同種造血幹細胞移植における移植前 body mass index と 予後の関連についての後方視的研究 研究対象: 2000年 1 月から 2010 年 12 月までの期間に、白血病、悪性リンパ腫などの 造血器疾患に対して同種造血幹細胞移植を行った日本造血細胞移植学会データ ベースに登録された全症例の中から BMI(身長および体重)のデータがある症 例を対象とします。 研究の概要: 肥満は世界的にも生活習慣病として問題となっています。その一方でがんの患 者さんにおいては低栄養が問題です。同種造血幹細胞移植においても移植前に 肥満および低栄養である患者さんは移植を行った後の経過においても肥満およ び低栄養が影響する可能性があります。 これまで複数の後方視的(既に調査・検討が行われた)研究から移植を行う前の body mass index(BMI)が低い場合および高い場合が移植を行った後の経過 に影響する可能性があると報告されています。しかし、これらの研究は欧米の データベース(情報を集めた状態)では低 BMI が非常に少なく、逆に日本のデ ータベースでは高 BMI が非常に少ないことから、低 BMI と高 BMI を同一のデ ータベースを用いて統計解析を行うことが困難でした。 この度、同種造血幹細胞移植症例での大多数の解析を行うことで、より明確に、 移植を行う前の BMI の高低が移植を行った後の病状の見通しに与える影響とな っているかが分かってきます。 研究の意義: 同種造血幹細胞移植を受ける患者さんにおいて移植を行った後の感染症や GVHD(移植片対宿主病)などは発症後の死亡率が高い合併症のひとつであり、 造血細胞移植医療における本研究の意義は極めて大きいものです。同種造血幹 細胞移植を行う前に BMI の最適化を図ることで、その後の病状の見通しが改善 される可能性が出てきます。 目的: 同種造血幹細胞移植を行う前の BMI の高低が移植後に特定の合併症の増加に働 きかけているかどうかを検証し、肥満および低栄養を有する症例の移植後の成 績向上に貢献することを目的とします。 方法: 既存の日本造血細胞移植学会(http://www.jshct.com/)のデータベースに登 録されている症例の内、2000年 1 月から 2010 年 12 月までの期間に初回の 同種造血幹細胞移植を受けられた患者さんが本研究の解析対象となります。対 象となった患者さんの背景などの情報をデータベースから抽出して統計的な解 析を行います。 個人情報保護に関する配慮: 日本造血細胞移植学会から受け取るデータは個人を特定できないように既に記 号化した番号により管理されています。また、この研究で得られた成果は学会 や学術論文などに発表されることがありますが、個人情報が発表されることは ありません。解析中に作成するデータベースも発表などが終わりましたら速や かに破棄します。しかしながら、患者さんからのご希望があれば、その方のデ ータは研究に利用しないようにしますので、いつでも次の連絡先までお申し出 ください。 照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先: 国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科 藤 重夫 〒104-0045 東京都中央区築地 5-1-1 電話番号:03-3542-2511/FAX 番号:03-3542-3815
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