2)個人的倫理と社会的倫理

ようこそ!
ソシオセマンテクス工房(院)
&
意味の探索(学部)
慶應義塾大学 深谷昌弘
この工房&研究会は諸君らと深谷が
ソシオセマンティクス
(社会意味論)
を
学び創る場所です
諸君らは
ソシオセマンティクス
という新しい学問を創業する
協働の営みへの参加者です
慶應義塾大学 深谷昌弘
ソシオセマンティクス展望
慶應義塾大学 深谷昌弘
大学院:
認知・意味編成モデルと身体スキル・プログラム
に所属している一群の研究グループです
共通認識
・人々にとっての意味を重視
・コミュニケーションと意味の社会的
編成プロセスへの着目
・ネットワーク社会対応の方法
HP: http://imi.sfc.keio.ac.jp/mt/index.html
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ソシオセマンティクス・グループ
プロジェクト&教員構成
ソシオセマンティクス工房(深谷昌弘、田中茂範)
ネットワークスタイル(熊坂賢次、加藤文俊)
サイバービジネス・マーケティング(桑原武夫)
評論の意味世界(小熊英二、福田和也)
シンボルとメディアの認知システム(石崎俊)
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ソシオセマンティクス
は
立ち上げから
5年半を経過しました
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ソシオセマンティクス小史
新しいホヤホヤの発展途上にある学問です!

1992年 深谷・田中はパラダイムの
開発を始める

1993年 熊坂は「i-Map]へと進むコーホート文化研究を開始
する

2001年 基本認識を共有する者が集まり大学院:ソシオセマ
ンティクス・プログラムを立ち上げる

2005年 認知・意味編成モデルと身体スキル・プログラムへ
の統合を契機に更なる飛躍をめざす
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母胎「意味づけ論」の
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グループとしての成長
メンバー数は順調に増加している
社会的需要にマッチしているのではないか
メンバー教員・院生にもバラエティが
内容も充実しつつある
ソシオセマンティクスの性格づけ
それに対応した授業内容・演習の導入
特論と概念構築の一体化とミニ演習の実施など
ssに相応しい研究成果がちくせきされつつある
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その性格づけ
基礎となる理論パラダイムはコミュニケーションダイナ
ミクスです
これは、人々の意味世界の相互作用としてコミュニ
ケーションを捉え、心の中で展開する意味づけや人々の
間で進展する意味のダイナミズムを取り扱う理論です
ソシオセマンティクスはSFCでこの新しいパラダイムを
基軸として「人々の意味世界」を取り扱う学問として
社会研究に新展開をもたらそうとする企てです
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ソシオセマンティクスの奥行き・広がり
ソシオセマンティクスは意味の社会的編成が重要性を
帯びているさまざまな社会現象、例えば、
政策策定 公共性 倫理 コラボレーション
マーケティング 教育 まちづくり 情報公開etc.
に対して新たな視座を提供します
また、われわれが開発しているテクスト意味空間分析
法や i-Map などは新しい意味的社会調査の
分析ツールです
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ソシオセマンティクス
三つのキーワードから理解する
基本的考え方のあらまし
三つのキーワード
人々にとっての意味
ヒューマンコミュニケーション
ネットワーク社会
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■主題となるキーワードは
「人々にとっての意味」
 そして
何かについての意味
 誰かによって意味づけられた意味
 行為の産出母胎となる意味
↓
「感覚・感情・思考」

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主体と行為と意味
行
為
意味づけ
(情況編成)
環境
<状況と情況>
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意味と社会現象のダイナミックな関わり
 環境と自己との関係を含む
状況の意味づけが変われば
→ 行為が変わる
 行為のフィードバックで
→ 情況も再編成される
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人々の行為
→ 心の中の意味世界の所産です
社会現象
→ 人々の行為の複合・集積
その背後には人々の
意味世界があります
社会との関わりで人々の意味世界を
研究するのがソシオセマンティクスです
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■もう一つのキーワードは
「ヒューマンコミュニケーション」
 それは通信機器間で交わされるよ
うなたんなる情報の遣り取りではあ
りません
 人々の内面に展開する意味づけの
相互作用ーーーそれがここでいう
ヒューマンコミュニケーションです
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相互作用モデル(図)
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会話モデル(図)
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人々にとっての意味は
 ヒューマンコミュニケーションを介
して人の内面における意味世界
において、そして、人々の間にお
いて、ダイナミックに展開し、さま
ざまな社会現象と関わっている
のです
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■ そして三つ目は
「ネットワーク社会」
ネットワークは新しいコミュニケーション空間を
拓きつつあります
それ自体がソシオセマンティクスの興味深い研
究対象です
それだけでなく「人々にとっての意味」に関する
意味表出データ(テクストなど)の宝庫です
ソシオセマンティクスはネットワーク社会に
対応した研究展開をします
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インターネットは
人々の意味表出データの
宝庫です
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今
ソシオセマンテクス工房(院)と研究会で
力を入れていること
言語・コミュニケーション理論の開発
テクスト意味空間システムの開発
社会意味論的実証研究の蓄積
これらを
政策COE/ウェッブ社会調査法開発(後刻紹介予定)
として推進しています
意味世界研究の軸となる
テクスト意味空間分析法
すでにシステムを使った三つの分析法が
開発されつつあります

カルチュラルセマンティクス(文化意味論):スクリプト分
析
人々に共有されている常識・概念の析出

ネット・マーケティング・リサーチ
ブランド調査、政策パブリックコメント分析、
カストマーズボイス分析、ETC.

