2 3a O O 3
42
NED
6
28
M
CT
lt
3.O Phobe
Mixed 2 1a O O l
81
NED
7
57
F
CT
lt
5.2 Phobe
Mixed 2 3a O O 3
70
NED
8
59
M
CT
rt
6.O Phobc
Classical 2 1b O O l
67
NED
9
44
F
Grosshematuria
rt
7,5 Phobe
Eosino 3 3a O O 3
63
NED
Classica1 3 1b 2 0 4
8
CD
Mixed
10 64
F
Back pain
lt
Bellini>4
.3 Ph
obe
Il
59
M
CT
lt
4.O Phobe
Mixed
2
1a
0
0
1
26
NED
12
47
M
CT
rt
7.5 Phobe
Classical
2
2
0
0
2
10
NED
13
51
M
Echo
rt
5.O Phobe
Classical
2
1b
0
0
1
20
NED
14
59
M
Echo
lt
2.O Phobe
Classlcal
2
la
0
0
1
8
NED
15
45
M
Grosshematuria
rt
7.O Phobe
Mixed
2
lb
0
0
1
6
NED
16
74
M
CT
rt
4.O Phobe
0
0
1
7
NED
Phobe:chromophobc, death.
Sarc:sarcomatoid change, Bcllini:collecting Eosino
2
duct carcinoma, cell
し た 。4例
rt
21
で
腫 様 腎 癌 との 混 合 型 は 腹 部 腫 瘤 を,
腸 癌:1例,乳
炎 が1例,腎
前 の検査
と して,末 梢 血,生 化 学,尿 検 査,尿 細 胞 診,に
方,肉
複 癌 が2例(直
腫 瘍 径,TNM
眼 的 血 尿 が3例,腹
症状
立大 学 附 属病 院 お よび横 浜 市 立 大 学 附属 市 民 総 合 医 療
床 病 理 学 的 因子 と し て 年 齢,性
で,肉
占 め た.有
la
NED:no evidence of disease, CD:cancer
3
中井 川,ほ か 嫌 色 素 細 胞 腎 癌,臨 床 的 検 討
で10cm以
講熱叢
上 の 腫 瘍 を認 め た. TNM分
類 は嫌 色 素細
胞 腎 癌 単 一 型14例 で は,Tla:4例, 3例,T3a:3例, NO:14例, Tlb:4例, MO:14例
T2:
で, stage分
購 鎌 驚 幾i麟繋
嘉鷲1鰻鑑繋罰蔑 義欝量ジ
…
Fig.1. Light micrograph of the chromophobe
renal ccll carcinoma with sarcomatoid
change(case 4, HE stain×50).
型 的 な 嫌 色 素 細 胞 癌 を 呈 す る 組 織 像 を 認 め た(Fig.
1).症
例10は 好 酸 性 の 淡 い 穎 粒 状 を 呈 す る 大 型 の 腫 瘍
細 胞 が 索 状 に増 殖 す る嫌色 素細 胞 癌 の像 を呈 す る部 位
と,好
酸 性 細 胞 に よ る 管 状 構 造 を 形 成 し たBellini管
癌 の 成 分 が 混 在 して い た(Fig.2).
寵 ぐ 核 異 型 度 はG2:12例, G3:4例
腎 癌 と の 混 合 型,Bellini管
癌 と の 混 合 型 はG3で
で あ っ た,肉
腫 様
亨い ▼1:㌃
ジ で \ き…
「
..釜
あ っ
た.
腫 瘍 径 は2・一 15 cmで
平 均 は7.1±4.1cmで
た.7例(43.8%)で7cm以
1
,` ,三 、
∼ ;一 ・{
あっ
上 の,4例(25.0%)
:1泌痢趣1・熱謙 蜘驚響 號編
錦 鍵
A
Light micrograph of the compsite cell carcinoma with chromophobe collecting (case lO. HE stain, A:×20, duct carcinomatous renal
and
elements
B:×50).
