情報化と経済 目的・動機 近年、情報技術が発達する中で、職場または学校に 限らず、家庭においてもパソコンが普及している。 こういったIT機器の普及が経済にどういった影響を及 ぼすのか分析してみたいと思い、テーマを設定した。 なお、今回のサンプルは都道府県とする。 仮説 仮説1「教育用コンピュータ平均設置台数が多いほど、 1人当たり県民所得が高い。」 仮説2「学校の高速インターネット接続率が高いほど、1 人当たり県民所得が高い。」 仮説3「千世帯当たりのパソコン所有数量が多いほど、1 人当たり県民所得が高い。」 データ 〈独立変数〉 ①教育用コンピュータ平均設置台数(文部科学省より) ②学校の高速インターネット接続率(同上) ③千世帯当たりパソコン所有数量(統計局より) 〈従属変数〉 1人当たり県民所得(統計局より) 教育用コンピュータ平均設置台数 平均値 43.540台 中央値 42.800台 やや左側に膨らんでいる 学校の高速インターネット接続率 平均値 80.881% 中央値 82.400% 右側に山 ⇓ 接続率の高い都道府県 がほとんど。しかし、低い ところとの差が大きい。 千世帯当たりパソコン所有数量 平均値 942.23台 中央値 972.00台 正規分布に近い 1人当たり県民所得 平均値 2773.89千円 中央値 2773.00千円 左側に山 ずば抜けて高いのは東 京都 仮説の検証1 相関係数 0.218 寄与率 47% 〔F検定〕 有意確率 0.142 ⇒棄却できない 仮説の検証2 相関係数 0.476 寄与率 22.7% 〔F検定〕 有意確率 0.001 ⇒棄却される 仮説の検証3 相関係数 0.738 寄与率 54.5% 〔F検定〕 有意確率 0.000⋯ ⇒棄却される 結果 仮説1 → データによって実証されなかった 仮説2 → データによって実証された(かなりの正の関 連) 仮説3 → データによって実証された(強い正の関連) まとめと考察 仮説1においては、社会人になったときに学校で学んだ パソコンを扱う能力を発揮することで、経済的に良い影 響を及ぼすのではないかと考えたが、今回用いたデー タでは実証されなかった。 仮説2は実証された。やはり、学校に限られたことではな いが、インターネットが利用できる環境にあるということ は、情報の取得や資料の収集などにおいて効率化また は低コスト化を招くと考えられる。 まとめと考察(続き) 仮説3もまた実証された。教育用のコンピュータ設置台 数よりも千世帯当たりパソコン設置台数が1人当たり県 民所得と強い正の関連があるということは興味深い。子 どもたちは家庭のパソコンでより多くのことを学んでいる という可能性も考えられる。 しかし、経済的に優位な都道府県であるからこそ、パソ コンに消費をまわすことができるのでは⋯。
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