貿易の利益と関税 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2007年11月22日 通商政策 財の輸出入に影響を与える政策を通商政策 (commercial policy )と言います. 様々な通商政策を見ていきます. その極端な政策としてこの2つがあります. 自由貿易 (free trade) -貿易障壁をまったく 設けていない 保護主義(protectionism)-何らかの方法で 輸入を制限している 国際経済の基礎9 2 貿易障壁 貿易障壁には大きく分けて 関税 (tariff) 数量割り当て 輸出自主規制 非関税障壁 があります. 国際経済の基礎9 3 関税 関税 tariff とは単に輸入に課される税金のこ とです. 外国製品を割高にさせて競争上不利に追い 込むことが出来ます. 小国の場合を考えてみましょう. 小国: 貿易取引量が国際価格に変化を与えな い 大国:貿易取引量が国際価格に変化を与える 国際経済の基礎9 4 消費者と生産者余剰 価格 供給曲線 消費者余剰 1400 1100 生産者余剰 900 800 数量 1 2 3 4 国際経済の基礎9 5 鎖国をしているときの均衡価格 価格 供給曲線 P 需要曲線 数量 Q 国際経済の基礎9 6 鎖国をしているときの経済厚生 価格 供給曲線 経済厚生 P 経済厚生=消費者余剰+生産者余剰 需要曲線 数量 Q 国際経済の基礎9 7 鎖国から開国へ 鎖国を止めて貿易を開始した 鎖国時の均衡価格P > 国際価格 P* この国は小さな国で国際価格に影響を与えな いとする これを小国の仮定という 国際経済の基礎9 8 開国して,国際価格がP* 価格 供給曲線 国内生産量 国内消費量 P* 輸入量 需要曲線 数量 Qs Qc 国際経済の基礎9 9 国際価格P*での余剰 供給曲線 消費者余剰 価格 生産者余剰 国内消費量 P* 輸入量 需要曲線 数量 Qs 国内生産量 Qc 国際経済の基礎9 10 貿易の効果 国際価格が低ければ 価格の下落 消費の増大 国内生産の減少 輸入量の増加 消費者は得 生産者は損 国際経済の基礎9 11 関税政策 ここで輸入量1単位辺りt円の関税を課したと する 国際価格が100円で関税が10円ならば消費 者の購入する価格は110円 国際経済の基礎9 12 国際価格P*,財1単位当たりtの関税 価格 供給曲線 関税後の国内生産量 関税後の国内消費量 P*+t P* 関税後輸入量 需要曲線 数量 Qs Qc 国際経済の基礎9 13 自由貿易に比べ関税を課すと 価格の上昇 消費の減少 国内生産の増加 輸入量の減少 消費者は損 生産者は得 政府は関税収入を得る 関税収入=税率×輸入量 国際経済の基礎9 14 財1単位当たりtの関税の関税収入 価格 供給曲線 関税収入 関税後の国内生産量 関税後の国内消費量 P*+t P* 関税後輸入量 需要曲線 数量 Qs Qc 国際経済の基礎9 15 貿易の効果 経済全体の望ましさはどうなるか? 経済全体の望ましさを経済厚生という 経済厚生=消費者余剰+生産者余剰 もし政府が入れば 経済厚生=消費者余剰+生産者余剰+税収 国際経済の基礎9 16 関税の効果 関税によって経済厚生は増加するだろうか? 消費者余剰とは 生産者余剰とは 国際経済の基礎9 17 自由貿易が望ましい 自由貿易の経済厚生>鎖国の経済厚生 供給曲線 消費者余剰 価 格 経済厚生の増分 生産者余剰 国内消費量 P * 国内生産量 輸入量 Qs 需要曲線 Qc 国際経済の基礎9 18 財1単位当たりtの関税の関税収入 価格 供給曲線 消費者余剰 生産者余剰 関税収入 P*+t P* 関税後輸入量 需要曲線 数量 Qs 関税後の国内生産量 Qc 国際経済の基礎9 関税後の国内消費量 19 自習貿易が望ましい 自由貿易の経済厚生>関税賦課後の経済厚生 価 格 供給曲線 厚生の増加分 生産者余剰 消費者余剰 関税収入 P*+t P* 関税後輸入量 関税後の国内生産量 Qs 需要曲線 Qc 国際経済の基礎9 数 量 関税後の国内消費量 20 結論 自由貿易が一番厚生が高い 保護貿易的な関税は厚生を低くする しかし鎖国よりは望ましい 国際経済の基礎9 21
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