電気回路学講義資料

等価電源の定理とは
複数の電源を含む回路網のある一つの端子対からその回路を見た場合、
その回路は、単一の電源(電圧源或いは電流源)と単一のインピーダンス
またはアドミタンスからなるシンプルな電源回路と等価と見なせる。
ただし、上記の定理が成り立つためには、回路網に含まれる全ての電源が
同一周波数(位相は異なっていても良い)の電源であることと、回路が線形
である(重ね合わせの理が成り立つ)ことが前提となる。
もし、端子間の開放電圧 V0 と、
端子から見こんだインピーダ
ンス Z0 が分かっていれば
もし、端子間の短絡電流 I0 と、
端子から見こんだアドミタン
ス Y0 が分かっていれば
a
a
Z0
VZ00
V0
b
I0
YI00
Y0
b
テブナンの定理とノートンの定理
a
I
I
Z0
VZ00
V0
Z
V0
Z0  Z
(鳳-)テブナンの定理
ヘルムホルツの定理
b
a
V
I0
YI00
Y0
b
Y V
I0
Y0  Y
ノートンの定理
Y0 
1
Z0
I0 
V0
Z0
電圧源と電流源の間の等価な変換
Z0
J
E
電圧源
電圧源と電流源との間に、 Y0 
Y0
電流源
1
E
, J
の関係がある時、
Z0
Z0
その電圧源と電流源は等価である。
E, Jが直流電圧源および電流源、Z0, Y0 が抵抗およびコンダクタンスの場合は、
教科書 p.11の図1.15で学習済
等価電源
例題8.5
下の回路と等価な電源を求めよ
6W
6V
6W
3W
2W
6A
2W
または、
12V
5A
6V
1A
1A
6W
3W
6W 3W
5A
5A
等価電源
例題8.6
下の回路と等価な電源回路を求め、V0 を与える式を導け。
Y1
Y2
Yl
I1+I2+‥ +Il
V0
E1
E2
Y1+Y2+‥ +Yl
El
I1  I 2    I l
Y1  Y2    Yl
Y E  Y E    Yl El
 1 1 2 2
Y1  Y2    Yl
V0 
I1
I1=Y1E1
Y1
I2
I2=Y2E2
Y2
Il
Il=YlEl
Yl
帆足-ミルマンの定理
V0
演習問題
演習問題(8.16) 下の回路において電流 I を求めよ。
J1
J2
J3
I
Z1J1
Z1
Z1
Z2J2
Z2
Z2
Z3J3
Z3
Z3
Z
V
I
Z1J1  Z2 J 2  Z3 J 3
Z  Z1  Z2  Z3
等価電源
演習問題(8.9)
I
Z1
V1
Z1
V1
V2
重ね合わせの原理を適用
V2 を殺し、V1 のみの場合
I1
Z1
V1
Z2
Z2 V
2 Z
2
Z1
Z2
V1
V
V2 Z
2
テブナンの定理
I1 
V1
Z1  Z2
V1 を殺し、V2 のみの場合
I2
V2
Z1
I  I1  I 2 
V1  V2
Z1  Z2
V  V1  Z1I  V1  Z1
V2
I2  
Z1  Z2

Z 2V1  Z1V2
Z1  Z 2
V1  V2
Z1  Z 2
等価電源
演習問題(8.10)
I
Y1
Y1
I1
I2
I1
Y2
Y2
Y1
I2
V
I1
Y2
I2
重ね合わせの原理を適用
I2 を殺し、I1 のみの場合
ノートンの定理
Y1
I1
Y2
V1
V1 
I1
Y1  Y2
I1 を殺し、I2 のみの場合
Y1
V2
Y2
I2
V  V1  V2 
I1  I 2
Y1  Y2
I  I1  Y1V  I1  Y1
V2 
I2
Y1  Y2

Y2 I1  Y1I 2
Y1  Y2
I1  I 2
Y1  Y2
等価電源
演習問題(8.12)
下のようなブリッジにおいて、I5を求める問題
A
Z1
Z3
→ 閉路方程式により解く場合 式(7.39)
テブナンの定理を利用して解く場合
端子A-Bから左を見た回路の内部
インピーダンスZinは
Zin
Zin
I5
Zin 
V 0 I5
Z5
端子A-B間の開放電圧V0は
V0
Z2
Z4
E1
Z5
Z1Z3
ZZ
 2 4
Z1  Z3 Z2  Z4
B
 Z3
Z4 
E
V0  