塾
・
∵ 欝歎 声 L三1
τ一
【
議
・
、
一;.FFI,1し 鍔,匹1二圃
耐 ニド,=当テ丁雌
腕.
,㍉
㍉
妻
●
B
Fig.2. 穿
涌
L遥 想 ま 灘 搬
癖
潔
Fig.3. Graphic features of chromophobe cell carcinoma. tomography arising from the right kidney showing same density as normal (case 2). B:Degrcc thc CRCC was weakcr renal parenchyma(case showed examination A: Plain scan revealcd hypovascular renal
computed
a Iarge mass
the
renal parenchyma
of enhanccment than that ofnormal
of
2). C:CRCC
pattern of angiography(case in the
l).
4
泌 尿 紀 要 52巻 1号 2006年
類 は1期8例,H期3例,皿
期3例
腎 癌 と の 混 合 型 はT3aNOMOの
で あ っ た.肉
腫様
皿期, Bellini管 癌 と
の 混 合 型 はTlbN2MOのIV期
で あ っ た.
画 像 診 断 の 特 徴 で あ る が,CT 部 に 突 出 し て い た も の が15例
て腫 瘍 が 腎 門
細 胞 で あ る の に 対 し,腎
皮 質 よ り外 側
ing duct)の
に 向 か っ て 突 出 し た も の が1例
で あ っ た.単
純CTに
お い て 腎 実 質 とiso-dcnsityの
も の は15例
中14例
(Fig.3A), 2例
内 容 不 均 一 で あ っ た.ま
た,単
領 域 を 認 め た 。 造 影CTで
常 腎 実 質 よ り弱 いenhancementを
MRI所
見 は, Tl強
intensityを
一型 の
は全 例13例
調 画 像 で,腎
中6例
low-intcnsityを
腎 実 質 と 比 較 しiso-intensityが14例
intensityが14例
中2例, 一 定 の 傾 向 は 認 め な か っ た .造
さ れ て い る が,全
果 を 示 し た.血
上
に認め
に顕 微 鏡 的 血 尿 を 認 め た.
方,肉
1%で
従 来 の
と54.1∼59歳
と い う 緒 家 の 報 告5"'9)と
比 較 しや や 若 い 傾 向 が あ っ た,30歳
占 め た.海
以 下 の若 年 性 発 症
外の集計で若年性発 症
例 に つ い て 言 及 し た も の は な い が,本
が 王7.7%を
の 症 例 を 報 告 して い る,以
症年
邦 の大 西 らの 集
占 め7),今
上 か ら,若
中 ら11)も23歳
年 性 発 症 例 の存
在 を念 頭 に お い て 診 療 に 当 た る必 要 が あ る と思 わ れ
た.
発 見 契 機 に 関す る1996年 の 大 西 らの 集 計8)で は偶 発
っ た の に対 し,今 回 の 集 計 で は画 像 診 断
に よ る偶発 癌 が10例 と嫌 色 素 性 腎 癌 単 一 型 の71.4%を
占め,画 像 診 断 の 普 及 の 影響 と思 わ れ た.た だ し,予
後 不 良 で あ る 肉腫 様 癌 も し くはBellini管 癌 との 混 合
診 断 時 の 腫 瘍 径 の 平 均 は7.4±4.lcmで,7例
(43.8%)で7cm以
上 の,4例(25%)で10cm以
の腫 瘍 を認 め た.同 期 間 中 に淡 明 細 胞 型 腎 癌 と診 断 さ
れ た症 例 の平 均 腫 瘍 径 は5.3±3.2cm,腫
以 上 が25.9%,10cm以
腫 様 癌,Bellini管
上
上 が4.9%で
瘍 径7cm
あ り,腫 瘍 径 の
上昇 を認め
大 きい 症例 が 多 い こ と も1つ の 特 徴 と思 わ れ た.こ れ
癌 との混合 型で は尿沈 渣 では血
は局 所 症状 や 炎 症 症 状 を示 さず,遠 隔 転 移 もな く比 較
癌 と の 混 合 型 は2例
と もCRPとIAPの
た,Bellini管
尿 を,尿
IAPの
酸 値 上 昇 を4例
中 の16例,4. い う報 告5∼9)と ほ ぼ 一 致 し て い る.発
型 を示 した2症 例 は 共 に有 症 状 例 で あ っ た.
