P1−63 P1−64 人工血管感染の外科治療 鈍的胸部大動脈損傷症例の検討 高知大学 医学部 呼吸循環再盤外科 1久留米大学 医学部 外科学 2周 高度救命救急センター 割石精一郎、西森 秀明、福冨 敬、籏 厚 笹栗 志朗 【はじめに】入工血管感染に対する外科治療戦略は, 手術時期,感染人工血管の処置,再建の手順・方法な どを考慮し,症例ごとに検討されている.今獺,当院 における人工血管感染をきたした症例を検討し,治療 細川 幸夫1、飛永 覚1、田中 厚寿… 石原 健次…、岡崎 廣松 紳一…、大塚 栄基… 悌之1、田山 裕之1、永川 中村 英司1、明石 英俊t、坂本 青柳 成明1 紀子嘩 照炎2 歳・男性9例,女性3例・発生部位は,胸部(丁群〉5 例,腹部(A群)5例,末梢(P群)2例であった.起 【目的】外傷による大動脈損傷は、生命予後に関わる 重篤な疾患であり、特に大量出血を伴う多発外傷の場 合、治療方針を迅速に決定し速やかに外科的加療を施 行されることカぜ望まれる。今圓我々は、当施設で経験 した鈍的胸部大動脈損傷痙例について検討し、文献的 炎菌は,MRSA4,MRSE!,Staphylococcus2, 考察を加えた。 Streptococcus2,Enterobacted,Candida1,不明 【対象と方法11995年1月から2005年6月までに当院外 科及び救命センターに搬入された鈍的胸部大動脈損傷 方針を展望する. 1対象】2000年!月以降の5年間に12例の外科治療を要 する人工血管感染症例を経験した.傘齢70±9(53−91) 1であった、手術以外の感染契機として,感染性動脈 瘤3(丁群2,A群!),虫垂炎穿孔1(A群),術後 造影による菌血症2(P群)が考えられた.緊急で先 行手術が施行されたものが5例(丁群3,A群2)で あった. 【手術i基本方針は,洗浄・ドレナージ,抗生剤治療 を行い,肉眼的排膿が消退したところで,大網充填と した.吻合部破綻出血・仮性動脈瘤破裂症例は緊急手 術とした.丁群;感染性動脈瘤術後の2症例は吻合部 仮性瘤がそれぞれ肺,食道に穿破し,肺切除,食道切 除とともに遠位弓部再置換,下行再置換を施行した. 遠位弓部置換術後中枢側吻合部出瓶の症例は全弓部澱 換を施行した・他の2症例は洗浄・ドレナージ後,大 網充填した、A群;術後早期感染の1例は瘤壁除去・ 大網充填を施行した.3例に非解剖学的バイパス・人 工血管除去・大網充填を行った.人工血管一ナニ指腸 痩症例は,術中ショックとなり,痩孔閉鎖を施行した. P群;RPバイパス術後感染の2症例は,!例に膝上部 までの大網充填,閉塞入工血管出血の1例に人工血管 除去を施行した. 1結果】急性大動脈解離術後縦隔炎の!例(孚群), 28例について検討した。 1結果1男性:女性23例:5例で平均年齢44.9±i1.0 歳であった。鈍的胸部外傷の約12.8%に心臓、胸部大 動脈損傷を合併していた。外傷機転の内訳は交通外傷 26例(自動車10例、二輪車12例、歩行者4例)、転落 工例、他i例、であった。搬入時、心肺停止状態7例 (25.0%)、ショック状態19例(67.8%/であった。心 臓大血管損傷部位は、心破裂8例(28.5%)、心挫傷3 例(10.7%)、上行大動脈1例(3.5%)、大動脈狭部か ら下行大動脈15例(53.5%)、下大静脈1例(3.5%)で あった。併存外傷部位は、肋骨骨折16例(57.i%)、 腹腔内臓器損傷9例(32.1%)、骨盤骨折7例(25.0%)、 肺挫傷12例(42.8%)、四肢骨折6例(21.4%)、頭部外 傷3例(10.7%)であった。搬入時約9割の患者が重 篤な循環虚脱状態であり、急性期に手術室での外科的 加療に至ったものはio例(40%)であった。王SSにつ いては、死亡例:非死亡例誕0.4土!5.0:20.6±15.7(p皿 0.OlO<G.05)、胸部大動脈損傷例:非胸部大動脈損傷例二 37.8±15.0:i9.6±14.9(p皿0.008<0.05)であった。治 例,起炎菌がMRSAである症例は,異常判明早期の 療成績は、死亡20例(7L4%)、生存8例(28.5%内、 3例は慢性期に手術施行)であった。生存例に施行さ れた外科的加療は、経皮的SteRtGra{t内挿術4例、大 動脈下行置換術/例、心嚢dralnage1例、弓部部分置 換術1例、AVR+CABG1例であった。 1結語】心臓及び大動脈損傷症例は、鈍的胸部外傷に おける工SS、死亡率は有意に高かった。胸部大動脈の 損傷部位は大動脈狭部が有意に多かった。外傷機転の 特性上多くが多発外傷であり、手術室での加療に至ら ない場合が多かった。少量ヘパリン化で施行可能な経 皮的Ste溢Graft内挿術は有効な治療法として考慮すべ 外科治療が望まれる. きである。 人工血管一十二指腸旗の!例(A群)を多臓器不全で 失った.その他は,感染制御可能で,経過観察中であ る.感染性動脈瘤術後症例,起炎菌がMRSAであっ た症例は,全例,吻合部出血をきたし,緊急手術を要 した. 【まとめ】L人工血管感染の治療には特に慎霊な経過 観察が必要であり,症例ごとに治療方針を検討したう えで,時を逸さない手術介入が重要である.2.大網充 填が感染制御に有効であった.3・感染性動脈瘤術後症 一260一
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