政治的選好の表明1/2 公共選択論における方法論的個人主義 社会運動とアイデンティティ・ポリティクス 政治地理学の理論と方法論 第9週 公共選択論とは 公共的意思(政策)決定過程で有権者、政党、官僚、 圧力団体などの主体がどのように行動するか、財 政・金融・通商・選挙などに関わる公共政策がこれ らの主体の間でどのように決まるかを経済学的に考 察する。 納税者であり公共財の消費者でもある住民は民主 主義メカニズム(投票・請願その他の政治行動)を 通して自らの選好(集合的選択)を表明し、政府・自 治体はその選好表明に応じて財の供給の最適化を 図る(山崎1999)。 理論的前提 資源の不足→競争 方法論的個人主義 自己利害の追求 個人の合理性 個人効用の最大化 空間経済モデルと共通 選択(需要)と政治(供給)のバランス ホテリングモデル 海岸のアイスクリーム売り→中位投票理論 ティボーモデル 「足による投票」、「退出」のメカニズム→自治 体経営の適正化 経験的・実証的妥当性 公共選択論への批判 仮説の諸前提の現実性 純粋理論→現実への接近 規範的意味の社会性 政治的消極性→積極的政治関与 方法論的個人主義 集合性・集合行為の理解につながるか? 集合行為論への展開 合理的個人は集合行為に参加するか? 合理的個人はフリーライダーとなるので、共 通の利益のために行動するよう強制その他 の方法が必要(Olson1965)。 経験的観察との乖離 利他的行動、個人的・集合的アイデンティティ の役割 コミュニティ→場所に根ざした運動 社会運動論の系譜 社会運動 社会構造上の矛盾やその他の原因によって 引き起こされる生活要件の不充足を解決する ためになされる、社会的状況を変革しようと する集合的活動(片桐1993) 社会運動の展開 古い社会運動(農民・労働運動)から新しい社 会運動(反戦・女性・環境運動など) 社会運動論の二つの潮流 社会運動の分析 社会的収奪やアノミーへの注目 社会運動組織の編成・活動 →資源動員論(北米、1970年代) 運動参加者のネットワーク・アイデンティティ →新しい社会運動論(西欧、1970年代) 資源動員論 社会運動組織の構成や活動に注目 財政的・人的資源の確保・動員 合理的選択論に立脚 参加者の合目的的行動を誘導(勧誘・参加) →フリーライダーを出さない選択的誘引 社会運動を生起させる 政治過程や政治機会構造の研究へ展開 新しい社会運動論 古い社会運動からの「相対的」区分 社会変革より「より民主的」な社会へ 個人の合理的選択とは異なった紐帯重視 →運動のネットワークにおけるアイデンティ ティや意味の共有 社会運動組織や政治過程から社会心理的側 面への注目 両論の補完性 地理学的アプローチ 都市社会運動 場所に根ざした運動(場所の政治) 地域差・地域性 アイデンティティ・ポリティクス
© Copyright 2024 ExpyDoc