ABO 血液型の割合 中川皓太 2015 年 1 月 7 日 概要 血液型占いや献血などで耳にする ABO 式血液型の割合について、様々な角度から考察する。 1 はじめに 例えば、血液型が A 型の人はこういう性格、B 型の人は今日は運がいい、などの血液型占いで使われる血液 型の分類を ABO 式血液型といい、日本人にとっては最もポピュラーな血液型分類法である。A、B、O、AB の 4 種類があるが、日本の場合、これらの人口比はだいたい A が 40 %、B が 20 %、O が 30 %、AB が 10 %の割合で安定している。しかし、なぜこの割合で安定しているのか考えたことはあるだろうか。その理由に ついて順を追って考えていく。 2 本論 2.1 ABO 式血液型の決定と遺伝 血液型の割合を考えるうえで、そもそも ABO 式血液型とはなにによって決定するのか少し触れておかなく てはならない。 ABO 式血液型は、人の第 9 番染色体にある複対立遺伝子により決定する。A、B、O の 3 種類の遺伝子型が あり、A と B とは O に対して優性に遺伝し、A と B との間には優性劣性の差異はない。この遺伝子型によっ て ABO 式血液型の表現型が決まる。それをまとめたのが下の表1。 表現型 遺伝子型 表1 A B O AB AA,AO BB,BO OO AB 表現型と遺伝子型の対応関係 そしてこれは親子間でメンデルの法則に従って遺伝する。(実際はごくわずかに亜型や稀血などの例外が存 在するが、今回は考えないものとする。)具体的にいうと、例えば両親の血液型の遺伝子型が AA と BO の場 合、子供の血液型の遺伝子型は AB である確率が 50 %、AO である確率が 50 %となり、両親が BB と OO の場合は 100 % BO となる。各々の遺伝子型の組み合わせでまとめたものが表2。 今回はこれらの事実を前提として考えることとする。また、以下特に断りがない限り「血液型」は ABO 血 液型を指す。 1 親の遺伝子型 AA AO BB BO AA AA100 % AO AA50 %,AO50 % AA50 %,AO50 % AB100 % AA25 %,AO50 % AB50 %,BO50 % OO25 % OO AB AB50 %,AO50 % AO100 % AA50 %,AB50 % AB25 %,AO25 % AO50 %,OO50 % AA25 %,AB25 % BO25 %,OO25 % AO25 %,BO25 % BB AB100 % AB50 %,BO50 % BB100 % BB50 %,BO50 % BO100 % BO AB50 %,AO50 % AB25 %,BO25 % BB50 %,BO50 % BB25 %,BO50 % BB50 %,BO50 % AO25 %,OO25 % OO25 % AB50 %,BB50 % AB25 %,BB25 % AO25 %,BO25 % OO AO100 % AO50 %,OO50 % BO100 % BB50 %,BO50 % OO100 % AO50 %,BO50 % AB AA50 %,AB50 % AA25 %,AO25 % AB50 %,BB50 % AB25 %,AO25 % AO50 %,BO50 % AA25 %,AB25 % AB25 %,BO25 % BB25 %,BO25 % 表2 BB25 % 親と子の遺伝子型の対応関係 2.2 ABO 血液型の遺伝子型の割合 はじめに書いた通り、日本の場合、A 型が 40 %、B 型が 20 %、O 型が 30 %、AB 型が 10 %でここ数十年 ずっと安定している。しかし、少し考えてみるとこれは不思議なことに思えてこないだろうか。B 型と O 型 を比較したとき、B 型は遺伝子型の組み合わせが BB と BO の 2 通りに対して O 型は必ず OO でなければな らない。単純に考えて 2 倍の違いがある。それにもかかわらず実際は O 型の方が多いのである。 この疑問はすぐに解決する。要するに O 型がかなり生まれやすい状況、具体的には、A 型の遺伝子型 AA と AO の 2 種類のうち AO の比率がかなり高いため、あるいは B 型の遺伝子型の中でも BO の比率が高いた め、O 型の比率が大きいまま維持されているのである。では、上述の割合で安定するには、具体的に遺伝子型 の割合はどうなるのか考える。 ここで仮に、日本人全体を 1 としたときに、血液型の遺伝子型が AA の割合を x(ただし 0 ≤ x ≤ 1)とす る。そして、各々の両親の遺伝子型の組み合わせから AA が生まれる確率をまとめたものが下の表3。ただし BB、BO、OO の親から AA が生まれることはないためそれらは割愛している。 AA AO AB AA 1 1 2 1 2 AO 1 2 1 4 1 4 AB 1 2 1 4 1 4 表3 AA が生まれる確率 次に、各々の遺伝子型の組み合わせがそれぞれどれだけの割合でできるか考える。ここで前提として、先ほ ど述べたとおり A 型の割合は 0.4、AB 型は 0.1 とし、結婚する組み合わせや、子供の人数等に、血液型によ る差は一切ないものとする。このとき、両親の組み合わせの割合はそれぞれの遺伝子型の割合を掛け合わせる と求まる。これらをまとめたものが表4である。これも表3同様関係のない遺伝子型 BB、BO、OO は省略 している。 2
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