ネットコミュニケーション分析
掲示板コミュニケーション分析、ETC.
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例えば、スクリプト分析法
は

①人々のモノ・コトについての
意味知識や概念を析出します

②時系列分析によって意味の社会的
ダイナミズムを明らかにするでしょう

③拘束的固定観念を明示することで
意味の創造的再編成を支援するでしょう
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展望と課題
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これまで何が意味世界研究を
阻んでいたのか?
意味表出データのアベイラビリティ不足
人々の意味世界の相互作用を扱う
言語コミュニケーション論の不在
科学主義的意味論・情報理論的コミュニケーション論への固執
テクスト意味解析システムの未発展
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意味からの告発の時代は
終わった
社会研究の新しい地平を拓こう!
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近未来への展望
テクストなどの意味表出データは
ネットワーク社会の進展でますます豊富になる
意味に踏み込んだ社会調査法の開発によって
社会研究は新しい地平を切り開いていくだろう
ソシオセマンティクスはそのフロンティアを拓く
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今
「人々にとっての意味」
の世界に踏み込んだ
社会研究の世界が開かれつつあります
意味表出データの宝庫:ネットワーク社会の進展
と
ソシオセマンティクスの発展
が
これを可能にしつつあります
ソシオセマンティクス
三つのキーワード
人々にとっての意味・ヒューマンコミュニケーション・ネットワーク社会
意味と社会現象とのダイナミックな
関係を捉える為に

「人々の意味世界」

を取り扱う新しい学問です
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課題は
意味世界の研究成果の蓄積
と

分析システムの開発
を
 フィードバックさせながら進めることです

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グループ&プロジェクトに
参加する諸君らは



ソシオセマンティクス
という新しい学問を創業する
協働の営みへの参加者です
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ソシオセマンティクス
という新しい学問を
ともに協働して
創っていきましょう
ソシオセマンティクスの新しさ
①「人々の意味世界」研究
特定の人から不特定多数の人々まで
②データによる幅広い実証研究
ネットワーク・意味表出データへの着目
③新パラダイムによる意味解析
コンピュータと人間の協働
今
ソシオセマンテクス工房(院)と
研究会で
力を入れていること
言語・コミュニケーション理論の開発
意味的社会調査システムの開発
社会意味論的実証研究の蓄積
工房&研究会の運営
院生・学部生が一緒になって
半学・半教の精神に則って運営します
ソシオセマンテクスを学び創る
三つの活動
パラダイム・理論を学び創る(理論班)
分析方法を学び開発する(方法班)
意味的社会研究を学び研究する(応用班)
■理論・方法・応用の現状
 それぞれについて発展の核となる
 橋頭堡が出揃いました
理論:意味づけ論
方法:スクリプト分析法など
応用:世間の分析など
 これらを手掛かりに三者をフィード
バックさせながら理論・方法・応用を
それぞれ一層発展させることが現在
もっとも重要な段階にきています
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■パラダイム・理論
ソシオセマンティクスのパラダイム・理論の核は
コミュニケーションダイナミクス(意味づけ論)です
言語・コミュニケーション論
社会学理論
哲学・解釈学
などの関連する諸理論と関わらせながらさらに
理論を進化・深化させましょう
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■分析方法
現在ソシオセマンティクスの意味的社会分析の
核となっている分析方法はテクストをデータとする
テクスト意味空間分析法です
テクストマイニング 文章要約 etc.
などの関連する分析方法と関わらせながら
意味的社会調査法としてさらなる発展を
図りましょう
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■意味的社会研究
ソシオセマンティクスは意味の社会的編成が重要
性を帯びているさまざまな社会現象に対して新た
な見方を提供します
また、スクリプト分析法などのテクスト意味空間分
析法は具体的な意味的社会研究に役立てること
ができます
公共性 コラボレーション マーケティング
教育 まちづくり 情報公開 家族 Eetc.
など、さまざまなテーマにチャレンジしましょう
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研究会:意味の探索(学部)
(1)社会意味論を学ぶ
先述した三つの活動について学ぶことに重点をおき
読書会や導入的分析演習を行います
(2)フォークミーニングスを析出する
個人・グループが自分のテーマで研究します
できれば(1)&(2)の併習を薦めます
読書会・演習・グループ研究などでは
院生・継続履修者たちがリード役をつとめます
私たちの課題は
意味的社会研究の成果蓄積と
分析技法システムの開発
を
パラダイム・理論にフィードバック
させながら
ソシオセマンティクスを創ることです
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■ソシオセマンティクス創りは
新局面に入りました
外海へ向けて船出しました
04・ORF展示---可能性の提示
 学問として‐--各論として学会発表すべき段階
・意味的文化分析
・コンピュータ支援テクスト分析論
・NCコミュニケーション分析
・実証的意味づけ文法論etc.
 実践的応用として‐--その実力を示すべき段階
・マーケットリサーチ
・世論動向調査etc.
06・ORF展示のフォーカス:マーケッティング
リサーチ → → → 事業化へ

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ソシオセマンティクス
という新しい学問を
ともに協働して
創っていきましょう
慶應義塾大学 深谷昌弘
■初習者向け参考文献

意味づけ論について
・田中茂範・深谷昌弘、『意味づけ論の展開』、紀伊国屋書店、1998
・深谷昌弘・田中茂範、『コトバの意味づけ論』、紀伊国屋書店、1996

ソシオセマンティクスについて
・深谷昌弘、「ソシオセマンティクス創業マニフェスト」、『総合政策学の
最先端
2』、慶應義塾大学出版会、2003(9月公刊予定)
・深谷昌弘、「意味づけ論からソシオセマンティクスへの歩み」、『KEIO
SFC
JOURNAL Vol.2 No.1 コミュニケーション論のひろがり』、2003
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