統計力学1演義 No. 6 [演習問題] 5/21/15 担当:大橋 琢磨 TA: 正村 陸 1. 2 個の粒子があり,これらの粒子が 3 つエネルギー準位 ϵn = nϵ (n = 0, 1, 2) を占め ることのできる系を考える.ここで,ϵ は正の定数である.以下の場合に対して,取 り得る全ての状態とそのエネルギーを書き下せ. (a) それぞれの粒子を区別することはできず,2 つ以上の粒子が 1 つのエネルギー 準位を占めることのできない場合 (b) それぞれの粒子を区別することはできないが,1 つのエネルギー準位を粒子が いくつでも占めることのできる場合 (c) それぞれの粒子を区別することができ,1 つのエネルギー準位を粒子がいくつ でも占めることのできる場合 (a) の統計性を持つ粒子はフェルミ粒子,(b) はボーズ粒子と呼ばれ,(c) は古典的粒 子である. 2. 断熱壁に囲まれた常磁性体がある外部磁場 H の下で熱平衡状態にあるとする.この とき,磁性体のエネルギーは M を全磁化として,E = −HM で与えられる.この 磁性体に関して,ミクロカノニカルアンサンブルを用いて統計的性質を調べる. (a) この常磁性体が ±m の磁気モーメントを取り得る N 個の独立な磁性イオンか ら構成されているとする.エネルギーが E = −N ′ Hm となるような微視的状 態数 W (E) を求めよ. (b) エントロピー S は S = kB ln W で与えられる.ここで,kB はボルツマン定数 である.N 及び N ′ が十分大きいとし,スターリングの公式を用いてエントロ ピー S を求めよ. (c) 熱力学関係式 1/T = dS/dE を用いて,温度 T での全系の磁化が M = mN tanh(mH/kB T ) となることを示せ.また,磁化 M を磁場 −∞ < H < ∞ の関数として慨形を 図示せよ. (d) H = 0 での帯磁率 χT = (∂M/∂H)T を求めよ.また,温度依存性の慨形を図 示せよ. 3. 結晶中の原子の熱振動を調和振動子とみなすことができる場合がある.振動数 ν を持つ 量子力学的調和振動子は,量子数 n に対してエネルギー固有値 En = (n + 1/2) hν, (n = 0, 1, 2, · · · ) を持つ.N 個の独立な調和振動子から成る系の熱力学的性質に関して, エネルギーが E = (N/2)hν + M hν と表される場合,ミクロカノニカルアンサンブ ルを用いて統計的性質を調べる. (a) i 番目の調和振動子の量子数を ni として,M を ni (i = 1, 2, · · · , N ) で表せ. (b) 系がエネルギー E を持つとき,微視的な状態数 W (M ; N ) を求めよ. (c) スターリングの公式を用いてエントロピー S を求めよ. (d) エネルギーを温度の関数として求めよ.また,関数の慨形を図示せよ. (e) 比熱を温度の関数として求めよ.また,関数の慨形を図示せよ. 演義の homepage: http://wwwacty.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~ohashi/teaching/ssm1/index.html
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