に お い て 施 行 さ れ て い た が,class V
も 認 め な か っ た.一
た.ま
行 例
音波所見
示 し た,
一 型 に お い て はCRP, も認 め な か っ た.尿
沈 渣 で は13例 中5例
は1例
IVP施
3.9∼11%と
例 が17.6%だ
で は全 例 が
あ っ た(Fig.3C), がhigh echoic patternを
尿 細 胞 診 は9例
と
で施行
管 造 影 を 施 行 し た9例
術 前 検 査 で は,単
昇 は1例
影MRIは7例
で 腎 孟 腎 杯 圧 排 所 見 を認 め た.超
で は12例 中8例
high-
中5例
例 腎 実 質 よ り弱 いenhanccment効
hypovascular tumorで
12例 中9例
中7例, 癌 は 腎 細 胞 癌 症 例389例
計 で は20・-30Ue代
調画 像で は
Iow-intensityが14例
わ れ わ れ の 施 設 で11年 間 の 間 に 経 験 し た 嫌 色 素 性 腎
例 は3例,18.8%を
実 質 と 比 較 しiso-
で あ っ た.T2強
介 在 細 胞(intercalated cell)由 来 と考 え ら
齢 は 平 均50.9歳
が正
示 し た(Fig.3B).
示 し た も の が14例 中8例, 示 し た も の が14例
た.尿
で
に お い て 腫 瘍 内 に 石 灰 化 像 と 思 わ れ るhigh
densityな
皮 質 集 合 管(cortical collect-
れ て い る4)
Bellini管 癌 と の 混 合 型 の み が 腎 実 質 よ り
low densityで
有 し コ ロ イ ド鉄 染 色 に 陽 性 を 示 す こ と を 特 徴 と し,そ
の 発 生 母 地 は 通 常 見 られ る淡 明 細 胞 腎 癌 が近 位 尿 細 管
scanに
中ll例,腎
病 理 組 織 学 的 には 淡 明 も し くは好 酸 性網 状 の細 胞 質 を
細 胞 診 で はclass Vを
的 緩 や か に成 長 す る とい う嫌 色 素 細 胞 腎 癌 の 生物 学 的
認 め た.
嫌 色 素 細 胞 癌 単 一 像 を示 した14例 中13例 が 腎 摘 除 術
特 徴 に よ る と推 測 され る.た だ し,今 回 の症 例 を1999
を,腫
年 以 前 の9症 例 と2000年 以 降 の7症 例 に分 け て腫 瘍 径
瘍 径 が2cmで
施 行 さ れ た.術
後6∼160カ
観 察 期 間 中 に1例
し,肉
あ っ た 症 例14が
月(平
腎部分切除術 を
均62±47カ
の 平 均 を検 討 す る と,前 者 が9.Ocm,後
月)の
も再 発 を認 め て い ない 。 こ れ に対
腫 様 癌 との 混 合 型 で あ る 症 例4は,根
除 術 を 施 行 し た が 術 後8カ
治的腎摘
月 に肺 転 移 を 認 め,胸
膜 ・
と低 下 して きて お り,今 後 は画 像 診 断 の 普及 と と もに
さ ら に早 期 発 見 例 が 増 加 してい く もの と思 わ れ た.
病 理 組 織 診 断 で は嫌 色 素 細 胞 単 一 像 を示 した も のが
後 腹 膜 リ ンパ 節 転 移 を 起 し18カ 月 後 に癌 死 し て い る.
