サプライ・チェインの設計と管理 第5章 ロジスティクス戦略

サプライ・チェインの設計と管理
第5章 ロジスティクス戦略
pp.127-140
米国出版販売(ベーハン)のケーススタディを読んでおくこ
と!
東京商船大学
久保 幹雄
ここで学ぶこと
• ロジスティクスには様々な戦略がある
– 万能の戦略はない!
– ケース・バイ・ケースで選択する必要がある!
– 個々の戦略の利点,弱点を理解する!
• 情報管理(集中か分散か)
• ロジスティクス戦略(直送,倉庫保管,クロスドッキン
グ,在庫転送)
• 倉庫の配置(集中型か分散型か,あるいは混合型
か)
• 押し出し型か引っ張り型か,あるいは混合型か
情報の集中管理と分散管理
• 集中管理
->全体最適化
->全体最適化で得た利益の配分が必要
• 分散管理
->部分最適化
->管理方式が単純
メーカー
(供給業者)
卸(倉庫)
小売り
ロジスティクス戦略
製品A
直接配送
製品B
供給業者
在庫
小売店
倉庫保管
(旧来の方式)
倉庫
供給業者
クロスドッキング
小売店
直接配送
• 利点
– 倉庫(物流センター)がいらない!
– 納入リード時間の短縮(生鮮食料品では有
利)
• 弱点
– 倉庫の在庫によるリスク共同管理ができな
い!
– 小口輸送の増加による輸送費用の増加
• J.C.ペニーの事例
クロスドッキング
• 利点
– 輸送費用の削減+リード時間の短縮+リスク共同管
理による在庫の削減が同時に狙える!
• 弱点
– クロスドック用のセンターへの設備投資が必要
– 情報の共有化+需要予測の精度の向上が必要
– 各供給業者から+各店舗へのトラックが満載できるだ
けの規模が必要
• ウォルマートの事例
在庫転送(transshipment)
需要
需要
製品の転送
需要
需要
仮想の
倉庫
需要
需要
小売店
小売店
在庫情報の共有+転送費用
=
仮想の倉庫における
リスク共同管理
集中型施設と分散型施設
注:p.69(3.4節)で同じ議論をしている!
集中型施設
在庫費用:リスク共同管理によって小
倉庫費用:規模の経済によって小
リード時間:大
顧客サービス:リスク共同管理によって品切れ減少,
リード時間は大
内向き輸送費用:生産拠点から倉庫への費用は小
外向き配送費用:小売店への配送費用は大
分散型施設
その反対
押し出し型と引っ張り型
• 押し出し(push)型:需要予測に基づき在庫をた
めるために製造(Make-To-Stock)
注文
製造業者
小売業者
外部需要
製品
• 引っ張り(pull)型:顧客需要に基づき製造
(Make-To-Order)
情報(POSデータ)
製造業者
小売業者
製品
外部需要
押し出し-引っ張り境界
• 押し出し(push)型->在庫大
• 引っ張り(pull)型->リード時間大
=>途中まで押し出し,途中から引っ張り
(Assemble-To-Order), e.g., デルのPC直販
情報(POSデータ)
納入業者
製造業者
部品(共通)
小売業者
製品(多品種)
押し出し-引っ張り境界 or 遅延化境界
外部需要