数理統計学 西 山 (前回)例題【2】 正常なブレーキなら時速40KMから急ブレーキをかけたと き40メートルで止まれるはずとする。甘くなっていたブレー キを修理して試したところ 41.8, 41.6, 41.1, 39.1, 39.2, 39.8, 40.7, 41.0, 40.6, 43.1 という結果になった(単位:メートル)。 「ブレーキは正常」それとも「ブレーキは甘い!」 ヒント: 標本平均=40.8 不偏分散=1.483 どんなT値を異常と判定する? 対立仮説(H1)による 40.8 40 T0 2.1 1.483 10 ひくいT値で 甘いと判定する? 異常 要注意は 高すぎるT値だけ 正常 異常 <片側検定>と呼びます 授業ここまで 6/28 40.8 40 T0 2.1 1.483 10 このT値は大きすぎる ブレーキは甘いようだ 限界値 正常 異常 検定は二択問題です 帰無仮説(仮置き) 対立仮説(異常状態) ブレーキは正常 vs ブレーキは正常でない ブレーキは正常 vs ブレーキは甘い <片側検定> ブレーキは正常 vs ブレーキがききすぎる <同じ> • 血圧は正常 vs 高血圧! • 運転技術は十分 vs まだ未熟 • 得点は合格 vs 得点は不合格 片側検定 標準値(T値)で限界値を決める点が勘どころ 検定の手順 1. 2. 3. 有意水準を決める(5%、10%、1%) 帰無仮説と対立仮説の確認 棄却域の設定: 両側か、片側か(右側か、左側か) 「どんな値が有意か?」の定義 4. 5. 6. 帰無仮説の母平均(μ)を前提する サンプル結果を標準化してT値に直す。標準誤差が確定し ているなら標準値(Z値)。 T値が棄却域に入るか?入れば棄却(結果異常)、入らな ければ採択(結果正常)。 ここまでが、検定の第一段階。第二段階があります。 例題【1】片側検定が必要な場合(左側) あるメーカーの新型電池は耐久電池1000時間を保証し ている。最近、「すぐ切れる」というクレームが相次いで 寄せられた。そのため、20個のサンプルをとって、計測 してみると、以下の結果になった。 X 980 ˆ 720 2 電池の生産に異常はないと言えるか? 検定を二択にする H0 : 1000 vs H1 : 1000 帰無仮説 (正常) 仮置き! 対立仮説 (短い) 【考え方】寿命が長すぎても問題なし 帰無仮説(=仮置き値): μ=1000時間 有意水準 5% 異常 5% 限界値 正常 95% 1000 【解答】 限界値をT分布で決める 帰無仮説 980 1000 T0 3.3 720 20 このサンプルは有意! 結果異常 練習問題【1】 次の7個のデータがある: -1.11, 2.09, 0.11, 1.21, 1.91, 0.02, -0.24 平均ゼロの管理状態にあるかどうか判断しなさい。但し、ばらつき は標準偏差で1にセットされている。 サンプル結果 X 0.57 ˆ 1.42 2 解答① H : 0 vs H : 0 0 1 帰無仮説 サンプル結果 対立仮説 X 0.57 ˆ 1.42 2 加えて 1 2 教科書 167ページ 解答② サンプル結果 X 0.57 ˆ 1.42 1 0.38 7 こちらだけ使う 2 限界値=-1.96 0.57 0 Z 1.5 1 7 0 帰無仮説を採択 有意水準5% T分布(自由度6) 解答③ 授業ここまで 6/30 サンプル結果 X 0.57 ˆ 1.42 2 -2.45 0 2.45 0.57 0 T 1.27 自由度=6 1.42 帰無仮説を採択 7 有意水準5% 練習問題【2】 教科書 173ページ 統計学の試験のあと、5人の学生を無作為に抜 き取り、得点を調べると 78、 61、 96、 83、 52 だった。受験者全体の平均点は60点を上回って いると判断してよいか。但し、毎回の受験におけ る得点分布の標準偏差は20点で安定している。 サンプル結果 X 74 ˆ 17.6 解答: T検定しておきます(別解) 母平均60点とします<帰無仮説> 74 60 1.78 17.6 5 T分布(自由度4) データの平均が60点を はるかに超えていれば有意 棄却域は右側片側 0 2.132 帰無仮説を採択=棄却できない 練習問題【2‘】 下の結果が10人の結果だとすれば、受験者全 体の平均点は60点を上回っていると判断してよ いか。T検定によって回答しなさい。 サンプル結果 X 74 ˆ 17.6
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