14,例(87.5%)で,肉
Bellini管 癌 と の 混 合 型 の 症 例10で
Bellini管 癌 との 混 合 型 が1例
は 腎 門 部,傍
大動
脈 リ ンパ 節 転 移 の 術 前 診 断 で 根 治 術 を試 み た が,傍
動 脈 リ ン パ 節 は 完 全 に 摘 出 で き ず,一
除 術 を 施 行 し て お り,術
部 を残 し て 腎 摘
腫 様 癌 と の 混 合 型 が1例,
型 が2例(12.5%)を
と,他 組 織 像 と の 混 合
占 め た.嫌 色 素細 胞 腎 癌 単 一 型
で あ る14例 で は術 後 再 発 を認 め た症 例 は ない.そ
の一
月 目 に骨 転 移 を,6カ
方,肉 腫 様 癌 との混 合 型 は診 断 時 よ り18カ 月 で 癌 死 と
性 腹 膜 炎 を 起 こ し術 後8
い う不 幸 な転 帰 を た どっ た .近 年,肉 腫 様癌 との混 合
後4カ
月 目 に 多 発 肺 転 移 を 認 め,癌
大
者 が4.8cm
カ 月 で 癌 死 し た.
型 に 関 す る報 告 が 散 見 さ れ る が12'13),い ず れ も予 後
考
Thonesら4)が1985年
い て 報 告 して 以 来,比
察
に初 め て嫌 色 素 性 細 胞 癌 につ
較 的 稀 な 疾 患 で は あ る も の の,
幾 つ か の 臨 床 病 理 学 的 検 討 が な さ れ て き て い る5∼10)
不 良 で あ る.ま た,わ
れ わ れ が 経 験 し たBellini管 癌
との 混 合 型 は 海 外 を含 め2例
や は り診 断 後8カ
目 の報 告15)と な る が,
月 で 癌 死 とい う予 後 不 良 の 経 過 で
あ っ た.嫌 色 素性 細 胞 癌 とBellini管 癌,肉
三種 の混 合 型 につ い て2003年 にGongら
腫様 癌 の
が 報 告 して い
5
中 井 川,ほ か 嫌 色 素 細 胞 腎 癌,臨 床 的検 討
るが,彼
らの 症 例 も診 断 時 に全 身 多 発 転 移 を認 め て い
ら17),こ の よ う な 分 子 標 的 治 療 薬 を含 め,手 術 不 能
た14)従
来 の 嫌 色 素細 胞 癌 に 関す る 集 計5'9)は,こ の
例 に対 す る新 規 治 療 を検 討 して い く必 要 が あ る と思 わ
よ うな悪 性 度 の高 い組 織 像 との 混 合 型 の 頻 度 に関 して
れ た.
触 れ て お らず,嫌 色 素 細 胞 腎 癌 単 一 型 の 集 計 か ら嫌 色
結
素細 胞 腎癌 は 淡 明細 胞 型 腎 癌 と比 較 して 予 後 が 良 い と
結 論 づ け て い る が,実 際 に は こ の よ う な予 後 不 良 の 混
合 型 が あ る程 度 の 割合 で存 在 す る こ とを知 って お く必
要 が あ る.
よ り2004年12月
ま で に横 浜 市 立 大 学 附 属
病 院 お よび横 浜 市 立 大 学 附属 市 民 総 合 医療 セ ンタ ー に
お い て 病 理 組 織 学 的 に 嫌 色 素 細 胞 腎 癌 と診 断 さ れ た16
画 像 診 断 学 的 特徴 で あ る が,遠 位 ネ フ ロ ンか ら発 生
す る とさ れ る生 物 学 的 特徴 に一 致 して,CTも
MRIで
1991年4月
語
し くは
は腎 実 質 か ら腎 門部 に か けて 突 出す る よ う に
して成 長 して い る症 例 が 多 く見 られ た.同
じ理 由か ら
と推 測 され る が,排 泄 性 腎 孟 造 影 で は 腎 孟 の 変 形 が
75%で 認 め られ た.た だ し,腎 孟粘 膜 面 の異 常 を認 め
た 症 例 は な か っ た 。 単 純CTで
は正 常 腎 実 質 とほ ぼ
isodensityを 示 し,淡 明 細 胞 型 腎 癌 が 正 常 腎 実 質 と比
較 し,low densityを 呈 す る こ とが 多 い の に対 し,1つ
の特 徴 と言 え る.造 影CTで
は施 行 例12例 全 例 で 正 常
腎実 質 よ り も弱 い造 影 効 果 を認 め,血 管 造 影 を施 行 し
た8例 全 例 が 乏血 管 性 腫 瘍 像 を示 し,淡 明腎 細 胞 型 腎
癌 がhypervascularで
あ る の に対 し特 徴 的 と思 わ れ
症 例 に つ い て,そ
の 診 断 的 特 徴,生
物 学 的特 徴 の検 討
を 行 っ た.
