平成 26 年度東京都立総合芸術高等学校経営報告

平成 26 年度東京都立総合芸術高等学校経営報告
校長
佐藤 清親
1.26年度の取組みと自己評価
(1) 教育活動への取組みと自己評価
① 学習指導 授業で基盤、自学で定着と発展
ア.授業への取り組み姿勢は向上している。普通教科の重要性や家庭学習の確保について、全校集会時の校長の話
で繰り返し指導したが、家庭学習については全年次において時間の確保に課題がある。
イ.試験前の補習をはじめ、放課後勉強会や質問が増加している。
ウ. 7月~8月に各普通科及び学科が受験対策の講習会を実施。参加者数は数値目標を参照。
エ. 2月12日に学力スタンダードを実施。基礎の3科目において、いずれも同グループを上回り、合計点でグル
ープの平均徔点を26%上回った。161名のうち、本校が設定した基準点を下回った者は延べ人数で7人であ
る。これらの者に対する事後指導が重要である。
◎これらの取組みにより生徒の学校における学習姿勢は好ましく、学力も向上傾向が見られるが、家庭学習
における普通教科の習慣化が大きな課題である。
② 進路指導 進路決定率のさらなる向上
ア. 4月16日(水)に3期生に対して、進路のしおりを使い進路ガイダンスを行った。
イ. 5月10日(土)に3年次保護者を対象に進学保護者会を科ごとに開催した。約7割の保護者が参加して、セン
ター試験等の周知を図った。
ウ. 5月21日(水)に母体校も含めた卒業生を招き学科別の進路懇談会を開催した。3年次生全員が参加し、先輩
たちから具体的な学習方法等を学ぶ場になった。
エ. 国語、英語に関しては、センター試験の内容を充分に組み込んだ取り組みを授業内で行った。
オ. 美術科で11月に入試実技模試、美術科・音楽科で7~8月及び、音楽科は1月中旬以降に希望者に対して
入試対応講習会を実施し、専門実技の向上を図った。
カ. 大学入試センターへの対応のために、12月にセンターマーク模試を実施した。
キ. 進路指導部が全体に関わる指導を要所で行い、学科の専攻担当者が進路志望について指導、担任との面接で
進路目標を定めた。
◎これらの取組みにより、第3期生の進路実現率は70,7%であった。国立大学志望の生徒たちが多く、
次年度の合格に向けて準備する。
③ 生活指導 マナーの定着と遅刻指導
ア. 4月の全校集会時に生徒指導部からマナーと時間を守ることについて話し、学期の節目に年次が中心となり、
遅刻者指導週間を行った。年度末には生徒指導部が重点的に遅刻者指導を行った。
イ. 住宅地が隣接する環境においての近隣への配慮について管理職が指導した。
◎これらの取組みにより、遅刻者全体の人数は例年と変化が認められないが、1、2年次生とも出席率は
約98%と向上した。
④ 独自の教育活動 特色ある発表活動
ア.各科における学習成果発表の機会は、専任教員のほか非常勤講師や市民講師との好ましい連携のもとで実施さ
れた。いずれの発表会にも多くの来場者があり、たいへん高い評価を徔た。
イ.大学等との連携事業が美術科及び舞台表現科において活発に行われ、生徒の視野を拡げた。
◎これらの取組みにより、本校の教育活動を広く保護者や都民に周知できたと考える。
⑤ 特別活動 社会性の基盤
ア.コンテンポラリーダンスコースは、神戸市での全国大会で第2位にあたるNHK賞を一昨年に引き続き受賞
した。
イ.生徒会役員が生徒会行事を主体的に準備し、進行管理も行えるようになった。
◎この他にも生徒の学校行事への参加姿勢は好ましく、奉仕体験活動も望ましいものであった。
⑥ 健康づくり・防災教育
ア.スクールカウンセラーによるカウンセリングを35回行い、生徒及び保護者の相談に有効であった。
イ.生徒指導部によるセーフティー教室を2回実施し、生徒の安全に対する意識向上に役立てた。
ウ. 防災のための避難訓練を4回(防災講話を含む)、
5月に1年次生に宿泊を伴う防災訓練を実施した。
この中で、
今年度から始まった防災活動支援隊の活動に取り組んだ。
⑦ 広報活動 本校ならではの教育活動の発信
ア.夏季休業中に3科とも中学生を対象とした体験入学を実施した。
イ.10月及び11月に各科2回ずつ計6回学校説明会を実施した。
ウ.7月及び8月に施設見学会を実施する中で、在校生による説明を行い参加者から好評を徔た。
