電磁気学C

電磁気学C
Electromagnetics C
5/1講義分
電磁場の波動方程式
山田 博仁
レポートについて
本日、第1回目のレポート問題を出題(Webに掲載)します。〆切は、
2週間後の5/15(木)とします。
以下のように、成績評価の対象となりますので、きちんと解答して期
日までに提出されることをお奨めします。
成績評価
a) 出席点 2点×15回
b) レポート 10点×3回
第1回 (5/1)、第2回 (5/29)、第3回 (6/26)出題予定
c) 定期試験 40点
再試は行いません
電磁場のエネルギー
電磁場のエネルギー密度 u は、以下の式で与えられる
1
1
( E  D  B  H )  ( E 2   H 2 )
2
2
1
1
1
1
ue  E  D   E 2
um  B  H   H 2
2
2
2
2
u  ue  u m 
ここで、ue は電場によるエネルギー密度、um は磁場によるエネルギー密度
ある空間 V 内の電磁場エネルギーは、それをその空間内で体積積分したもの
で、
1
U  U e  U m   ( E  D  B  H )dV
2 V
物質中(真空中)に時間的に変動しない電磁場が存在する場合、空間に蓄えられ
る電磁場のエネルギー密度
時間的に変動する電磁場のエネルギー
次に、時間的に変動する電磁場のエネルギーを表す式を導出してみる
以下のベクトル恒等式(教科書 p228の一番上の式)からスタート
div ( E  H )  H  rot E  E  rot H
上式にMaxwellの方程式を代入
B( x, t )
rot E ( x, t )  
t
rot H ( x, t )  ie ( x, t ) 
div ( E  H )   H 
B
D 

 E   ie 

t
t 

B 
 D
  E 
H
  E  ie

t

t



 1
 E  D  H  B   E  ie
t 2
D( x, t )
t
媒質が等方性であるとして、
D  E
BH

E  D   E  D  E  D
t
t
t
時間的に変動する電磁場のエネルギー(続き)
従って、 
 1
E  D  H  B   E  ie  div ( E  H )
t 2
上式を、ある領域 V で積分すると、

電磁場に関するエネルギー保存則
 1
E  D  H  B  dV   E  ie dV   div ( E  H ) dV

t V 2
V
V
Gaussの定理
 1
  E  D  H  B  dV   E  ie dV   ( E  H )  ndS
t V 2
V
S
S = E×H を、
Poynting ベクトル
u
電磁場のエネルギー密度 ジュール熱による 領域 V を囲む閉曲面 S から単位
エネルギー損失
時間に外部に流出するエネルギー
S=E×H
n
Poynting ベクトル S = E×H は、
E
S
dS
電磁場のエネルギーの流れを表す
U
E・ie
V
※ Poyntingベクトルがあるからと言って、
必ずしもエネルギーの流れがある訳
ではない
S
H
時間的に変動する電磁場のエネルギー(続き)

S
S
電磁場のエネルギー保存則

U   E  ie dV   S  ndS
t
V
S
U
電磁場エネルギー
熱になって失わ
=
+
の時間的減少
れるエネルギー
E・ie
単位時間に外部に流出
するエネルギー
u と S との関係は?
単位体積当たりの
電磁場エネルギー: u
単位時間に単位面積を通過する
電磁場のエネルギー
u
c
電磁波は、単位時間に光速度 c だけ進む
S = E×H
従って、
cu  E  H
の関係がある
自由空間でのMaxwell方程式
Maxwell方程式
B( x, t )
t
D( x, t )
rot H ( x, t )  ie ( x, t ) 
t
rot E ( x, t )  
div D( x, t )  e ( x, t )
div B( x, t )  0
ファラデーの電磁誘導則
アンペール・マクスウェルの法則
電場に関するガウスの法則
変位電流
磁場に関するガウスの法則
自由空間でのMaxwell方程式 (自由空間とは、真電荷および伝導電流がゼロ)
B( x, t )
t
D( x, t )
rot H ( x, t ) 
t
rot E ( x, t )  
等方性、かつ線形、かつ非分散性の媒質中
D( x, t )   E ( x, t )
B( x , t )   H ( x , t )
div D( x, t )  0
真空中
D( x, t )   0 E ( x, t )
div B( x, t )  0
B( x, t )  0 H ( x, t )
波動方程式の導出
第1式
  E ( x, t )  
B( x, t )
t
D( x, t )   E ( x, t )
B( x , t )   H ( x , t )
両辺の rotation をとる
2
2



