第 23 回 日 本 受 精 着 床 学 会 学 術 講 演 会 開催地 :大 阪・大 阪国 際会議場 二段階胚移植法(2step embryo trancefer)の有効性についての検討 〇西原卓志 村田泰隆 原馬尚子 達石沙貴子 福田博恵 奥 裕嗣 * 森本義晴 神崎秀陽 医療法人三慧会 IVF なんばクリニック 関西医科大学産科学婦人科学教室* 【目的】近年、胚による子宮内膜胚受容能誘導機構の概念が提唱され、その概念に基づい た胚盤胞移植の応用方法である二段階胚移植方法により、高い妊娠率が報告されるように なった。今回その有効性について検討したので報告する。 【対象と方法】平成 16 年1∼12月に、二段階胚移植を予定した 48 症例 56 周期(A 群) を対象とし、同時期に行った胚盤胞移植を予定した 77 症例 81 周期(B 群)と種々のパラ メーターにつき比較を行った。また二段階胚移植を予定した症例のうち、前回胚盤胞移植 を行ったにも関わらず、妊娠に至らなかった 18 症例 18 周期(C 群)、IVF-ET 施行回数が 4回以上の 33 症例 44 周期(D 群)、年齢 40 歳以上の 10 症例 11 周期(E 群)について種々 のパラメーターについて検討した。 【結果】A 群と B 群との比較では、平均年齢、hMG投与量、採卵数、胚盤法到達率、子宮 内膜厚で差が無かった。平均 IVF-ET 施行回数が A 群 5.8 回、B 群 4.5 回、合計移植胚数が A 群 2.5 個、B 群 1.8 個でともに A 群が有意に高かった。A 群の胚移植キャンセル率 (1Step,2Step 共にキャンセル)は 0.0%(0/56) 、B 群は 30.9%(25/81)で A 群で有意に 低かった。胚移植あたりの妊娠反応陽性率(妊娠率)、多胎率には差が無かったが、着床率 は A 群 17.1%(24/140)、B 群 30.6%(30/98)で、B 群で有意に高くなった。C 群は妊娠 率が 38.9%(7/18)、着床率が 17.0%(8/47)であった。D 群は妊娠率が 33.3%(13/39)、 着床率が 15.6%(15/96)であった。E 群は妊娠率が 18.1%(2/11)、着床率が 10.3%(3/29) であった。 【考察】同時期に施行した胚盤法移植予定症例と比較し、胚移植数は増加するものの多胎 率は増加せず同様の妊娠率が得られ、キャンセル率を低下させることが出来た。また胚盤 胞移植で妊娠に至らなかった症例でも 38.9%の妊娠率が得られたことより、二段階胚移植 法が子宮内膜の胚の受容能を促進することにより妊娠率を向上させる可能性を示した。
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