2015年5月 NPPV応用編 - 医療法人 徳洲会 大垣徳洲会病院

発行日 2015.5.20
みなさんこんにちは。大垣徳洲会病院
医療情報誌
です。
臨床工学科が発行する
BiPAP・VELAでのNPPVの違い
当院で使用しているBiPAP SynchioronyとVELAでは同じNPPVでもマスクや回路が違います。ここ
では機器の特徴も含めてその違いを解説します。
【BiPAP Synchiorony】
一般にマスク換気と呼ばれている機器で、大型の
BiPAP VISIONと同様の開放式マスクを使用しま
す。これは呼吸器の回路が送気のみで構成されてお
り呼気が開放式のマスクから排気されることで換気
を行います。呼気がマスクから排気されるため、患
者様の息苦しさが(閉鎖式と比べると)軽減されて
います。しかし、呼気が戻ってこないため正確な換
気量が測定できないといった欠点もあります。
【VELA】
挿管式人工呼吸器でのNPPVは近年になっ
て追加されました。通常の呼吸器回路と
閉鎖式のマスクを用いることで換気量や
酸素濃度の正確なコントロールが可能と
なっています。しかし開放式に比べると呼
気側回路を通って患者様の呼気が排出さ
れるため、やや息苦しさを感じることがあ
るようです。
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特徴・違い
BiPAP Synchiorony
VELA
○開放式マスクを使用
○呼気がすぐ排出されるため息苦
しさが少ない
○送気量と酸素投与量から酸素濃
度を計算、100%投与ができない
○酸素の加湿のみ
○本体が小さく在宅での使用も可
能、在宅使用の練習も出来る
○S/T、IPAP、EPAPといった独自
の設定、モード
○リーク許容量が40L/min
○閉鎖式マスクを使用
○呼気が呼気回路を通るためやや息
苦しい
○21~100%までの酸素濃度設定
が可能
○人工鼻を用いた加温加湿
○本体が大型かつ酸素配管が必要
なため在宅使用は難しい
○SIMV、換気量、PEEPといった呼吸
器の設定がそのまま使える
○リーク許容量が40L/min
○挿管から抜管後のウィーニングま
で1台同一回路で対応可能
マスクの種類
マスクには大きく分けてネーザルマスク(鼻)、フルフェイスマスク(鼻口)、トータルフルフェイス(顔面)の3種
類の物があります。それぞれの用途や特徴は以下の表のようになっています。当院では鼻口マスクを第一選
択で使用することが多いようです。
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マスクの選択方法
マスクは患者様の状態や顔のサイズ等で選択されます。下の項目を意識しながら選択するのが良いでしょ
う。また、眉間に当たる「サポートアーム」の角度を微調整機能して、目の付近や口の下からの空気漏れを
軽減するのも必要です。
○口の廻りにフィットするサイズを選ぶ(マスクの上端は鼻根部とし、下端は下唇を覆う程度に、あごの下に
マスクが落ちないようにする)
○睡眠中に口が開いても唇がはみ出ない
○目にあたらない
○鼻孔がはさまったり、閉塞しない
○きつくしすぎてスキントラブルに注意する。
合併症
対処方法
皮膚トラブル
マスクフィッティングに注意する(強く締めすぎない)
マスクの種類やサイズの調節
皮膚保護材(デュオアクティブET・CGFなど)の使用
口腔・鼻腔内の乾燥
加温加湿器の加温加湿レベルの検討
マスクからのリーク(漏れ)の有無
保湿剤などの使用
結膜の乾燥
加温加湿器の加温加湿レベルの検討
マスクからのリーク(漏れ)の有無
マスクの種類やサイズの調節
点眼
腹部膨満
胃管の挿入
設定圧の調整
マスクからのリーク(漏れ)の有無
圧迫・不快感
マスクフィッティングに注意する(強く締めすぎない)
マスクの種類やサイズの調節
マスクからのリーク(漏れ)の有無
設定圧の調整
問い合わせ先
NPPV使用に伴う合併症と対処方法
NPPVはマスクを使うこと、陽圧換気を行うこと、大量の空気
を送ることで様々な合併症が発生します。合併症と対応を
下記の表にまとめました。特に皮膚トラブルは頻繁に起こり
ますのでマスクのフィッティングには十分な注意が必要です。
2015年5月号
臨床工学科 内線 2038
制作・編集担当 中野 路子
坂口 耕一郎
次回実践編 装着の手順 観察項目 マスクから挿管
への移行タイミング など