肺化膿症の臨床的検討

第31回日本呼吸器内視鏡学会学術集会・プログラム・抄録集
一般口演
OR4−2 肺化膿症の臨床的検討
鍵山 奈保・高柳 昇・松下 文・原澤 慶次
米田紘一郎・宮原 庸介・山口昭三郎・矢野 量三
徳永 大道・齋藤 大雄・倉島 一喜・生方 幹夫
杉田 裕
埼玉県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
一般口演4
【目的】肺化膿症の臨床像および起因菌を明らかにする.【対象・方
法】1996年から2GO7年の間に診断した肺化膿症185例を対象に臨床
症例解析
像および起因菌・起因菌同定方法について検討した.起因菌同定に関
しては経皮的病巣穿刺,気管支鏡下無菌ブラシ,胸水穿刺,血液培養
により検索した群を無菌的操作群,喀疾,気管支洗浄で検索した群を
非無菌的操作群とした.【結果】男性151例,平均年齢594±1L8歳.
無菌操作群112例.患者背景は歯科疾患を107例(578%),アルコー
座長 木村 弘
ル多飲25例(13,5%)に認めた.何らかの全身疾患を73例(395%),
うち糖尿病は39例(21.1%)に,基礎肺疾患は19例(10.3%)に認め
た,病変部位は右上葉63例,左上葉40例であり,103例(55,7%)が
上葉であった.起因菌同定が可能だったのは全体で105例(568%)
であった.無菌操作群での同定は89例(79.5%)だったのに対し,非
無菌操作群では16例(219%)であった.無菌操作群のうち,気管支
鏡下無菌ブラシでの同定は60例(833%)であった.同定した菌の種
類は1菌種65例,2菌種以上40例であった.起因菌としては口腔レ
ンサ球菌49例,その他の口腔内嫌気性菌33例,クレブシエラ10例で
あった,【結語】患者背景として歯科疾患を有していることが多く,病
変は上葉に多かった.菌同定には無菌操作がすぐれており,起因菌と
しては口腔レンサ球菌および口腔内嫌気性菌が多かった.
OR4−1遷鰭及び1曼性咳に関する臨床白勺検討
OR4、3 当院における経皮的気管切開術(PT)と外科的
気管切開術(ST)の検討
小山ひかりL大林 王司1・吉嵜 友之L藤野 昇三1
石田 正之12・山本 彰1・中間 貴弘1・鈴木 基2
藤田 賢一1・大田 健2・滝澤 始1
1帝京大学医学部附属溝口病院;
2帝京大学内科呼吸器アレルギー科
1医療法人近森会近森病院呼吸器科;
2長崎大学医学部歯学部附属病院感染症内科(熱研内科)
目的:4週間以上持続する咳を主訴に来院する患者は多く,こ
れらの鑑別診断は重要である.我々は外来初診患者を対象に問
診表と各種臨床検査を用いて,原因疾患の内訳・臨床像につき
検討した.方法:平成19年1月から12月までに当科外来に咳
を主訴に受診した患者を対象に,IPAG診断治療ハンドブック
に基づいた間診,胸部レントゲン検査,一般臨床検査,好酸球数
総IgE,特異的IgE,百日咳・マイコプラズマ・肺炎クラミジア
に対する抗体,喀疾中好酸球,呼吸機能検査,上部消化管内視鏡
耳鼻咽喉科的検索を行った.咳の鑑別は各疾患別及び呼吸器学
会咳蹴に関するガイドラインに準じたが,吸入ステロイドが有
効だった咳喘息を含むアレルギー性気道炎症を便宜的に咳喘息
群とした.結果:4週間以上続く咳の患者は49例であった.男
【目的】当院における2つの気管切開術手技における有用性を検
討.【対象】2005年8月∼2007年12月までに当院で気管切開術を
施行された患者53例(ST群29例,PT群24例).PT群は23
例で気管支鏡補助下に施行,9例でラリンゲルマスク(RM)を併
用した.【結果】平均年齢は68.7歳(ST群62.7歳,PT群76.1
歳).手術時間はST群で平均29分30秒(他の手術との併用6
例,詳細不明1例を除く),PT群で平均10分30秒(STへ変更さ
れた1例,詳細不明1例を除く)であった.特にRM併用では8
分であった.術中から術後1日までの出血量が10m1以上の症例が
ST群9例(409%),PT群1例(4.7%)であった.その他合併症
としては,皮下気腫を両群に1例ずつ,術後1日以上出血が持続し
性28例,女性21例,平均45.5歳.最終診断は,咳喘息群(CVA)
た例をST群で一例認めた.また呼吸状態の変化によりPTから
STへと手技を変更した例を1例に認めた.PT群では,RM未使用
群で,挿管チューブの再固定や気管支鏡挿入時のチューブ位置移
15名(30.6%),気管支喘息(BA)14名(28.5%),COPD5名
動で時間を要する例(手術時間には含まない),手術中のチューブ
(10.2%),CVA+胃食道逆流症2名(4.1%),その他11名(224
位置の移動で時間を要する例が認められた,【考察1今回の検討で
%)で不明例は2例であった.考察:CVA,BA,COPDの三疾
は,両群ともに大きな合併症は認められず,PT群で手術時間が短
患が全体の約70%を占めた・これら疾患の最近の増加傾向を反
映していた.吸入ステロイドが有効なアレルギー性咳は約60
%を占めた.これらの疾患の鑑別を適切に行うことは,有効な治
時間で施行でき,出血量も少ない傾向にあった.PT施行時に気管
療と患者の満足度向上のために重要である、
スクマネージメントの観点からも有用な手技と考えられた.
支鏡の補助を行うことで可視下に安全に施行でき,さらにRMを
併用することで,安定した換気下に施行することが可能であり,リ
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