t検定0 解説

●t 検定 0: 1 標本の母平均と基準値との差の検定(母分散σ2 未知)
正規母集団 N(μ,σ2)
(ただしσ2 未知)からの大きさ n のランダムサンプルの平均値 x と不偏分
散 V に基づいて母平均μに関する検定と推定を行うには,次の手順で行う.
★検定の手順
手順 1 仮説の設定
帰無仮説 H0 及び対立仮説 H1 を設定する.
H0:μ=μ0
H1:μ≠μ0
H1:μ>μ0
H1:μ<μ0
手順 2 有意水準の設定
α=0.05 またはα=0.01
手順 3 棄却域の設定
H0 の棄却域は,対立仮説 H1 の種類によって図 1~図 3 から選択する.
表
検定統計量
t0 
x  0
V /n
H0:μ=μ0 の検定(σ2 未知)
対立仮説 H1
棄却域 R
備考
μ≠μ0
t0  t ( , )
図1
μ>μ0
to  t ( ,2 )
図 2 右片側検定
μ<μ0
to  t ( ,2 )
図 3 左片側検定
両側検定
図 1 H0:μ=μ0 , H1:μ≠μ0(両側検定)における H0 の棄却域
-1-
φ=n-1
図 2 Ho:μ=μ0,H1:μ>μo(右片側検定)における H0 の棄却域
図3
手順 4
Ho:μ=μ0,H1:μ<μo(左片側検定)における Ho の棄却域
検定統計量の計算
サンプルの平均値 x と不偏分散 V を求める.
平均値
x
x
V
 x
 x  n
i
n
2
2
不偏分散
t0 の値を求める.
検定統計量
手順 5
t0 
i
i
n 1
x  0
V /n
判定
t0 と t(φ,α) 値,または t (φ,2α) 値を比較する.
① t0 の値が棄却域にあれば有意と判定する.
帰無仮説 Ho を棄却して,対立仮説 H1 を採択する.
② t0 の値が採択域にあれば有意でないと判定する.
帰無仮説 Ho を棄却しない.
-2-
★推定の手順
手順 1
母平均μの点推定をする
点推定
手順 2
̂  x  
xi
n
信頼率 100(1-α)%における母平均μの区間推定を行う
信頼上限
信頼上限
V
n
V
 L  x  t ( , )
n
U  x  t ( , )
ただし,φ=n-1
★推定と両側検定との関係
・信頼区間に比較値μ0 が含まれていれば、帰無仮説 H0:μ=μ0 が採択され、
両側検定は有意にならず、母平均μは比較値μ0 と異なるとは言えない。
・信頼区間に比較値μ0 が含まれなければ、帰無仮説 H0:μ=μ0 が棄却され、
対立仮説 H1:μ≠μ0 が採択されて、両側検定は有意となり、
母平均μは比較値μ0 と異なると言える。
★推定の解説図
-3-
★【例題】
買ってきた 6 匹の金魚の体長を測ったところ,次のようになった.
10.0
l1.0
l1.5
11.0
10.5
11.5
この金魚の体長は,10.0cm の金魚と異なるのかどうか,有意水準 5%で検定し,買ってきた金魚の母
平均を推定(点推定と区間推定)を行ってみる.
ただし,魚類図鑑からの情報では、金魚の体長の母分散がわからないということで考えてみる.
(1) 検定
手順 1 仮説の設定
帰無仮説 H0:μ=μ0(μ0=10.0cm)
対立仮説 H1:μ≠μ0
手順 2 有意水準の設定
有意水準α=0.05 またはα=0.01
手順 3 棄却域の設定
棄却域 R: t0  t ( , )  t (5,0.05)  2.571
手順 4
検定統計量の計算
平均値
不偏分散
t0 のの値を求める.
検定統計量
手順 5
x
65.5
 10.92
n
6
2

xi 
65.5  65.5
2

716.75 
 xi  n
6
V

 0.34
n 1
6 1
x
t0 
i

x   10.92  10.0 0.92


 3.83
0.24
V /n
0.34 / 6
判定
t0=3.83 > t (5,0.05)=2.571
この結果,有意水準α=0.05 で有意である.したがって,帰無仮説 Ho が棄却され,対立仮説
H1 が採択される.
従って、買ってきた金魚の母平均は,10.0cm と異なるといえる.
(2) 推定
手順 1 点推定
点推定 ˆ  x  10.92
手順 2 信頼率 95%の区間推定
信頼上限
信頼上限
V
0.34
 10.92  2.571
 10.92  0.61  11.53
n
6
V
0.34
 L  x  t ( , )
 10.92  2.571
 10.92  0.61  10.31
n
6
U  x  t ( , )
-4-