100万トンタンカー計画の背景(その1)

第二次大戦中~直後のタンカー
載荷重量
(トン)
特徴
第二次世界大
戦(1943)
16800 低温で鋼材が極端に弱くなる
第二次世界大
戦末(1944)
23600 球状船首の採用が計られたが採用されず
1950年代
47000
外観が流線形に
居住区が船尾楼の一部に
スエズ運河と燃料油の高騰で一気に大型化へ
スエズ運河
1859
1869
1936
1956
レセップスらによって着工
航海可能に
英国軍隊が駐留するように
英国軍撤退
→エジプトが運河を国有化
1957 運河が閉じられる
1975 運河が再開される
載荷重量トン
7000
28000
32000
32000
45000
65000
再開されたが以前とは状況が変わっていた
100万トンタンカー計画の背景
(その1)
スエズ運河閉鎖に伴い喜望峰廻りの旋廻を
余儀なくされる
採算が合わない
急激に大型化
100万トンタンカー計画の背景(
その2)
1970年代初頭には世界経済の成長加速もあ
って50万重量トンの原油タンカー実現
(問題点)
25万重量トン程度のタンカーに比べ経済上の
優位はわずか(運航上の柔軟性により相殺)
100万重量トンタンカーの建造検討
主な障害(その1)
■航路、石油基地
北西ヨーロッパ
英国海峡は通れず、ジブラルタル海峡
を通り地中海へ
基地は新しく作るか、フランスのフォス
スルメールまたは、イタリアのジュノアを
日本
ロンボク海峡を通る
アメリカ
特に制限なし
主な障害(その2)
■船級協会の規制
当時の規制は300mまでのタンカーを対象
100万重量トンでは500m以上の長さに
部材才法決定に熟考を重ねた結果
100万トンタンカーの概略使用書作成へ
と事は運んだが…
結局…巨大すぎると
○荷役日数が必要以上に掛かる
○航路の制約が多くなる
さらに
といった結論に達し、製造はされず現在では
25万載荷トン前後が主流に…
とはいえ、
現在100万載荷重量トンの建造は可能
50万載荷重量トンクラスのタンカーは実際に
運行
以降
大型化によるメリットと、大型化に伴い生じた問
題を紹介していきたい
メリット
①載荷重量トンあたりの建造費の低下
載荷重量トン16000トン程度のT2タンカー30隻より1隻の
50タンカーの方が安く建造できる。また運用しやすい
②人件費の抑制
T2タンカーも50万載荷重量トンのタンカーも必要な
乗員数は同じ
③危険性
T2タンカーも大型タンカーも事故の確率は変わらない
④環境汚染
同じ量のオイルを数多くのタンカーで運ぶほど激しくなる
●係留、投揚錨、及び緊急停止
係留索を曳船で壁岸まで運ぶ
投揚錨には水圧式を
緊急停止には、船尾にパラシュートをつけ緊
急時には水中で開く
沈下問題
浅い海域を前進する際
通常に比べ竜骨と海底の隙間が減少する
速度や船固有の肥痩係数に依存
(タンカーは肥痩係数大)
竜骨下の間隔がどの程度必要か?
現在では膨大な研究がなされ明確に
外観
100万載荷重量トンのタンカーでは全長が500m
を超え、上甲板の舷側線が垂れ下がっている様
に見える
前端の高さを高くすることで解決
船首部の波の打ち込みでの艤装品の損傷を防
ぐことにもなった!