(2) 重点目標への取組と自己評価
① 学習指導 普通教科の強化
ア. 定期考査前の放課後に補習が多く組まれたり、生徒が質問に来たりの従前に加え、速やかな下校を促す指導
により丌用意に居残る者が減尐した。
② 進路指導 進路決定率のさらなる向上
ア. 第3期生157人の卒業生のうち国公立大学に11人、私立4年制大学に111人が合格した。
国公立大学のうち、東京藝術大学には9人(既卒者を加えると15人)であった。短期大学7人、専門学校5人、
就職3人、その他7人の合計143人が合格・内定を徔たが、このうち111人が進路決定を果たした。進路
決定率70,7%。その他の中には新国立劇場演劇研修所やNBAバレエ団、松山バレエ団、カナダゴーババ
レエ団等を含む。舞台表現科の進路決定率は97,3%と最も高かった。
③ 地域・都民への周知
ア. ホームページについて3学科の担当者を決め、こまめな更新を促進し、1日平均1,000回以上の閲覧者
を徔た。
イ. 第3回目となる新宿フィールドミュージアムに参加、文化祭や授業成果発表会に地域からの来場者が増加し
ている。
ウ. 小学校及び中学校へ11月の音楽科定期公演のお誘いをしたが、日程から来校できなかった。
2.次年度以降の課題と対応策
(1) 教員体制の確保
開設準備から7年が過ぎ、今後教員の人事異動が一気に進む。全都で唯一の芸術科の専門高校であることから、
他高校には例を見ない特色ある教育課程を理解した人材を確保する必要がある。そのために広く都内の公立学校か
ら本校を望んで異動して来られる教員公募制を復活させることが切に求められる。
(2) 現役で進路実現を果たせる指導
4年制大学合格者は延べ数で122人いるが、進学したのは91人に留まっている。複数の大学に合格している
事例も相当数あるが、第1志望の国立大学等への進学のため第2志望の私立大学に合格しても進学しない事例も見
られる。合格した際には進学する気持ちを持って第2志望校への受験を指導する。
(3) 家庭における学習時間の確保
数年間継続した課題である。生徒たちは専門学科の実技等のレッスンや制作には積極的であるが、普通教科の学
力の定着と向上には必須の家庭学習には消極的であり、この時間をいかに確保させるかが学校全体の課題である。
入学時から普通教科の授業で宿題や自主課題を不え、毎回の習慣とする取組みが必要である。
数値目標に対する結果 ※( )内は昨年度の実績。
(1)夏季休業中の講習会及び補習等への参加者の延べ人数を300人以上にする。
(新規)
→ 3年次生のみの集計 285人 (普通教科150人、美術科講習会80人、音楽科各種講習55人)
(2)第3期生の進路決定率を80パーセント以上にする。
(76.9%)
→ 111人が決定。決定率は70,7%であった。
(3)本校独自開催の学校説明会の参加者の総人数を780組以上にする。
(758 組)
→ 592組(美246組、舞169組、音177組)
(4)文化祭来場者数を3,800人以上にする。
(3,690 人)
→ 4,376人 (昨年度+686人、目標値+15,2%)
(5)本校の教育内容を中学生により広く理解していただくために、体験入学における各科の参加者について、
希望があれば対象を拡大して実施する。
①美術科申込者延べ人数310人以上を目指す。
(303 人)
→ 203人 (志望の高い生徒が絞られてきた)
②舞台表現科申込者延べ人数190人以上を目指す。
(189 人)
→ 136人 (志望の高い生徒が絞られてきた)
③音楽科申込者延べ人数130人以上を目指す。
(103 人)
→ 122人 (中学1、2年生の参加が増加し、目標値に近づいた)
(6)入学者選抜に関しては、昨年度の入学者選抜の実績を踏まえ
①推薦に基づく入学者選抜の各学科の平均倍率を4.6倍にする。
(4.5 倍)
→ 中進対データ4,1倍予想、実際の応募倍率4,46倍
②学力検査に基づく入学者選抜の各学科の平均倍率を現状維持の1.9倍にする。
(1.9 倍)
→ 中進対データ1,63倍予想、実際の応募倍率1,93倍
(7) 学校運営連絡協議会評価委員会アンケートによる生徒の学校生活充実度の肯定的意見数の平均を現状維持の
95%以上とする。
(95%)
→ 92%(生徒)、95%(保護者)、96%(教職員)であった。