講義5

スペクトル
• スペクトルとは信号の周波数成分である。
スペクトルでは 信号を周波数の異なる波の
• スペクトルでは、信号を周波数の異なる波の
組み合わせとして、グラフィカルに表現する。
• スペクトルを用いることにより、信号を構成す
ペクト を用 る とにより 信号を構成す
る周波数と、それぞれの周波数成分の大きさ
を視覚的に知ることが出来る。
スペクトルの導出
• 今
今、ある信号x(t)が以下の余弦波の式により表され
あ 信
が
余弦波 式
表され
ている場合を考える。Aは振幅、ωは角周波数、φは
位相 ある
位相である。
x(t ) = A cos(ωt + φ )
この信号はオイラーの公式から以下のように表され
る。
x(t ) = Re{ Ae
Q Ae
j (ωt +ϕ )
j (ωt +ϕ )
}
= A(cos(ωt + ϕ ) + j sin(ωt + ϕ ))
• この式から分かるように、cos波はAej(ωt+φ)の
実数成分として表すことが出来る。
数
表
• この信号はフェーザを用いると以下のように表される。
信
ザを
う 表され
j (ωt +ϕ )
x(t ) = Re{
R { Ae
A
}
j ωt
= Re{ Xe }
ただ は
ただしXは
X = Ae
である。
ある
jϕ
• ここでフェーザXは複素振幅とも呼ばれる。
ザ
複
も ば
• 複素振幅には振幅成分(A)と位相成分(φ)
が含まれる。
j tには時間により単位円上を回転す
• 一方、e
方 jωt
るベクトルが残っている。この回転の速さはω
によって決まる。よってこの成分は回転の速
さにあたる周波数を表していると考えられる。
• ここで逆オイラーの公式からx(t)は以下のように書き
逆オ
式
う 書き
換えられる。
e j (ωt +ϕ ) + e − j (ωt +ϕ )
e jϕ e jωt + e − jϕ e − jωt
x(t ) = A ⋅
= A⋅
2
2
Ae jϕ e jωt + Ae − jϕ e − jωt Xe jωt + X *e − jωt X jωt X * − jωt
=
=
= e +
e
2
2
2
2
ここでX*はXの共役複素数である。
は
共役複素数 ある
• このことからcos波による波形は、角周波数ω
角
と−ωの2つの成分の和によって出来ている
ことが分かる。
• ただしそれぞれの周波数成分の大きさはもと
の1/2である。
• 簡単のために、振幅A=1、位相φ=0とした場
合の、この様子を次のスライドに示す。
1 j ωt 1 − j ω t
cos((ωt ) = e + e
2
2
1
2
3
4
5
6
7
10
8
11
9
12
ejωt/2とe-jωt/2の和はcos波(cosωt)になっていることが分かる。
• ここで角周波数
ここで角周波数ωと通常の周波数fとの関係を確認
と通常の周波数fとの関係を確認
しておく。
ω = 2πf
• 周波数fが1Hzの場合、1秒間で波形が一周期を描く。
f
つまり回転の角度で言えば2πだけ動くことに相当す
る。2Hzならば1秒間で2周期を描くので角度で言え
ば4 となり1H の2倍になる
ば4πとなり1Hzの2倍になる。
• よって上記の式の関係となる。
• 以上より、x(t)の各周波数における成分は、周波数f
各 波数 お る成分
波数
においてX/2、周波数-fにおいてX*/2となる。これをい
ま
ま以下のように表記しておく。
う 表
おく
1
1 *
{( X , f ), ( X ,− f )}
2
2
• 以上のように求まったスペクトルをグラフ表示
する場合 、横軸を周波数、縦軸を複素振幅
する場合は、横軸を周波数、縦軸を複素振幅
の大きさとして表示する。
• 振幅に関しては、振幅の実数成分と虚数成
場
分を別々のグラフに示す場合もある。
例題
• 次のスペクトルは?