D
(
x
,
t
)

E ( x, t )
    E ( x, t )     B( x, t )      H ( x , t )   



t
t
t 2
t 2
ベクトル恒等式
  (  E )  (  E )  E
  H ( x, t ) 
D( x, t )
t
第2式
(  E ( x, t ))  E ( x, t )
0
従って、
   D( x, t )     E ( x, t )  0
 2 E ( x, t )
E ( x, t )  
0
2
t
波動方程式
練習のため、第2式の rotation をとり、磁場に対する式を求めてみよう
 2 B( x, t )
B( x, t )  
0
2
t
波動方程式導出においての変位電流の役割
変位電流は、MaxwellがAmpereの式に理論的考察により付加したものであるが、
仮に、この変位電流の項が無かったとしたら、波動方程式は導けるだろうか?
変位電流が無い場合の、自由空間でのMaxwell方程式は、以下のようになる。
rot E ( x, t )  
B( x, t )
t
第1式の rotation をとると、
    E ( x, t )  
rot H ( x, t )  0


  B( x, t )      H ( x , t )
t
t
0
div D( x, t )  0
div B( x, t )  0
第2式   H ( x, t )  0
(  E ( x, t ))  E ( x, t )
0
   D( x, t )     E ( x, t )  0
従って、
E ( x, t )  0
となり、
静電場の場合のラプラスの方程式となってしまう。
波動方程式の意味

2 
    2  E ( x, t )  0
t 

 2 E ( x, t )
E ( x, t )  
0
2
t
 2
2
2 
 2 E ( x, t )
0
 2  2  2  E ( x, t )  
2

x

y

z

t


ここで簡単のため、E(x, t)は x と y には依存せず、z と t のみの関数であると仮定
つまり、 E(x, t) → E(z, t)
 2 E ( z, t )
 2 E ( z, t )
 
0
z 2
t 2
1
v

今ここで、
と置くと、

 2 E ( z, t ) 1  2 E ( z, t )
 2
0
2
2
z
v
t
後で分かるように、v は電磁波が物質中を伝わる速度、真空中の場合には、v は
光速度 c で与えられ、
c
1
0 0
 2.998108 m/s
波動方程式の解
波動方程式
(教科書 p.200 参照)
 E ( z, t ) 1  E ( z, t )
 2
 0 の解は、 E ( z, t )  X1 ( z  vt)  X 2 ( z  vt) で与えられる。
2
2
z
v
t
2
2
x
+ z 方向に速度 v で進む波 (進行波)
- z 方向に速度 v で進む波 (後退波)
z
y
より一般的には、波動方程式
1  2 E ( x, t )
E ( x, t )  2
 0 の解は、
v
t 2
E ( x, t )  X1 (k  x   t )  X 2 (k  x   t ) で与えられる。
+ k 方向に進む波
- k 方向に進む波
kは波の伝搬方向を示す波数ベクトル
 は波の角周波数
平面電磁波
波面が平面からなる波が、波面に垂直方向に伝搬していく
k  x   t 
z
波面
k  x   t3  
k  x   t2  
x
k
0
x
k  x   t1  
y
平面電磁波
自由空間を伝搬する電磁波(進行波)の中で、特別な場合として正弦波で表される
電磁波を取り上げる。 角周波数  で振動しながら、+ z方向に伝搬する電磁波
Ex  Ex0 cos(kz  t )
H x  H x0 cos(kz  t )
Ey  Ey 0 cos(kz  t )
H y  H y 0 cos(kz  t )
Ez  Ez 0 cos(kz  t )
H z  H z 0 cos(kz  t )
kは波数で、
k
2



