混合診療「実質解禁」で 医療はよくなるのか? 福島 雅典 京都大学医学部附属病院教授 探索医療センター検証部長 外来化学療法部長 http://www.kutrc.org http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~oncolctr/index.html 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 1 混合診療解禁の問題点 ― 現場からの意見 研究・開発の面から ― 医学研究の根幹 国民医療の面から ― 医療制度の根幹 考察の視点 : 経済、科学、法 ⇒ 社会のあり方 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 2 日本の医療制度 ― 3つの柱と理念 国民皆保険 診療報酬点数制 フリーアクセス・自由標ぼう制 ⇒ 機会均等・結果均等・低コスト 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 3 日本の医療制度の功罪 国民皆保険 ⇒ 少ない自己負担 過剰検査 自由標ぼう制 ⇒ 大幅な医師裁量 過剰治療 診療報酬点数制⇒新しい医療技術の 速やかな普及、早期診断 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 4 日本の医療制度改革 1. スタンダードの普及 2. セカンドオピニオンの奨励 3. 治療成績の公開 診断・治療アルゴリズムの公開 がん情報サイト http://cancerinfo.tri-kobe.org 4. 倫理審査の標準化と品質管理 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 5 医療における経済原理 ー1 自由主義経済の市場原理は成立しない 医療の経済学・新しいパラダイムが必要 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 6 医療における経済原理 ー2 需要を創出できない(ケインズ理論を適用できない) ・・・マーケットは限られる ⇒炭疽菌テロにより可能化 イノベーションがコストダウンに必ずしもつながらない (シュンペーター理論どおりにいかない) ・・・イノベーションのたびにコスト↑ ex: XP、CT、MRI、PET;分子標的薬 ⇒革命的医薬品の出現は極めて限られる 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 7 医療の新しい方向 ―科学的必然 病院から健院へ 治療から予防へ 発症前診断 → 健康の維持・増進 ex. PET検診 健康法と美容 フリーマーケット 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 8 癌に対する標準治療薬並びに二次薬 赤字:日本では未承認薬 青字:日本では適応外 表40-3:全身化学療法薬に反応性の癌治療法選択肢 (Current Medical Diagnosis&Treatment 44th Ed 2005, p1612-14) 出典:がん情報サイト(http://cancerinfo.tri-kobe.org/)より一部抜粋 9 癌に対する標準治療薬並びに二次薬 赤字:日本では未承認薬 青字:日本では適応外 表40-3:全身化学療法薬に反応性の癌治療法選択肢 (Current Medical Diagnosis&Treatment 44th Ed 2005, p1612-14) 出典:がん情報サイト(http://cancerinfo.tri-kobe.org/)より一部抜粋 10 取締り法としての薬事法 ―1 製造、輸入の承認申請を前提とせず、 院内で製剤化されたものの院内での適用は 薬事法規制外であり、医師裁量において (倫理委員会の承認さえあれば)* 自由に患者に投与できる。 *罰則はない ― 事実上野放し 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 11 取締り法としての薬事法 ―2 保険適用外 薬事法規制外* *医師裁量と院内製剤、機能性食品、健康食品 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 12 医療における わが国家的システムの欠陥 必要な法律と制度 被験者保護法 医療の質保証法 薬事法にかかわる行政・法の運用・規制におけ るRegulatory Scienceとしての臨床科学、薬剤 疫学の確立と強化 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 13 規制緩和の適応と禁忌 適応 : 一般的経済活動 禁忌 : 環境と安全 ⇒ 規制強化 2005/6/18 京都府保険医協会学習会 14
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