スペクトル • スペクトルとは信号の周波数成分である。 スペクトルでは 信号を周波数の異なる波の • スペクトルでは、信号を周波数の異なる波の 組み合わせとして、グラフィカルに表現する。 • スペクトルを用いることにより、信号を構成す ペクト を用 る とにより 信号を構成す る周波数と、それぞれの周波数成分の大きさ を視覚的に知ることが出来る。 スペクトルの導出 • 今 今、ある信号x(t)が以下の余弦波の式により表され あ 信 が 余弦波 式 表され ている場合を考える。Aは振幅、ωは角周波数、φは 位相 ある 位相である。 x(t ) = A cos(ωt + φ ) この信号はオイラーの公式から以下のように表され る。 x(t ) = Re{ Ae Q Ae j (ωt +ϕ ) j (ωt +ϕ ) } = A(cos(ωt + ϕ ) + j sin(ωt + ϕ )) • この式から分かるように、cos波はAej(ωt+φ)の 実数成分として表すことが出来る。 数 表 • この信号はフェーザを用いると以下のように表される。 信 ザを う 表され j (ωt +ϕ ) x(t ) = Re{ R { Ae A } j ωt = Re{ Xe } ただ は ただしXは X = Ae である。 ある jϕ • ここでフェーザXは複素振幅とも呼ばれる。 ザ 複 も ば • 複素振幅には振幅成分(A)と位相成分(φ) が含まれる。 j tには時間により単位円上を回転す • 一方、e 方 jωt るベクトルが残っている。この回転の速さはω によって決まる。よってこの成分は回転の速 さにあたる周波数を表していると考えられる。 • ここで逆オイラーの公式からx(t)は以下のように書き 逆オ 式 う 書き 換えられる。 e j (ωt +ϕ ) + e − j (ωt +ϕ ) e jϕ e jωt + e − jϕ e − jωt x(t ) = A ⋅ = A⋅ 2 2 Ae jϕ e jωt + Ae − jϕ e − jωt Xe jωt + X *e − jωt X jωt X * − jωt = = = e + e 2 2 2 2 ここでX*はXの共役複素数である。 は 共役複素数 ある • このことからcos波による波形は、角周波数ω 角 と−ωの2つの成分の和によって出来ている ことが分かる。 • ただしそれぞれの周波数成分の大きさはもと の1/2である。 • 簡単のために、振幅A=1、位相φ=0とした場 合の、この様子を次のスライドに示す。 1 j ωt 1 − j ω t cos((ωt ) = e + e 2 2 1 2 3 4 5 6 7 10 8 11 9 12 ejωt/2とe-jωt/2の和はcos波(cosωt)になっていることが分かる。 • ここで角周波数 ここで角周波数ωと通常の周波数fとの関係を確認 と通常の周波数fとの関係を確認 しておく。 ω = 2πf • 周波数fが1Hzの場合、1秒間で波形が一周期を描く。 f つまり回転の角度で言えば2πだけ動くことに相当す る。2Hzならば1秒間で2周期を描くので角度で言え ば4 となり1H の2倍になる ば4πとなり1Hzの2倍になる。 • よって上記の式の関係となる。 • 以上より、x(t)の各周波数における成分は、周波数f 各 波数 お る成分 波数 においてX/2、周波数-fにおいてX*/2となる。これをい ま ま以下のように表記しておく。 う 表 おく 1 1 * {( X , f ), ( X ,− f )} 2 2 • 以上のように求まったスペクトルをグラフ表示 する場合 、横軸を周波数、縦軸を複素振幅 する場合は、横軸を周波数、縦軸を複素振幅 の大きさとして表示する。 • 振幅に関しては、振幅の実数成分と虚数成 場 分を別々のグラフに示す場合もある。 例題 • 次のスペクトルは? (1) π x(t ) = 2 cos((100πt + ) 4 π (2) x(t ) = 4 cos(30πt + ) 3 (3) 2π x(t ) = 2 cos(80πt − ) 3 • 次のような場合のスペクトルはどのようになるか? 次 うな 合 ど う な N x(t ) = ∑ Ak cos(2πf k t + φk ) k =1 • この場合は複数のcos波によって出来た信号である 合 複数 波 来 信 あ が、それぞれのcos波についてスペクトルを求める。 N x(t ) = ∑ Re{ Ak e j ( 2πf k t +ϕ k ) } k =1 N = ∑ Re{ X k e j 2πf k t k =1 ただし kは ただしX X k = Ak e jϕ k } • 逆オイラーの公式から 逆 式 N x(t ) = ∑ X ke k =1 j 2πf k t * − j 2πf k t + Xk e 2 よって周波数成分は 1 1 1 1 1 1 {( X 1 , f1 ), ( X *1 ,− f1 ), ( X 2 , f 2 ), ( X * 2 ,− f 2 ),L , ( X N , f N ), ( X * N ,− f N )} 2 2 2 2 2 2 • 次のような場合、スペクトルはどのようになる か?ただしA0は実数の定数である。 N x(t ) = A0 + ∑ Ak cos(2πf k t + φk ) k =1 • A0は値を周期的に繰り返す成分を持たないので、 は値を周期的に繰り返す成分を持たないので 周波数が0の成分と考えられる。(直流成分と呼ぶ) • A0を複素振幅(フェーザ)を用いて表すと を複素振幅(フ ザ)を用いて表すと j0 0 0 X e ただし =X X 0 = A0 X0は実数定数であるから逆オイラーの法則で変換 できないため、そのまま周波数0[Hz]の成分として 考えられる。 考えられる N x(t ) = X 0 + ∑ X ke k =1 j 2πf k t * − j 2πf k t + Xk e 2 よって周波数成分は 1 * 1 1 * 1 1 * 1 {( X 0 ,0), ( X 1 , f1 ), ( X 1 ,− f1 ), ( X 2 , f 2 ), ( X 2 ,− f 2 ),L , ( X N , f N ), ( X N ,− f N )} 2 2 2 2 2 2 • さらに複雑な形状の波形の周波数成分を求 場 変 める場合にはフーリエ変換を用いる。 例題 • 次のスペクトルは? π π x(t ) = 2 + 4 cos(100πt + ) + 6 cos(300πt − ) 3 2 周期関数 • 周期関数とは同じ波形を繰り返す関数のこと を言う。 • 次の信号は周期関数か? π π x(t ) = 4 cos(100πt + ) + 6 cos(300πt − ) 3 2 • この波形の周波数成分は前の問題で求めて 波形 周波数成分は前 問題 求め いる。 • この波形は50Hzと150Hzの成分からなる。 • 150Hzは50Hzの3倍である 150Hzは50Hzの3倍である。 • よって50Hzの波が一周期分の波形を描く間 に150Hzはぴったり3周期分の波形を描くこと になる。 • よってこの波形は繰り返すため周期関数であ る。 • 次の図は分かりやすく位相を0として、50Hz (青)と150Hz(赤)の波形を示したものである。 (青)と150Hz(赤)の波形を示したものである 8 6 4 2 0 -2 -44 -6 -8 系列1 系列2 • 足しあわせた波形は50Hzの周期で繰り返す。 15 10 5 0 -5 -10 -15 15 系列1 • この波形の繰り返す周期を基本周期と呼ぶ。 基本周期 対応する周波数を基本周波数 基本周期に対応する周波数を基本周波数と 呼ぶ。 • 周期は周波数の逆数で計算される。 • よって与えられた式の基本周期は1/50秒で ある。 ある
© Copyright 2024 ExpyDoc