女性誌の舞台裏を紐解く

出版業界の舞台裏を紐解く
文学部文学科日本文学専攻 4年1組102番 ****
調査の目的
【女性誌の歴史】
◇女性におけるライフスタイルの多様化
◇女性誌創刊ラッシュ(2004年秋~)
◇流行語を生み出す
:『NIKITA』の台頭・・・“艶女”の誕生
いま、女性誌が熱い!
傾向を掴みやすい!!
仮説
(1)ページ数の多い雑誌は、発行部数が多い。
:ページ数の多さ=情報量の多さ?
→立ち読みだけでは読み切れないから購読者も多い?
(2)発行部数の多い雑誌は、広告料金が高い。
:人気のバロメーターである発行部数。
→諸企業はこの指標を見て広告を効果的に投下する?
(3)ページ数の多い雑誌は、定価が高い。
:ページ数の多さ=情報量の多さ?
→情報提供の程度に応じた見返りを求めているか?
※これら対立仮説の証明は難しいため、帰無仮説を設定し、その棄却を試みる。
使用変数
①ページ数(単位:ページ)
・平均値・・・309.87
・標準偏差・・・134.801
・中央値・・・290.00
・最大値・・・650(SPUR)
・最小値・・・112(Hanako)
【特徴】
◇200~350ページの雑誌が多い。
◇ばらつきは少々大きめである。
使用変数
②発行部数(単位:部)
・平均値・・・208,214.77
・標準偏差・・136,143.069
・中央値・・・162,096.00
・最大値・・・547,986(CanCam)
・最小値・・・41100(MISS)
【特徴】
◇50.000部~200.000部の
雑誌が多い。
◇ばらつきは大きめである。
使用変数
③広告料金(単位:万円)
・平均値・・・171.73
・標準偏差・・・49.030
・中央値・・・162.50
・最大値・・・280(Ray)
・最小値・・・65(ar)
【特徴】
◇広告料金が150~175万円の雑
誌が多い。
◇ばらつきは少々大きめである。
使用変数
④定価(単位:円)
・平均値・・・585.00
・標準偏差・・・165.982
・中央値・・・570.00
・最大値・・・1,100(婦人画報)
・最小値・・・350(anan)
【特徴】
◇600~700円の雑誌が多い。
◇ばらつきは少々大きめである。
※以上4つの変数は『雑誌新聞総かたろぐ』から任意の30誌を抽出し、データを得た。
分析結果
(1)ページ数の多い雑誌は、
発行部数が多い。
◇散布図
:大きな楕円状だが
正の関係が見られる。⇒相関あり
◇相関係数
:0.433⇒かなりの正の相関がある
◇回帰直線の寄与率(R2乗)
:18.8%⇒説明能力低い
◇F値における有意確率
:1.7%
⇒5%有意水準に満たないため、
帰無仮説を棄却できる
よって、「ページ数の多い雑誌は、発行部数が多い」という仮説は成立する。
分析結果
(2)発行部数の多い雑誌は、
広告料金が高い。
◇散布図
:大きな楕円状で
傾向が掴みにくい⇒相関低い
◇相関係数
:0.241⇒弱い正の相関がある
◇回帰直線の寄与率(R2乗)
:5.8%⇒説明能力低い
◇F値における有意確率
:20%
⇒5%有意水準を超えるため、
帰無仮説を棄却できない
よって、「発行部数の多い雑誌は、広告料金が高い」という仮説は成立しない。
分析結果
(3)ページ数の多い雑誌は、
定価が高い。
◇散布図
:大きな楕円状だが
正の関係が見られる⇒相関あり
◇相関係数
:0.479⇒かなり正の相関がある
◇回帰直線の寄与率(R2乗)
:22.9%⇒説明能力やや低い
◇F値における有意確率
:0.7%
⇒5%有意水準に満たないため、
帰無仮説を棄却できる
よって、「ページ数の多い雑誌は、定価が高い」という仮説は成立する。
考察
(1)ページ数の多い雑誌は、発行部数が多い。
:概ね仮説に寄り添った結果が得られた。しかし、
⇒読者の購買意欲のきっかけが、ページ数?・・・引っかかる。
(2)発行部数の多い雑誌は、広告料金が高い。
:期待に外れて、この因果関係は希薄であった。
⇒出版社が広告料金を設定する決め手は「発行部数」の大小ではない。
(3)ページ数の多い雑誌は、定価が高い。
:概ね仮説に寄り添った結果が得られた。しかし、これもまた
⇒情報量の程度をページ数に求める・・・間違いでは?
(1ページには文字だけでなく、写真や絵画・グラフなども用いられているため)
◎女性誌熱が高まる一方で、出版業界の複雑さがわかる