電磁気学C

電磁気学C
Electromagnetics C
4/17講義分
静電場、静磁場におけるMaxwellの式
山田 博仁
Maxwellの方程式
物質中の電磁場を規定する基本法則
B( x, t )
t
D( x, t )
rot H ( x, t )  ie ( x, t ) 
t
rot E ( x, t )  
ファラデーの電磁誘導則
アンペール・マクスウェルの法則
div D( x, t )  e ( x, t )
電場に関するガウスの法則
div B( x, t )  0
磁場に関するガウスの法則
B ( x , t )
t
D( x , t )
  H ( x , t )  ie ( x , t ) 
t
  D( x, t )   e ( x, t )
  E ( x, t )  
  B( x, t )  0
E(x, t): 電場 (V/m)
SI国際単位系
H(x, t): 磁場 (A/m)
D(x, t): 電束密度 (C/m2)
B(x, t): 磁束密度(磁場) (Wb/m2)
ie(x, t): 伝導電流密度 (A/m2)
変位電流
e(x, t): 真電荷密度 (C/m3)
Maxwell方程式の意味
1. ファラデーの電磁誘導則
rot E ( x, t )  
B( x, t )
t
磁場(磁束密度)の時間的減少が、その周りに電場の渦を右ネジ方向に作る
B(x, t1)
E(x, t1)
B(x, t2)
B(x, t3)
E(x, t2)
E(x, t3)
変化する磁場の周りの電界は、そこに導線(コイル)が有る無しに関わらず生じる
たまたま導線が有ると、導線内の自由電子が
電界により動き、電流 I が流れる
コイル
I
Maxwell方程式の意味
2. アンペール・マクスウェルの法則
rot H ( x, t )  ie ( x, t ) 
D( x, t )
t
ie(x, t)
定常電流が、その周りに磁場の渦を右ネジ方向に作る
H(x, t)
さらに、電場(電束密度)の時間的増加が、その周りに磁場の渦を右ネジ方向に作る
E(x, t1)
H(x, t1)
E(x, t2)
H(x, t2)
E(x, t3)
H(x, t3)
Maxwell方程式の意味
3. 電場に関するガウスの法則
div D( x, t )  e ( x, t )
電荷密度が電場(電束密度)の発散を引き起こす
D(x)
e(x)
4. 磁場に関するガウスの法則
div B( x, t )  0
B(x)
磁場(磁束密度)の発散源(磁荷)は存在しない
m(x)
電磁気学のパラドックス
ファインマン物理学Ⅲ13-6
磁場
電子と一緒に動いている座標系
から見るとこのように見える
力
電流
-
1
-
電流
-
2
一本目の導線を流れる電流
が作る磁場により、二本目の
導線を流れる電流(電子)が
力を受ける (F=q v×B)
同一方向に電流が流れている
導線間には引力が働く
-
-
-
-
1
-
磁場は存在しない?
2
二本の導線間には、クーロン力による反発力が働く
ローレンツ力と相対運動
z
E
Bz
K
z’
y
K’
v
+
q
Fy’
x
y’
x’
-v
Fy’ = q v×Bz
静電場、静磁場
全ての物理量が時間 t に依存しない時、Maxwell方程式は以下のように電場、
磁場に対して各々独立な方程式系に分離できる
  E ( x)  0
  D( x )   e ( x )
D( x )   E ( x )
  H ( x )  ie ( x )
  B( x )  0
静電場に関する基本法則
媒質中での電磁場を扱うための
構造関係式
定常電流による静磁場の基本法則
B( x )   H ( x )
電荷も電流も時間的に不変である限り、電気と磁気とは別々の現象である
当初は、電気力(クーロン力)と磁力とは全く別のものだと考えられていたが、
Maxwellがこれら二つの力を電磁力として統一した。(力の統一理論)
力の統一理論
物質間に働く4つの基本的な力(相互作用)
力の働く距離 力の強さ
短距離
強い
102
10-15m
量子色力学
強い相互作用
電磁力
1
核力
ローレンツ力
弱い相互作用
大統一理論
摩擦力
核力
1m
電弱統一理論
電気力(クーロン力)と磁力の統一(マクスウェル)
1010m
10-40
長距離
弱い
重力
慣性力
超弦(ひも)理論?
一般相対性理論(アインシュタイン)
静電場
静電場の基本方程式
  E ( x)  0
  (1)
  D( x )   e ( x )   (2)
D( x )   E ( x )
  (3)
第(1)式より、静電ポテンシャルf(x)が定義できる
E ( x)  f ( x)  (4)
第(3)式の関係を用いて、上式を第(2)式に代入すると、以下のポアソン方程式を得る
 ( x)
f ( x )   e
(局所的な電荷密度分布とその周りの電位を関係付ける)

