問診~総論はじめ~ まず、こちらを御覧ください。 70歳女性 主訴:倦怠感 ステロイドによる抑うつ疑い、 入院希望で入院となったPtです。 入院日の夕方に気がつきました。 問診を学ぶ、大事な理由がここにあります。 診療の大原則 『想起していない疾患は診断できない』 診断推論の流れ~立ち居地から~ ① Snap diagnosis ② 疾患を想起し、検証していく ③ 疾患を想起できない 診断推論の流れ~立ち居地から~ ① Snap diagnosis 経験した症例や知識から、パターン認識に より瞬間的に診断名が想起されることがある。 例えば、瞬間的に発症した生まれてはじめ ての激しい頭痛+高血圧でSAHを想起、 CTで確信するなど。 この的確さも、研修医と上級医を分ける 熟練度の違いとして見られる。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ① Snap diagnosis 注意すべきは、推論の早期閉鎖や思い込みにつな がる点である。 この疾患かな、と考え、他の疾患や推論する思考を 止めてしまうことが、往々にしてありうる。 正しくこの思考プロセスを機能させるために、研修中は、 綿密なプロトタイプの形成に努めることが肝要である。 また、主訴ごとに見落としてはいけない疾患も、瞬間的に 想起できるようになってもらいたい。そのため、各論に目 を通し、問診のレベルを上げてもらいたい。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ① Snap diagnosis 例えば、急性単関節炎をみたら、 結晶 外傷 感染を頭にめぐらせ、 化膿性関節炎のルールアウトをする となる。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ② 疾患を想起し、検証していく 想起された疾患を、患者から得られる情報 で検証していく流れで、 仮説を基点とする推論 ↑↓ 個々の情報から合理的な仮説を形成する を行き来して、推論を進めていく。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ② 疾患を想起し、検証していく 主訴から鑑別を考える(AIUEOTIPS等) キーワードに対する鑑別カードとし、纏める 診断推論の流れ~立ち居地から~ ② 疾患を想起し、検証していく 主訴から鑑別を考える(AIUEOTIPS等) キーワードに対する鑑別カードとし、纏める ここから、事前確率、感度、特異度、LR、 や、病態として合理性等を用い、検証を進め ていく。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ② 疾患を想起し、検証していく 主訴から鑑別を考える(AIUEOTIPS等) キーワードに対する鑑別カードとし、纏める ここから、事前確率、感度、特異度、LR、 や、病態として合理性等を用い、検証を進め ていく。 想起する疾患とカード 疾患の特異性 それぞれを学び、診断推論の精度を上げる。 そのため、各論を作成していく。 ② 疾患を想起し、検証していく 例えば、失神と聞いて頭を駆け巡る疾患は? 例えば、急性多関節炎と聞いて、考える疾患は? 例えば、全身のリンパ節腫脹で考える疾患は? 急性・多・関節痛の鑑別 血清反応陰性関節炎 強直性脊椎炎、反応性関節炎(クラミジア・サルモネラ・溶連菌?) 乾癬性関節炎、慢性炎症性腸疾患 見落として 感染性・ はいけない 淋菌感染症 疾患も想起。 ウイルス性(風疹、B、C型肝炎、パルボ、HIV、HTLV-1) その他(ライム病/ Borrelia burgdorferi) もらさない 化膿性関節炎(免疫抑制患者等) 感染性心内膜炎 結晶性関節炎 痛風、偽痛風 慢性の初期 RA 膠原病 血管炎等の初発症状としての関節炎 Causes of Generalized Lymphadenopathy from SAINT-FRANCES Guide To OUTPATIENT MEDICINE Syphilis Hepatitis Epstein-Barr virus(EBV) Histoplasmosis AIDS/HIV Serum sickness Cytomegalovirus(CMV) Unusual drugs Toxoplasmosis Erythrophagocytic lymphohistiocytosis Leishmaniasis Arthritis (rheumatoid) Neoplasm(leukemia , lymphoma) Others : 結核、猫引っ掻き病など… ② 疾患を想起し、検証していく ・例えば、急性多関節炎と聞いて、考える疾患は? 想起した疾患を鑑別するための診察や検査につい て知り、仮説を検証するために、各疾患について の知識が必要となる。 ・例えば、全身リンパ節腫脹で考える疾患は? 想起した疾患につき、アセスメント&プランを立 てる。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ③ 疾患を想起できない 疾患を想起できなければ、検証の流れも、 そのためのリソースも全く利用できない。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ③ 疾患を想起できない 疾患を想起できなければ、検証の流れも、 そのためのリソースも全く利用できない。 なぜ想起できないであろうか? Ⅰ:知識がない。 Ⅱ:情報が過多 Ⅲ:Rare disease 診断推論の流れ~立ち居地から~ ③ 疾患を想起できない Ⅰ:知識がない: 研修で学んでいきましょう Ⅱ:情報が過多 Ⅲ:Rare disease このCASE 主訴:倦怠感 ステロイドによる抑うつ疑い、 入院希望で入院となったPtです。 Key word 倦怠感というキーワードでは、鑑別の絞 込みができない。 各種問診を加えていくと、 立ち上がって歩いていると目の前が黒く なって、フワッとしてしまうことがあっ た。 →これをキーワードに上げた。 →presyncopeという医学用語に置き換えた。 syncope 林先生の失神3羽ガラス 起立性失神(脱水や貧血) 心血管性失神 神経性失神 +薬剤 Semantic qualifier 患者さんの発した言葉 ↓ 医学的に分類 ↓ より上位の概念に置き換え、普遍化 高齢者が急に右膝が腫れて痛い →acute monoarthritisとなる。 診断推論の流れ~立ち居地から~ ① Snap diagnosis ② 疾患を想起し、検証していく ③ 疾患を想起できない HR40台 ② 疾患を想起し、検証していく 例えば、徐脈と聞いて、考える疾患は? 今なら、頭を駆け巡らせることができます。 徐脈の鑑別 VF AED ON V F A E D O N VasoVagal reflex(VVR) Freezing AMI/Acidosis/Adam stokes Electrolite(特にK↑↓高Mg)/Endocrine Drug(ABCD) O2 Neurogenic shock 徐脈の鑑別 VF AED ON V F A E D O N VasoVagal reflex Freezing AMI/Acidosis/Adam stokes Electrolite(特にK↑↓高Mg)/Endocrine Drug(ABCD) O2 Neurogenic shock Presyncope 徐脈 この二つから考えていくと、 やはりcardiovascular genicな疾患を検討 まとめ 臨床推論を強くしていくプロセスを研修 医の間に習慣づけていくことは、とても 成長できるきっかけになると思います。 私自身もそういった上達の方法を学んで いって、沢山の方のお役に立てれば幸い です。
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