新領域「資料の活用」への期待

新領域「資料の活用」への期待
宮崎大学教育文化学部
藤井良宜
統計教育充実への背景
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情報通信技術や自動測定技術の発展
データのデジタル化
大規模データの蓄積
ソフトウエアの充実
大規模情報を活用できる
機会の拡大
日本科学教育学会 2008.8.24
世界的な
統計教育改革の動き
• 米国
– スタンダード
– GAISE project
• オーストラリア
• ニュージーランド
– Mathematics から Mathematics and
Statisticsへ
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新領域「資料の活用」
の内容
• 1年生
– 目的に応じた資料の収集
– 表やグラフによる整理
– 資料の傾向を読み取る
度数分布表は
小学校6年生で学習
• 2年生
– 確率の必要性と意味
– 確率を用いて不確定な事象をとらえる
• 3年生
– 標本調査の必要性と意味
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各領域の概観より
• 「資料の活用」指導の意義
– 資料の「整理」に重きをおくのではなく,結果を用
いて考えたり判断したりすることを重視する
– 不確定な事象を対象として考える
– 問題解決を目指して,予測や判断を行う
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「資料の活用」への期待
1. バラツキのある現象に対して,その中から
傾向を探索し,知識を生み出していくことの
重要性を理解する
2. 因果関係の根拠となっているデータに関心
を持つ
3. 問題解決のプロセスを身につける
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2.データに興味を持つ
• データはどのように集められているのか?
• その結果から,正しい解釈が行われているの
か?
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根拠は正しいのか?
この結果から,このような結論
が導けるのか?
血清脂肪濃度の増加量は抑え
ることはできる
脂っこい料理を食べた分だけ,
減らせるのか?
多く食べたら,血清脂肪濃度の
増加を押さえても,
それ以上に吸収してしまうので
は?
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指導要領解説 p.155
• インターネットなどの情報通信ネットワークを
利用して資料を収集したり,さまざまな標本調
査とその結果について調べたりすることもで
きる。この場合,情報の信頼性などについて
事前に検討しておくことが必要である。また,
生徒自身が予測や判断の前提として,試料
の信頼性に目を向けられるようにすることも
大切である。
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問題解決の流れ
データの収集
データの解析
結果の解釈
問題の定式化
理想的には,問題解決の流れを体験させたい
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問題解決の流れ
データの収集
データの解析
結果の解釈
問題の定式化
解析の目的を意識させる
何を知りたいのか?
調査可能な
問題へ?
漠然とした
問題意識
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他教科との連携も
• 問題解決のプロセス全体を「数学」ですべて
行うのは難しい。
• 他の教科の問題を「数学」を使って解決でき
ないのか?
– 理科や社会の問題,総合的な学習の時間で取り
扱う内容など
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新しい統計教育を実現するためには
• 先生自身が,問題解決のプロセスを理解する
– 先生自身が統計的な調査や統計解析を行ってみ
る
• 教材の重要性
– 興味のある問題を提供する。
– 教材の蓄積
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