上記ポアソン方程式の無限遠方でゼロとなる解は、
e ( x' )
1
3
f ( x) 
d
x'
4 V
x  x'
上式を(4)式に代入することにより、電場E(x)が求まる
E ( x) 
( x  x' ) e ( x' )
1
3
d
x'
3
4 V
x  x'
静電ポテンシャル f の意味
E ( x )  f ( x )
山の等高線 f(x) スカラー量
山の斜面の勾配 E(x) ベクトル量
{Ex(x), Ey(x), Ez(x)}
山の等高線(スカラー量)と斜面の勾配(ベクトル量)とは同じ情報(地形)を伝えている
等高線に相当するのが静電ポテンシャル(電位) f であり、電位の勾配が電場 E (ベ
クトル量)である
静電ポテンシャルはスカラーなので、スカラー・ポテンシャルとも呼ばれている
静電場
微分形式でのガウスの法則
  D( x)  e ( x)
(局所的な電荷密度分布とその周りの電束密度の発散を関係付けている)
両辺をある体積 V について積分する
   D( x )dV    ( x )dV
e
V
n
D(x)
S
dS
V
V
Gaussの定理
 D ( x )  ndS
Qe
S
 D( x )  ndS  Q
e
S
積分形のガウスの法則
e(x)
球状電荷分布の周りの静電場
誘電率が 、半径が a の球内に電荷が密度  で一様に分布している。球の中心Oより
r だけ離れた点Pにおける電場を求めよ。
電場に関するガウスの法則
  D( x)  e ( x) (局所的な電荷密度分布とその周りの
電束密度の発散を関係付けている)
dS n
S

a
P
O
E(x)
r
V
D( x)   E ( x) 構造関係式
  E ( x) 
   E ( x)dV 
V
1
 e ( x ) (局所的な電荷密度分布とその周りの

電場の発散を関係付ける式)
 V
e ( x )dV
ガウスの定理
 E ( x )  ndS
電荷分布が球対称だから、 S
電場は球の中心から放射状 E (r)dS

S
4 r 2 E (r )
1 4 3
a 
0 3
(r>a)
 a3
E (r ) 
3 0 r 2
14 3
r 
 3
(r<a)
E (r ) 
r
3
静磁場
静磁場の基本方程式
  H ( x )  ie ( x )  (1)
  B( x )  0
 (2)
B( x )   H ( x )
 (3)
第(2)式のガウスの法則から、磁場B(x)はベクトル・ポテンシャルA(x)を用いて
B( x)    A( x)  (4)
第(3)式の関係を用いて、上式を第(1)式に代入し、ベクトル公式を用いると以下の式を
得る
  (  A)  (  A)  A
  A( x)  A( x)   ie ( x)
上式の解は、
A( x ) 

4

V
ie ( x' ) 3
d x'
x  x'
上式を(4)式に代入することにより、磁場B(x)が求まる
B( x ) 
 ie ( x' )  ( x  x' ) 3
d x'
3

4 V
x  x'
ビオ・サバールの法則
静磁場
微分形式でのアンペールの法則
  H ( x )  ie ( x )
(局所的な電流密度分布とその周りの磁場の回転を関係付けている)
ie(x)
両辺をある面 S について積分する
n(x)
 (  H ( x ))  n( x)dS   ie ( x ) n( x)dS
S
S
S
dS
Stokesの定理
C H(x) dr
 H ( x )  dr
Ie
C
 H ( x )  dr  I
C
e
積分形式でのアンペールの法則
Ie
H(x)
ベクトル解析の復習
重要なベクトル恒等式
rot gradf    (f )  0 (ゼロベクトル )
div rot E    (  E )  0
div gradf    (f )   2f  f
(  ) E  E
(スカラー場)
(ベクトル場)
rot rot E    (  E )  (  E )  E
ガウスの定理
ストークスの定理
 F  ndS     FdV
S
V
n
 F  dr   (  F )  ndS
C
S
F
dS
S
V
n
F
S
dS
C
dr
ベクトル解析の復習
演算子∇(ナブラ)と (ラプラシアン)の意味
  

   ,
,
(ベクトルと見なせる)
 x y z 
 2
2
2 
(スカラーと見なせる)
       2  2  2 

x

y

z


勾配(gradient) ‥ スカラー量に作用して、ベクトル量を導く演算子
 f ( x) f ( x) f ( x)  f ( x)
f ( x)
f ( x)
 
gradf ( x)  f ( x)  
,
,
ex 
ey 
ez
y
z 
x
y
z
 x
発散(divergence) ‥ ベクトル量に作用して、スカラー量を導く演算子
divE ( x)    E ( x) 
Ex ( x) E y ( x) Ez ( x)


x
y
z
ナブラ∇と E(x)のスカラー積
スカラー積(内積)
A  B  Ax Bx  Ay By  Az Bz
ベクトル解析の復習
回転(rotation) ‥ ベクトル量に作用して、ベクトル量を導く演算子
ex
ey
ez



rot E ( x )    E ( x ) 
x
y
z
Ex ( x) E y ( x) Ez ( x)
 E ( x ) E y ( x ) 
 E y ( x ) E x ( x ) 
 E ( x ) E z ( x ) 
e x   x
e z
  z



e y  

y

z

z

x

x

y






ナブラ∇と E(x)のベクトル積
ベクトル積(外積)
ex
ey
ez
A  B  Ax
Ay
Az  (Ay Bz  Az B y )e x  ( Az Bx  Ax Bz )e y  (Ax B y  Ay Bx )e z
Bx
By
Bz