(1)
π
x(t ) = 2 cos((100πt + )
4
π
(2)
x(t ) = 4 cos(30πt + )
3
(3)
2π
x(t ) = 2 cos(80πt − )
3
• 次のような場合のスペクトルはどのようになるか?
次
うな 合
ど
う な
N
x(t ) = ∑ Ak cos(2πf k t + φk )
k =1
• この場合は複数のcos波によって出来た信号である
合 複数
波
来 信
あ
が、それぞれのcos波についてスペクトルを求める。
N
x(t ) = ∑ Re{ Ak e j ( 2πf k t +ϕ k ) }
k =1
N
= ∑ Re{ X k e
j 2πf k t
k =1
ただし kは
ただしX
X k = Ak e jϕ k
}
• 逆オイラーの公式から
逆
式
N
x(t ) = ∑
X ke
k =1
j 2πf k t
* − j 2πf k t
+ Xk e
2
よって周波数成分は
1
1
1
1
1
1
{( X 1 , f1 ), ( X *1 ,− f1 ), ( X 2 , f 2 ), ( X * 2 ,− f 2 ),L , ( X N , f N ), ( X * N ,− f N )}
2
2
2
2
2
2
• 次のような場合、スペクトルはどのようになる
か?ただしA0は実数の定数である。
N
x(t ) = A0 + ∑ Ak cos(2πf k t + φk )
k =1
• A0は値を周期的に繰り返す成分を持たないので、
は値を周期的に繰り返す成分を持たないので
周波数が0の成分と考えられる。(直流成分と呼ぶ)
• A0を複素振幅(フェーザ)を用いて表すと
を複素振幅(フ
ザ)を用いて表すと
j0
0
0
X e
ただし
=X
X 0 = A0
X0は実数定数であるから逆オイラーの法則で変換
できないため、そのまま周波数0[Hz]の成分として
考えられる。
考えられる
N
x(t ) = X 0 + ∑
X ke
k =1
j 2πf k t
* − j 2πf k t
+ Xk e
2
よって周波数成分は
1 *
1
1 *
1
1 *
1
{( X 0 ,0), ( X 1 , f1 ), ( X 1 ,− f1 ), ( X 2 , f 2 ), ( X 2 ,− f 2 ),L , ( X N , f N ), ( X N ,− f N )}
2
2
2
2
2
2
• さらに複雑な形状の波形の周波数成分を求
場
変
める場合にはフーリエ変換を用いる。
例題
• 次のスペクトルは?
π
π
x(t ) = 2 + 4 cos(100πt + ) + 6 cos(300πt − )
3
2
周期関数
• 周期関数とは同じ波形を繰り返す関数のこと
を言う。
• 次の信号は周期関数か?
π
π
x(t ) = 4 cos(100πt + ) + 6 cos(300πt − )
3
2
• この波形の周波数成分は前の問題で求めて
波形 周波数成分は前 問題 求め
いる。
• この波形は50Hzと150Hzの成分からなる。
• 150Hzは50Hzの3倍である
150Hzは50Hzの3倍である。
• よって50Hzの波が一周期分の波形を描く間
に150Hzはぴったり3周期分の波形を描くこと
になる。
• よってこの波形は繰り返すため周期関数であ
る。
• 次の図は分かりやすく位相を0として、50Hz
(青)と150Hz(赤)の波形を示したものである。
(青)と150Hz(赤)の波形を示したものである
8
6
4
2
0
-2
-44
-6
-8
系列1
系列2
• 足しあわせた波形は50Hzの周期で繰り返す。
15
10
5
0
-5
-10
-15
15
系列1
• この波形の繰り返す周期を基本周期と呼ぶ。
基本周期 対応する周波数を基本周波数
基本周期に対応する周波数を基本周波数と
呼ぶ。
• 周期は周波数の逆数で計算される。
• よって与えられた式の基本周期は1/50秒で
ある。
ある