匿名チャットアプリによる空間と目的を共有する状況下での コミュニケーション誘発の可能性 CPSF B3 大瀬花恵 (hana)† 1. はじめに 1.1 背景・問題意識 LINE,KakaoTalk,Slackchat などの private なチャット システムや Firechat,skype のオープンチャットなどの public なチャットシステムが普及してきた. しかし, 空 間と目的を共有している semipublic な状況下で人と話 す手法がない. 親:坂村美奈 (mina)‡ 2. システム概要と必要機能 2.1 システム概要 semipublic なチャットシステムとして web チャットア プリを実装する.iBeacon からデータを受信し, 場所の検 知をおこうことによって web チャットアプリへのログ インが可能となるようにする. システム構成図を図 2 に 示す. 1.2 目的 本研究では,semipublic なチャットシステムを提供する ことによって目的と空間を共有している誰とでも何らか のコミュニケーションが誘発されるという仮定を立てる. 本研究の目的は, この仮定を検証することである. また, 異なる目的と空間別状況例としては図1が挙げられ, 本 システムは目的と空間を共有する第 1 象限を対象とする. 図 2: システム構成図 図 1: 異なる目的と空間別状況例 1.3 アプローチ semipublic なチャットシステムを異なる環境下で利用 してもらい, コミュニケーションが誘発されるかの実験 を行う. 1.4 関連研究 インフォーマルなコミュニケーションを web ブラウザ 上で誘発するために, 他者の存在を認知するアプリを提 案・構築した研究があるが, コミュニケーションの手法が マウスポインタを利用することによって行われるという 点で異なっている. また, 空間と目的を共有する状況下で 用いるトークシステムとして TokenCast があるが, ユー ザーの興味をフィードフォワードするという目的が本研 究とは異なっている. † 慶應義塾大学 環境情報学部 ‡ 慶應義塾大学 政策・メディア研究科修士課程 2.2 利用シナリオと必要機能 同教室での講義内容や議論が予測されるので, 教室ご とのチャットルームに入出しチャットを開始してもらう. また, 質問やコメントを気軽に行えるようにするためと, 個人特定の必要性がないことから完全匿名にし, その匿 名性を利用した悪用を防ぐためと空間を共有している状 態での会話を想定していることから画像や動画の送信は 不可とする. また, チャットルームを構成するメンバーは その場限りであるので退出後トークは消えるようにする. 3. 評価と実験 3.1 評価 空間と目的を共有するシナリオではコミュニケーショ ンが誘発されたかということを, 実験で利用してもらう 4 つのシナリオでの利用頻度や発言数を比較して定量的 評価を行う. また, そのコミュニケーションにおいて本シ ステム (web アプリ) に搭載した機能は有効であったか の評価のために機能ごとのアンケートをとる. 3.2 実験 目的と空間を共有しているシナリオの例として SFC の教室ごとの講義を取り上げ, 講義内で受講者に本シス テムを利用してもらう. また, 空間を共有し目的は非共有 であるシナリオの例として SFC を取り上げ任意の SFC 生 20 人に本システムを配布し, 利用してもうら. 別の空 間にいて, 目的を共有している例として同じドラマを見 ている匿名の被験者 20 人に配布し, 利用してもらう. ま た, 任意の被験者 20 人に配布し, 利用してもらう. 以上の ような4つの状況下で実験を行う. 4. まとめ 空間と目的を共有する状況下で semipublic な匿名チャ ットシステムを配布することによってコミュニケーショ ンが誘発されるかの検証を行う. 参考文献 [1] TokenCast https://jp.tokencast.com/ [2] 櫻井元晴,et al.” インフォーマルコミュニケーション 誘発のための web ブラウザ上での他者の可視化手法 の検討” 情報処理学会論文誌 3ZA-6(2011): 175-176
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