農商工連携の経済的パフォーマンス評価手法の開発 - 九州農業研究

農商工連携の経済的パフォーマンス評価手法の開発
○大西千絵・森嶋輝也
1)
(九州沖縄農研・ 1) 中央農研)
料プレミアムは+82.02 であった。
【目的】
農商工連携の経済的パフォーマンスを評価する
次に,農商工連携による販売場所の確保につい
ための手法を開発する。本研究では,遺伝的アル
て検証した。本研究では,ファーマーズマーケッ
ゴ リ ズ ム の 考 え 方 を援 用し , 連 携 関 係 の 有 無を
ト(FM)で販売した場合の利得上乗せ分を FM プレ
GTYPEと呼ばれる表現方法で整理する。GTYPEごと
ミアムとして求めた。商品によって差はあるが,
に利得を計算し,農商工連携の経済的パフォーマ
平均で FM プレミアムは+259.64 であった。
そして,一次加工メーカーとの連携による売上
ンスを評価する。
【対象および方法】
農商工連携の経済的パフォーマンス評価手法
の上乗せ分として,一次加工プレミアムを求める。
を開発するために,JAあしきた,調味料加工メ
た場合の売上を比較して求めた。その結果,一次
ーカーF社,食品一次加工メーカーH社の農商工
加工プレミアムは+44.83 であった。
連携の事例を用いた。
(2)GTYPE ごとに経済的パフォーマンス指数を求
まず,事例を元に,(1)農商工連携によって
一次加工メーカーと連携した場合と連携しなかっ
める
得られる利得上乗せ分(プレミアム)を求める。
GTYPE を元に,農商工連携の経済的パフォーマ
次に,
(2)得られたプレミアムを元に,GTYPE
ンス指数を求める。パフォーマンス指数の計算は
ごとに得られる経済的パフォーマンス指数を推
Excel を用い,(1)で求めたプレミアムを元に計
計する。そして,(3)事例における実際の売上
算シートを作成した。GTYPE を入力すれば自動的
と推計された経済的パフォーマンス指数を比較
にパフォーマンス指数が求められる。報告におい
し,評価手法の妥当性を検証する。なお,経済
て,計算シートの使い方と見方を説明する。
的パフォーマンス指数は,本研究で開発した独
(3)評価手法の妥当性の検証
(2)の結果と実際の売上を比較し,本評価手法
自の指数である。
の当てはまりの良さを検証する。
【結果および考察】
品別の売上と利得との相関係数=0.60,回帰分析
(1) プレミアムを求める
まず,一般的な原料を使った場合と,農商工
の R^2=0.23。GTYPE 別の売上と平均利得との相関
連携により特別な原料を使った場合の商品価
係数=0.94,R^2=0.89,GTYPE 別一品平均の売上と
格の差から,利得上乗せ分として,原料価格プ
平均利得との相関係数=0.78,R^2=0.61 であった。
レミアムを求める。本研究では,JA あしきた
GTYPE 別の売上でみると,本評価手法は当ては
のサラたまちゃんおよびデコポンを使った場
まりが良いと言える。
合の原料価格プレミアムを求めた。サラたまち
ゃんの原料プレミアムは+14.32,デコポンの原
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