 Z1  Z3 Z2  Z4 
テブナンの定理により
I5 
V0
Zin  Z5
補償定理
電流 Ik が流れている線形回路網中の任意の枝にインピーダンス dZk を挿入する
とき、挿入により生ずる回路中の各節の電圧、各枝の電流の変化量は、回路中
の電源を全て殺し、インピーダンス dZk を挿入した状態において dZk に直列に Ik
と逆向きに電圧 -dZk Ik なる補償電圧源を加えた場合の電圧、電流に等しい。
V1 + dVV11
dV1
I1 +I1dI1
Jn
dI1
dZkIk
V2 +Vd2 V2
dV2
dZk
E1
I2 +I2dI2
Vq + dVVq q
Em
-dZkIk
dI2
Iq +IqdIq
線形回路網
dVq
dIq
補償電圧源の印加
補償定理
演習問題(8.13)
ブリッジが平衡しているので
Z1
Z3
I4 
E
Z2  Z4
補償定理を利用
R
I=?
I=0
I4
Z2
dZ
dZ I4
Z4
Z4 +dZ
dZ « Z4
E
Z4 +dZ
 dZ I 4
Z2
Z1Z 2 Z3
ZZ
Z 4  dZ 
Z2  1 3
Z1Z 2  Z 2 Z3  Z3Z1
Z1  Z3
 dZ Z 2 (Z1  Z3 ) E

(Z 4  dZ ){(Z1Z2  Z 2 Z3  Z3Z1 )  Z1Z2 Z3}(Z2  Z4 )
I
今、dZ « Z4なので
I
I
R
dZ I4
Z2
Z1
Z3
 dZ Z2 (Z1  Z3 ) E
Z4{(Z1Z2  Z2 Z3  Z3Z1 )  Z1Z2 Z3}(Z2  Z4 )
従って、I はdZ に比例する
出席レポート
本日の出席レポート問題は、演習問題(8.14)と(8.15)
演習問題(8.14) 100Vの交流電源に500Wの電熱器を繋いだら端子電圧が80Vになった。
電源のインピーダンスが抵抗であるとし、また電熱器の抵抗が電流の値
に依存しないとして、電源のインピーダンスを求めよ。また、このようにし
て求めたインピーダンスの値は、電熱器の抵抗が電流によって変化する
ことを考慮すれば、過大評価、過小評価のどちらであるか。
ヒント: 500Wの電熱器(電球)→100Vの電圧をかけた時5Aの電流が流れるので、
使用時の抵抗値が20Wとなるよう設計してある。
ri
100V
80V
20W
ri=5[W]
演習問題(8.15) 回路中のインピーダンス z1に電流 I1が流れている。z1に直列に z2を入れ
ると電流 I2がとなるならば、 z1に並列に z2を入れると、 z1にどんな電流が
流れるか。
ヒント: 等価電源の定理を使う
※ 次々回の講義(11/17)前までに私のメールボックスに投函か、講義に持参のこと
昨年の演習クラスの問題
以下は、昨年の演習クラスでの問題です。余力のある人はチャレンジしてみて下さい。
問1. 以下の回路に等価な電源を求め、さらに端子a-b間に負荷 ZL を接続した際に、
負荷に流れる電流 I を求めよ。
 jXc
R1
a
Z0
+
+
E0
I
R2
E0
ZL


b
等価電源
E0, Z0を求める問題
昨年の演習クラスの問題
問2. 端子a-bから左側の回路の等価電源を
求めよ。また、キャパシタに流れる電流
I を求めよ
R
a
I
jXL
I
+
+
- jXc
E0
- jXc

jXL
E0
問3. 端子a-b から左側の回路の等価電源を
求めよ。また、RLを流れる電流 I を求め
よ。 (ただし XL ≠ Xc とする)
a
RL

b
問5. a-bから左側の回路の等価電源を求めよ
-jXc
R
a
+
E0
jXL
J0

問4. 開放電圧が24Vの電源回路がある。
この電源に1kWおよび3kWの抵抗
を接続したとき、流れた電流の比が
2.8:1 であった。この電源の内部抵
抗はいくらか?
b
b
昨年の演習クラスの問題
問6. a-bから左側の回路の等価電流源
を求めよ。また、電圧VLを求めよ。
問7. a-bから左側の回路の等価電流源
を求めよ。また、電圧VLを求めよ。

+
a
a
E0
jX
J0
RL
R
VL
J0
R
jX
R
VL
-jX
b
b
問8. 下図の回路で端子a-b間を短絡すると、300mA 問9. a-bから左側の等価電源を求めよ。
またa-b間に負荷抵抗3Rを接続し
の電流が流れた。またこの端子に250Wの抵抗
たとき、負荷の両端に現れる電圧
を接続すると、その両端には15Vの電圧が現れ
の位相は電源電圧に対し45°遅
た。では、500Wの抵抗を接続すると、抵抗の両
れた。このときXcはRの何倍か?
端には何ボルトの電圧が現れるか?
a
R
-jXc
E0
3R

電源
b
+
a
b
VL