1)年
齢 分 布 は16 一一
74歳(平
均 年 齢50.9歳)で
あっ
た.
2) 14例 は 嫌 色 素 細 胞 腎 癌 単 一 像,1例
と の 混 合 型,1例
がBellini管
癌 と の 混 合 型 で あ っ た.
3) 嫌 色 素 細 胞 腎 癌 単 一 型14例
た が,肉
腫 様 癌,Bellini管
が 肉腫 様 癌
の予 後 は 良好 で あ っ
癌 と の 混 合 型 の2例
は予
後 不 良 で あ っ た.
4)造
影CT,血
tumorの
所 見 で あ っ た.
管 造 影 で は 全 例 がhypovascular
5)予
後 不 良 の2例
で は 術 前 診 断 時 にCRP, IAP
の 上 昇 を 認 め た.
た.今 回 の症 例 の うち超 音 波 検 査 施 行例12例 中8例 が
high echoic patternを 示 し,淡 明 細 胞 癌 がisoも
しく
文
献
はlow echoic patternを 示 す こ とか ら,鑑 別 診 断 の 補
助 と な り うる と思 わ れ た.MRIに
お いては鑑別診断
に有 用 な特 徴 的 な所 見 は認 め なか った.
術 前 の採 血,尿 検 査 につ い て も検 討 を行 っ たが,嫌
色 素 性 腎癌 の鑑 別 診 断 に有 用 な もの は認 め な か っ た.
1)storkel s, EbleJN, of renal Internationalc American Cancer Contre Joint 管癌 と の混 合 型 は術 前 検 査 にお い てCRP, IAPの
上
Organization. 昇 を認 め た.こ の よう な検 査所 見 は予 後 不 良 の病 理 像
ogy and Gcnetics の混 在 を示 唆 す る もの と思 わ れ,炎 症 所 見 を伴 う腎 癌
and Male い て も当 て は ま る と考 え られ た.
嫌 色 素 性 細 胞 癌 に対 す る治療 法 と して 唯一 確 立 され
器
科
病
4)Thones w, され てい る嫌 色 素 性細 胞 癌 で あ る が,今 回示 した よう
5)Thoncs に手 術 を行 うべ き と思 わ れ た。 わ れ わ れ の経 験 で は16
Chromophobe areport W, 6)Crotty thological 967,1995
phobe cell clinicopathologic Pathol 8)大
西
mophobe 討.日
Farrow featurcs 対 して 好 成 績 を あ げ て い る こ と か
癌 取
り 扱
い 規
約
本 病 理 学 会,日
Rumplet 本
HJ:Human
carcinoma. Virchows
Rumplet Ipathol GM cell て の イ ン ター フェ ロ ンの有 効 性 に つ い て は今 後 の検 討
Systcm
Press,2004
HJ, cell renal carcinoma TB, Chromophobe and S, on 32 cases. Pathol-
48:207-217,1985
Storkel M, tumor(GIST)に
科:腎
renal B Cell Pathol 7)Akhtar と した 分 子 標 的 治 療 薬 がgastrointestinal submucosal
sT cell Hcalth
Urinary Lyon:IARC 理 放 射 線
storkel す る腫 瘍 が多 か っ た こ とが 考 え られ た.補 助 療 法 と し
癌 に 高 発 現 して い る と の報 告 もあ り16),c-Kitを 標 的
Organs, 本 泌 尿 器 科 学 会,日
な予 後 不 良 の 症 例 もあ る こ とか ら,現 時 点 で は積 極 的
嫌色素性細胞
ofthe 医 学 放 射 線 学 会 編 金 原 出 版,1999
Arch が必 要 と思 わ れ た 。 ま た,近 年c-Kitが
the
cancer(AJcc).