v
x
E
z
y
平面電磁波
x, y 方向には一様
+ z方向に伝搬する電磁波
Ex  Ex0 cos(kz  t )
H x  H x0 cos(kz  t )
Ey  Ey 0 cos(kz  t )
H y  H y 0 cos(kz  t )
Ez  Ez 0 cos(kz  t )
H z  H z 0 cos(kz  t )
rot E ( x, t )  
B( x, t )
に代入、
t
B
 Ez E y 
 E E 
B
B
 E E 

e x   x  z e y   y  x e z   x e x  y e y  z e z

z 
x 
y 
t
t
t
 z
 y
 x
0
0
E y
z

Bx
t
By
Ex

z
t
Bz
0
t
0
0
 kEy 0 sin(kz  t )  H x0 sin(kz  t )
 kEy 0  H x0
 kEx0 sin(kz  t )  H y 0 sin(kz  t )
kEx0  H y 0
H z 0 sin(kz  t )  0
H z 0  0
平面電磁波
同様に、 rot H ( x, t )  D( x, t )
t
に代入、
Dy
 H z H y 
 H y H x 
Dx
Dz
 H x H z 





e


e


e

e

e

ez


y
x
y
 x
 x
 z

y

z

z

x

y

t

t

t






0
0

H y
0
0
Dx
t
kH y 0 sin(kz  t )  Ex0 sin(kz  t )
kH y 0  Ex0
H x Dy

z
t
 kHx0 sin(kz  t )  Ey 0 sin(kz  t )
 kH x0  Ey 0
z

Dz
0
t
Ez 0 sin(kz  t )  0
以上の関係より、
Ey
Ex



Hy
Hx

Ez  H z  0
Ez 0  0
平面電磁波
Ey
Ex



Hy
Hx

Ez  H z  0
E と H (ベクトル)は、波の進行方向に垂直な平面
内に存在し、互いに直交する。また、 E と H の大
きさの比は一定
x
Ex E
媒質中での電場と磁場の大きさの比を、媒質の
インピーダンスという


Z
H

E
真空中のインピーダンス Z0は、
0
1.2566371 10 6
Z0 

 377 []
0
8.854185 10 12
z
Ey Hy
H
y
平面電磁波
インピーダンスZの媒質中を伝搬する電磁波に関して、EとHとの間には
以下の関係が成り立つ
E  Z (H 
k
),
k
H 
1
k
(E  )
Z
k
x
k
E
z
y
H
ベクトル解析の復習
重要なベクトル恒等式
ラプラシアン
2
2
2
 2  2  2
x y
z
rot grad    ( )  0
div rot E    (  E )  0
div grad    ( )   2  
(  ) E  E
(スカラー場)
(ベクトル場)
rot rot E    (  E )  (  E )  E
ガウスの定理
2
2
2
1 2
□ 2  2  2  2 2
x y
z
c t
1 2
 2 2
c t
ストークスの定理
 F  ndS     FdV
S
V
n
ダランベルシアン
 F  dr   (  F )  ndS
C
S
F
dS
S
V
n
F
S
dS
C
dr
ベクトル解析の復習
演算子∇(ナブラ)と ラプラシアンの意味
  

   ,
,
 x y z 
 2
2
2 
       2  2  2 
y
z 
 x
勾配(gradient)
  ( x)  ( x)  ( x)   ( x)
 ( x)
 ( x)
 
grad ( x)   ( x)  
,
,
ex 
ey 
ez
y
z 
x
y
z
 x
発散(divergence)
divE ( x)    E ( x) 
Ex ( x) E y ( x) Ez ( x)


x
y
z
ナブラ∇と E(x)のスカラー積
スカラー積(内積)
A  B  Ax Bx  Ay By  Az Bz
ベクトル解析の復習
回転(rotation)
ex
ey
ez



rot E ( x )    E ( x ) 
x
y
z
Ex ( x) E y ( x) Ez ( x)
 E ( x ) E y ( x ) 
 E y ( x ) E x ( x ) 
 E ( x ) E z ( x ) 
e x   x
e z
  z



e y  

y

z

z

x

x

y






ナブラ∇と E(x)のベクトル積
ベクトル積(外積)
ex
ey
ez
A  B  Ax
Ay
Az  Ay Bz  Az B y e x   Az Bx  Ax Bz e y  Ax B y  Ay Bx e z
Bx
By
Bz