(珊瑚状あるいは多発)腎結石症例に対するTULの検討

451(485)
PP−353 砕石困難(珊瑚状あるいは多発)腎結石
PP−355
症例に対するTULの検討
ESWL後3年以内の残石成長に影響す
る因子
水戸赤十字病院
稲城市立病院泌尿器科1),東海大学東京病院2〕
大塚 勝太,上村 修一,宮下 由紀恵,野澤 英雄
松崎 章二’),松下 一男2),長妻 克己1)
【目的1珊瑚状あるいは多発腎結石へのESWL単独による砕石
【目的】ESWL後3年以内の残石の成長に影響を及ぼす因
は有効な場合も多いが、砕石や排石に難渋する症例が少なくな
子について、ロジスティック回帰分析を用いて解析した。
い。またPNLによる砕石も有効ではあるが、その侵襲が機能お
【対象】腎結石にソノリス3000を使用してESWLを行っ
よび形態上問題となる場合がある。そこでそれらの結石にTUL
を施行した症例を検討し、適応拡大の可能性を検討する。【対象
た。砕石片が完全に排出されなかった患者213名を対象と
した。【方法】多変量解析の因子は性別、初診時年齢、再発
歴、BMI、結石数(単結石、複数結石)、結石サイズ、結石
と方法】2002年6月から現在までの問にTULを施行された、珊
瑚状結石と2個以上の多発腎結石(各大きさ10mm以上)の26
症例を検討した。ESWL先行症例を含めるが、砕石効果不良の
ものに限定した。内視鏡は硬性および軟性尿管鏡、砕石機器は
Ho−YAGレーザーおよびLithoclastを使用。【結果】ESWL先行
は22例、初回よりTULを選択したのは4例。初回TUL施行後
の成功率(約1ヶ月後、KUBにて残石4mm未満或いは残石な
し)は34.6%。ESWLの追加は15例、TUL追加は4例で、初回
の位置(上、中、下腎杯、腎孟)、尿路の形態異常の有無、
尿中結石形成関連物質異常(高穆酸尿、低クエン酸尿、高
カルシウム尿、低マグネシウム尿、高尿酸尿)の有無、代
謝異常(シスチン、高尿酸血症、RTA)の有無、尿路感染
症の有無である。【結果】213名中77名に残石があり、その
中で26名に3年以内に残石の成長が確認された。BMI高
た。TULの繰り返しのみで完全排石した珊瑚状結石も経験し
値、尿路の形態異常、尿中結石形成関連物質異常、代謝異
常に有意差が認められた(各々pコα0435、P=OO379、p=
α0421、p=O.0312)。24時間篠酸排泄量に有意差が認めら
た。【考察】珊瑚状結石或いは比較的大きな多発腎結石は、TUL
れた(p=0.0162)。【結論】残った砕石片は1年から3年にか
単回での成績は決して満足いくものではないが、ESWLあるい
けて急激に成長することが確認された。この成長には尿路
の形態異常、BMI、尿中結石形成関連物質異常、代謝異常
が関係していた。尿中結石形成関連物質としては修酸排泄
量が成長の重要な因子であった。
TUL後およそ半年以内の成功率は619%、!年で73、1%であっ
はTULをその後追加することで比較的良好な成績を得た。こ
のような砕石困難な腎結石において、PNLも単回で終了する症
例は決して多くは無く、TULも砕石手段として同等に選択肢の
中に挙げられる可能性があると考える。
PP−354 珊瑚状結石の治療経験
PP−356
体外衝撃波結石破砕術治療時の衝撃波進
入方向による砕石効率の検討
同愛記念病院1〕,東大病院泌尿器科2)
山田 雄太1〕,藤村 哲也2),山口 剛1),河村 毅1),
久留米大学医学部泌尿器科1),高邦会高木病院2〕
井上 滋彦1〕,柿沢 至恕1),西松 寛明2〕,平野 美和1),
冨安 克郎1),豊澤 徳行2),斉藤 孝二郎1),松岡 啓1〕
北村 唯一2〕
【目的】ESWL治療時に衝撃波を進入させる部位によりそ
の効率が変化するかどうかを検討する目的で尿管結石に対
して腹側から照射したものと背側から照射したもので効率
が異なるか否かを検討した。【対象と方法】対象は、2004
緒言:サンゴ状結石に関しての治療方法は難しく、いまだ
に放置される症例も多い。しかしながら、無治療で経過観
察すると長期的には慢性腎不全を合併することがある。今
回我々は、当科におけるサンゴ状結石の症例につき検討し
た。対象と方法:サンゴ状結石の患者32例の治療方法や砕
石の有無を評価した。結果:平均年齢は、60.2歳。男性17
例、女性15例であった。また、結石は右側が14例、左側
が15例、両側が3例であった。ESWL施行例が18例、PNL
が7例、TULが8例、腎臓摘除術施行例が5例、無治療が
6例であった。Stonefreeに至った症例は、28例中6例で
あった。これらの6例中5例はESWL単独でstonefree
に至った。また、ESWLの平均施行回数は全体で2・4回、
stone free症例では、32回であった。考察:サイズが比較
的大きいサンゴ状結石の症例は腎臓摘除術を施行されてい
年6月から2006年5月までの2年間にMPL−9000を用い
て超音波ガイド下に治療した上部から血管交差部までの尿
管結石である。今回の検討では、長径が07cmから1.5cm
までの結石で1回の治療で4mm以下まで砕石された症例
のみを腹側から照射した群と背側から照射した群に分類
し、治療中の電圧と衝撃波数について後ろ向きに検討した。
【結果】腹側からの照射群(腹側群)が33例で、背側から
の照射群(背側群)が92例であった。腹側群の治療中の電
圧は148Kv±097Kvで背側群は、14.1Kv±LIKvであった。
両群問に有意差を認めた。(p<0.001)腹側群の砕石に要し
た衝撃波数は、1295発±496発で、背側群は、1814発±483.
た。サイズの小さい結石はESWL,TULなどの治療方法で
発であった。両群間に有意差を認めた。(p〈O.001)【結論】背
stonefreeに至る症例もあった。無治療の症例についても
詳細に検討する予定である。
側群と腹側群を比較した場合、腹側群が少ないエネルギー
と少ない衝撃波数で結石を砕石していた。従って、今回の
検討で、ESWLで結石を砕石するにあたり、衝撃波の進入
方向で砕石効率は変化することが示唆された。