イントロダクション 政治地理学で何ができるか? 政治地理学の理論と方法論 第1週 政治地理学の起源と展開 Friedrich Ratzel (1844-1904) 近代人文地理学、政治地理学の創始者 「国家の空間拡大の諸法則」(1886) 国家が戦争を通して拡大していくことは自然の発 展傾向 国家の領域はその文化とともに広がり、膨張政策 の最大の成功は地理学の利用にかかる Politische Geographie (1897) 生存空間(Lebensraum)概念の導入 諸国家は可能な限り土地、資源を獲得しようとして 戦争を永遠に続ける=生存空間を求める闘争 19世紀の近代地理学の成立以来、地理学の 一分野を形成 20世紀帝国主義・戦争と不可分の関係 来週のテーマ 日本地政学の展開と挫折 来週のテーマ 戦後の政治地理学 戦勝国における展開 英米:60年代初頭まで下降、70年代から復興。80 年代以降本格的展開。 フランス:1976年にラコスト中心にHérodote創刊。 敗戦国における展開 日本:60年代まで活発、以後80年代まで停滞。90 年代から研究増加。 ドイツ:敗戦直後のゲオポリティーク復活の動きは 挫折。80年代以降地政学的研究増加。 (cf.フィンランド) 日本の場合(80年代まで) Yamazaki 1997(山崎1997)、山崎2001a 日本政治地理学会(1956-1971)の活動 地理教育への政治地理学の導入 行政村・市町村合併の研究 歴史地理学的・形態論的アプローチ 英語圏研究の断続的紹介 70~80年代の停滞 マルキストによる日本地政学批判 日本の場合(90年代以降) 冷戦構造の崩壊 新しい政治経済構造の形成 人文社会科学における新しい思想潮流 ポストモダニズム、ポスト構造主義、脱構築 社会・文化事象における政治性への着目 欧米アカデミア全般の「政治化」 英米地理学での変化を導入(後追い?) 批判社会理論と大阪市大スクール 政治地理学の現在 ‘P’と‘p’ 政府機関・公式の政治を扱う伝統的アプローチ 日常生活での権力関係を扱う新しいアプローチ 両者をどう接合するか 日本の人文地理学をめぐる状況 政治地理学的視座の未確立(権力をどうみるか) 体系的教育・訓練の不在 研究スケールの問題(ミクロ・スケールの絶対視) 政治(対立とその調停)の日常化、戦争の常態化 にどう対処するか
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