of Tumour. ofTumours 第3版.日
と と,腎 実 質 か ら腎 門 部 に か け て突 出す る よ うに局 在
Classification chromophobe た 理 由 と して は腫 瘍 径 の大 きな もの が多 くを 占 め た こ
Union
et aL:world た 症 例 は1例 の み で あ っ た.腎 部 分 切 除術 が 少 な か っ
on G, EpsteinJI, Gcnital て い る もの は外 科 的 治 療 で あ る.一 般 的 に予 後 良 好 と
例 中15例 が 腎摘 除術 を施行 し,腎 部 分 切 除術 を選 択 し
committee sautcr 尿
No. L Ie Cancer(UICC)and 80:987-989,1997
2)EbleJN, 3)泌
K, et al.:classification
cell carcinoma:Workgroup た だ し,予 後 不 良 で あ っ た 肉腫 様 癌 も し く はBellini
が予 後 不 良 で あ る とい う傾 向 は 嫌色 素 性 細 胞 腎癌 にお
Adlakha renal and its variants-
and Lieber MM=
carcinoma:clinicopaJ Urol 154:964-
H, Linjawi T, et al.:Chromo-
carcinoma of the renal study aL:
l551277-287,1988
of 50 cases. Kardar et kidncy:a
of 21 cases・Am J surg
l9:1245-1256,1995
哲
郎,大
石
幸
cell renal 泌 尿
彦,飯
carcinomaの
会 誌87:1167-1174,1996
塚
典
男,ほ
臨 床 病
か:Chro理
学 的 検
6
泌尿 紀 要 52巻
9)Peyromaure M, Chromophobe V , Thionn renal cell carcinoma cases・Cancer 10)T・ki Misrai N, et al.:
analysis of 61
lOO;1406-1410,2004
renal cell carcinoma. chemical study ・m・-
an immunohisto-
中 香 理,松
of 21 Japanese 野 正,小
腎 細 胞 癌 の1例.泌
cases. Modern
林 真 也 ,ほ
か:嫌
色 素 性
尿 器 外 科13:1293-1295,
matoid and N, noma M, Tulbah A
, Kardar AH, renal cell carcinoma:the 13)Nagashima J surg Y, Chromophobe renal change:acase chromophobe Pathol Okudela et al.:Sarco-
elements, 16)Petit Castillo 豆7)van 21:1188-1195,1997
K
, Osawa cell carcinoma report. Pathol Surg A, et aL:
with sarco-
Res Pract
phase M, collecting in different AT, Santos M, renal Judson e伍cacy of gaStrOinteStinal I study. duct Lancet carc呈.
et al.:KIT
cell carcinoma:
analysis of KIT
renal cell neoplasms. oosterom and et al.:
cell carci-
Int 55:360-365,2005
immunohistochemical 28:676-678,2004
metaStatiC duct
N, renal and Pathol Safety Nakaigawa Pathol in chromophobe expression con-
Y, nephron-derived chromophobe nomatous A, collecting componets・Arch
127:e38-e40,2003
Inayama distal with type, with sarcomatoid Med 15)Kawano comparative nection・Am matoid chromophobe carcinoma expression 2000
12)Akhtar carcinoma, Composite Pathoi 12:310-317,1999
11)今
2006年
Pathol正ab A, N・k・t・ni Y, Mi・ugi K,・t・1.・Ch・
phobe 1号
I, verweij imatinib StrOmal Am J
J, et aL=
(STI571) in
tUmOUrS:a
358:1421-1423,2001
196:647-651,2000
14)Gong Y, Sun X, Haines K
, et al,:Renal ceil
(員::謡臨ch;1:1991)