統計勉強会 2010.3.8 独立2標本のt検定 (1)どんなときに使えるのか 独立2標本のt検定は、それぞれの標本の平均から 母平均に差があるかどうかを調べるための手法で す。 例えば、 ・ある塾での、去年と今年のテストの平均点に差 があるか。 ・地域Aと地域Bで、それぞれ得られたネズミの体 長に地域差があると言ってよいか。 ・薬を投与し投与群としていない対象群で変化が あるか。 (2)どのようにして検定するか 条件 ・正規分布に従っている ・等分散している 等分散であることをなぜ確認するか。 ・等分散であった場合 ⇒独立2標本のt検定 ・不等分散であった場合 ⇒Welch法やMann-Whitney検定 例題 薬効の検定 次のデータは20匹のラットを10匹ずつ2群に分け、 一方にはふつうの餌を与え(対象群)、他方には 血 中の赤血球数を減らすと考えられている薬を混入 した餌を与えた場合の、血液1cm3中の赤血球数 (単位:100万個)である。投薬群と対象群のそれぞ れの平均の差(すなわち、薬の効果)を検定する。 投与群 7.97 対象群 8.06 7.66 8.27 7.59 8.45 8.44 8.05 8.05 8.51 8.08 8.14 8.35 8.09 7.77 8.15 7.98 8.16 8.15 8.24 F検定(等分散の検定) 仮説の設定 帰無仮説 「比較する2標本の分散に差がない(等分散)」 対立仮説 「比較する2標本の分散に差がある(不等分散)」 確率を求める 最初にそれぞれの群の分散を求める。以下の式 によってF値を求められる。 ただし、分子に大きい数値の方を入れる。 F= つまり、例題だとF=0.0461/0.0294=2.58になる。 判定 分子と分母の自由度より、F分布表からFαを求め る。 (1)1≦F≦ Fαのとき P>0.05となり、帰無仮説を棄却できない。 ⇒等分散である ⇒母分散は等しいと考えてよい (2)F>Fαのとき P<0.05となり、帰無仮説を棄却する。 ⇒不等分散である 独立2標本のt検定 標本平均の差の有意性検定する。 仮説をたてる 帰無仮説「比較する2標本に差がない」 対立仮説「比較する2標本に差がある」 t値(スチューデントのt統計量) t値は、標本平均に差があるかを判断する基準値。 それぞれの母集団が正規分布に従い、平均値も分 散も等しいと仮定し、t値を求める。 求められたt値が、t分布のどこに分布するか。 計算値から求められるt値は-2.200である。 今回は、95%の信頼区で自由度から求められるt値は -2.101である。 計算から求められたt値は、自由度から求められ たt値を下回るため、95%信頼区には含まれない。 つまり、 帰無仮説を棄却する。 投薬群と対照群では、その赤血球数に差が あったと言える。
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