2)個人的倫理と社会的倫理

インターネットから読み解く
人々の意味世界
慶應義塾大学総合政策学部
深谷昌弘
ようこそ!
テクスト意味空間分析法へ
自己紹介:プロフィール&研究室HP
近年はソシオセマンティクス創りに力を注いでいます
これは人々の意味世界を研究するSFC生まれの
新しい学問です
そして地方財政および社会保障財政に継続的
関心をいだいています
http://vu2.sfc.keio.ac.jp/faculty/profile.cgi?0+fukaya
http://imi.sfc.keio.ac.jp/mt/index.html
私たちは
ソシオセマンティクス
という新しい学問創りを
教員・学生・院生諸君らと協働して
進めています
深谷担当授業
学部授業
コミュニケーションダイナミクス
テクスト意味空間分析法
研究プロジェクト:意味の探索
大学院授業
ソシオセマンティクス特論
概念構築B
ソシオセマンティクス工房(田中と共催)
これらの科目を集約して
インターネットから
人々の意味世界を読み解く
という題目のもと
SFCで私と仲間たちが展開している
新しい社会研究について
お話しましょう
ソシオセマンティクス
は
人々の心の中の意味世界を
取り扱うために
SFCで私たちが開発している
新しい学問です
そして
コミュニケーションダイナミクス
(意味づけ論)
は
人々の意味世界
の相互作用を取り扱う
新しいSFC生まれの
言語コミュニケーション論です
この
コミュニケーションダイナミクス
は
ソシオセマンティクス
(社会意味論)
の基礎理論ともなる
言語コミュニケーション論です
すなわち意味と社会現象との
ダイナミックな関係を捉えるために
「人々の意味世界」
を
取り扱う
それがソシオセマンティクスであり
その言語コミュニケーション論が
コミュニケーション ダイナミクスです
また
テクスト意味空間分析法
は
人々の意味世界
を実証的に研究するために
私たちが開発している
主要な分析手法です
では本日は
インターネットから
人々の意味世界を読み解く
と題して
SFCで私と仲間たちが展開している
新しい学問について
お話しましょう
インターネットから読み解く
人々の意味世界
主体と行為と意味
行
為
意味づけ
(情況編成)
環境
<状況と情況>
意味と行為と社会現象
のダイナミックな関わり

環境と自己との関係を含む
世界の意味づけが変われば
→ 行為が変わる

行為のフィードバックで
→ 意味世界も再編成される
社会現象は人々の行為の複合・集積
人々の行為
→ 心の中の意味世界の所産です
社会現象
→ 人々の行為の複合・集積
その背後には人々の
意味世界があります
社会との関わりで人々の意味世界を
研究するのがソシオセマンティクスです
■主題となるキーワード:
「人々にとって物事の意味」
ここでいう意味とは
何かについての意味
 誰かによって意味づけられた意味
 行為の産出母胎となる意味
↓
「感覚・感情・思考」

人々にとっての物事の意味
これが分かれば
社会の研究に新しい展開が
開けます!
しかしこれまでそれは容易なことでは
ありませんでした
最大の障害は利用可能なデータが
不足していたことでした
ところが
人々の意味世界
今
研究する可能性が開けてきました!
インターネットは
人々の意味表出データの
宝庫です
個人HP・BBS・チャットログ


テクスト/写真・動画/リンク/
アクセス記録
これらは全て人々の意味世界を反映
する広義の意味表出のデータです
インターネットには人々の意味世界を
探る膨大なデータがあります
意味表出データとは
あらゆる行為はその人の心の中の意味世界を反映
しています
中でも発話や芸術表現は意味世界を表現する行為・
意味表出行為です
そのような意味表出行為の記録をここでは狭義の
意味表出データと呼びます
例えば、テクストは意味表出データの代表例です
このように規定すればインターネットは
意味表出データの宝庫です
■テクスト・データ
コトバは意味連関構造を表す
あらゆる人がコトバで意味表出する
だからテクストは基軸データです
コトバはもっとも一般性がある
意味表出のメディアです
ほとんど全ての人がコトバを用いて
ありとあらゆる事についてさまざまな動機で
自らの意味づけを語ったり書いたりします
幅広い人々 多彩なテーマ 多様な動機
このような一般性は絵画、音楽、映像などの
表出メディアにはないコトバの特質です
だからテクストは基軸データです
人々の意味づけの意味連関構造を分析できる
さまざまな意味世界研究のデータとなりうる
テクストはこの二つの特質から
人々の意味世界研究の基軸データとなります
もちろん必要に応じて他の表出データを
併せて使えばよい研究展開が期待できます
不特定多数の人々の
意味世界まで拡大する事の重要性
意味世界はコミュニケーションを介して
社会的に編成されます
多くの社会現象の理解にとって特定の人物や
小集団の意味世界の研究では不十分です
(例えば、リーダーとフォロワー、マーケティング)
社会の文化・価値観などの研究では名も無い
普通の人々の意味世界も重要です
(社会、組織、集団のより深い掘り下げた理解)
最大の障害:利用可能データの制約
今それが解消されつつあります
これまでも意味を重視した研究はありました
エスノ・メソドロジー 現象学的社会学 シンボリック相互作用論
M.ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義経済の発展」
しかし研究は限られたもので不特定多数の
人々までを射程に納めた本格的研究は
未発展にとどまってました
最大の障害だったデータ・アベイラビリティが
今ネットワーク社会の進展で解消されようと
しています
データだけでなく
大量のテクスト・データを扱う
理論と方法も必要です
三つの要件
意味づけする者にとってのコトバと意味との
関係を扱う言語コミュニケーション理論
人間の解釈とコンピュータの解析の協働を
自覚的に行う解釈学的方法論
この理論・方法論に基づく分析システム
私たちは
この三つの要件を満たす
理論と方法を開発しています
この教室で諸君は

講義と演習を通じてソシオセマンティクスという新
しい学問を学びます

テクスト意味空間分析システム・Ver.3を用いた
人々の意味世界に関する実証分析を体験します

このことで、諸君は、SFCセマンティック・アナリス
トへの道を展望するだけでなく、ソシオセマンティ
クス創りに貢献することになります
新しい学問を共に学び・創りましょう