解糖系

解糖系
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖
の代謝経路である。
2)反応は細胞質で行われる。
3)Dーグルコースの嫌気的分解による乳酸やエタノール
生成までの過程を意味する(広義的な意味)。
4)狭義の解糖系は10段階の代謝反応で構成され、エネ
ルギー消費段階と生成段階に分けられる。
5)グルコース1分子から4分子のATPをつくりだす。(ただ
し、2分子のATPを消費するので収支2分子のATPが生成
されたと考える)
解糖系(エネルギー消費段階=エネルギー生成の準備段階)
D-グルコース(Glu)
ヘキソキナーゼ
(グルコキナーゼ)
7.1
細胞内に取り込まれたグルコースはすぐに6-リン酸化
される。ATP消費
7.1
D-グルコース6-リン酸(G-6-P)
グルコースリン酸
イソメラーゼ
7.2
G-6-PをF-6-Pに異性化する。
7.2
D-フルクトース6-リン酸(F-6-P)
ホスホフルクト
キナーゼ
7.3
F-6-Pはさらに2-リン酸化される。ATP消費
7.3
D-フルクトース1、6-ビスリン酸(F-1、6bisP)
アルドラーゼ
7.4
7.4
F-1、6-bisPは開裂によりGA-3PとDHAPになる。
7.5
ジヒドロキシアセトリン酸(DHAP)
DHAPはGA-3Pに異性化される。
グリセルアルデヒド3-リン酸(GA-3P)
7.5
トリオースリン酸
イソメラーゼ
1分子のGluから2分子のGA-3Pができる。
ATPを2分子消費する。
解糖系(エネルギー生成段階)
グリセルアルデヒド3-リン酸(GA-3P)
GA-3Pデヒドロ
ゲナーゼ
7.6
1、3-ビスホスホグリセリン酸(1、3-bisPG)
ホスホグリセリン酸
キナーゼ
7.7
3-ホスホグリセリン酸(3-PG)
ホスホグリセロ
ムターゼ
7.8
7.9
ホスホエノールピルビン酸(PEP)
ピルビン酸
キナーゼ
7.7
1、3-bisPGの1位のリン酸基をADPに転移し、ATP
を合成。さらに3-PGに変換させる。
7.8
3-PGは2-PGに異性化される。
7.9
2-ホスホグリセリン酸(2-PG)
エノラーゼ
7.6
無機リン酸(H3PO4)を利用してGA-3Pを1、3-bisPG
に変換させる。NAD+を消費
7.10
2-PGから脱水反応により高エネルギーリン酸
化合物であるPEPがつくられる。
7.10
PEPの2位のリン酸基をADPに転移し、ATPを
合成し、またピルビン酸がつくられる。
ピルビン酸
1分子のGA-3Pから1分子のピルビン酸ができる。
2分子のADPから2分子のATPを生成する。
乳酸の生成
7.11
ピルビン酸は乳酸に還元される。
NADH + H+を消費
ピルビン酸
乳酸デヒドロ
ゲナーゼ
7.11
乳酸
1、3-ビスホスホグリセリン酸(1、3-bisPG)
ピルビン酸
NADH + H
NADH + H
+
7.6
NAD+の再生
7.11
NAD+
乳酸
+
NAD+
グリセルアルデヒド3-リン酸(GA-3P)
その他の糖の代謝
D-グルコース(Glu)
ガラクトース
7.1
フルクトース
D-グルコース6-リン酸(G-6-P)
ガラクトース1-リン酸
7.2
フルクトース1-リン酸
D-フルクトース6-リン酸(F-6-P)
マンノース6-リン酸
7.3
D-フルクトース1、6-ビスリン酸(F-1、6bisP)
7.4
ジヒドロキシアセトリン酸(DHAP)
グリセルアルデヒド3-リン酸(GA-3P)
7.5
マンノース
なぜグルコースをフルクトースに異性化するのか?
生体内では、CーC結合を切断する場合、カルボニル基のβ位で
切断するシステムが存在。
H
O
ーCーCーC
α β
H
H
HO
H
O
Cα
β
OH
OH
H
OH
CH2Oー P
G-6-P
1)
7.3
CH2OH
以降の代謝の1本化
2)フルクトースの代謝の入り口
α
HO
H
H
C
β
O
H
OH
OH
CH2Oー P
F-6-P