ソーシャルワークの価値と倫理 ~国際ソーシャルワーカー連盟の議論を踏まえて~ Ⅰ、研究の着眼点 ・原理性 ・歴史性 ・構造と機能 ・文化 Ⅱ、ソーシャルワークの価値 Ⅲ、ソーシャルワーカーの倫理綱領 Ⅳ、社会福祉と人間福祉とソーシャルワーク Ⅵ、今後の課題 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 1 Ⅰ、研究の着眼点 原理性 歴史性 ソーシャルワークの哲学 ソーシャルワークの定義 国際的な人権規約 国際ソーシャルワーカー連盟(=IFSW) わが国のソーシャルワーク職能団体 構造と機能 ソーシャルワークの構造と機能(=システム) 2015/9/30 原則・基準・行動規範・ガイドライン 展開過程とアプローチ 文化 人間福祉学科 宮嶋 2 原理性 ソーシャルワークの哲学(価値)の明確化 人権(人間の尊厳) 社会正義 ソーシャルワークの定義(2000年7月) 定義における「価値・理論・実践」の明確化 国際的な人権規約の位置づけ 人類が共通に達成した基準を形成していると認識 2015/9/30 世界人権宣言など民主主義の成果 人間福祉学科 宮嶋 3 歴史性①~IFSWの場合 1976年~SWの拠り所を 人道主義と民主主義に求めた 1994年~SWの原則と倫理基準を区分 原則~基本的原則、問題の領域と解決方法 倫理基準~原則を曲げない行為とは何かを示す 2004年~SWの原理と倫理の整合性 原理(価値)~人権と社会正義 倫理~原理を曲げない行為は各国・地域で 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 4 歴史性②~日本の場合 第1期~SW職能団体の組織の基礎として倫理綱領の必要 性が認識される 第2期~社会福祉を取り巻く基盤が「措置」である、また社会 福祉士という資格制度ができることへの対応 第3期~21世紀「契約」によるサービスの利用という状況へ の対応 第4期(?)~地域が主体となり、人権と文化が重視される状 況への対応 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 5 歴史性③~日本の職能団体と倫理 日本医療社会事業協会(1961年) 日本ソーシャルワーカー協会(1986年) 1960年から規約上に「倫理綱領」が盛られるが・・・ 日本精神保健福祉士協会(1991年) 日本社会福祉士会(1993年) 2015/9/30 大阪の医療社会事業家が発案 日本ソーシャルワーカー協会と同じもの 四団体共通(2005年) 人間福祉学科 宮嶋 6 構造と機能①~各国 a b c d e Value 価値 ① Service(to humanity) 人間へのサービス(貢献) ○ ○ ○ ○ ○ ② Social justice 社会正義(公正) ○ ○ ○ ○ ○ ③ Dignity and worth of the person 人間の価値と尊厳 ○ ○ ○ ○ ○ ④ Importance of human relationships 人間関係の重要性 ○ ⑤ Integrity 誠実 ○ ○ ○ ○ ⑥ Competence 専門性 ○ ○ ○ ○ 備 考 :a、アメリカ(1996 年) b、オーストラリア(1999 年) c、イギリス(2002 年) d、IFSWの定義(2000 年) e、IFSW(2004 年) 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 7 IFSWの価値「人権と社会正義」 人 権: 社会正義: 2015/9/30 自己決定の尊重 参加の権利の保障 個々の人間を全体として捉える 差別への挑戦 多様性を認識する 資源の公正な分配 不正な政策や実践への挑戦 人間福祉学科 宮嶋 8 構造と機能②~日本の場合 価値の枠組み 2015/9/30 根本的価値~人権と社会正義 基本的人権 「自由」「平等」「共生・連帯」 世界人権宣言等7つの規約(議論が分かれて表示せず) 中核的価値~サービス(貢献) 手段的価値~誠実さと専門的力量 人間福祉学科 宮嶋 9 構造と機能③~日本の場合 SW実践との連動 利用者 システム 個人 または 集団 集団 組織 その他 ソーシャル ワーカー 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 10 SWと価値・倫理原則の構造 普遍的価値 中核的価値 価値:人権 価値:社会正義 利用者に対する倫理責任 社会に対する倫理責任 価値:貢 献 実践現場 手段的価値 価値:誠 実 価値:専門的力量 専門職 特別の役割 SWr 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 11 社会福祉と人間福祉とソーシャルワーク 社会福祉(Welfare) 行政措置という「公平」+対象論からの「平等」 制度の運用 人間福祉(Well-being) 福祉サービスの選択・利用の「自由」 自己実現 ソーシャルワーク 「人へのサービス体系」と「社会(環境)への貢献体系」の 同時性 2015/9/30 利用者のニーズに基づく「自由」の獲得 地域で福祉を構築する「共生・連帯」の構築 人間福祉学科 宮嶋 12 同時性を担保する思想 =コミュニタリアニズム 岡田藤太郎 (1995) 坂口 順治 (2000) 公哲学、対話の町づくり、ミニマムな社会的ルール づくり、嫌煙運動の成果、地縁・血縁から好縁へ、 グローカル・コミュニケーション、共通善 古川 孝順 (2003) 2015/9/30 A・エチオーニのコミュニタリアニズム、綱領の紹介 自立・共生社会、政治の自治体化、国政府を手段と して活用する自立社会への脱皮 人間福祉学科 宮嶋 13 IFSW倫理委員会の動き(2010) いくつかの地域から「人権と社会正義」に対する修 正提案を受付けた。 議論した結果、修正の必要なしと判断。 しかし、「文化と伝統」を適切に位置づける方法を確 立するための議論が維持されるべきである。 2015/9/30 ウガンダSW協会は自国の「反同性愛法」に賛成 人間福祉学科 宮嶋 14 ゴール SW実践が、IFSWの倫理原則や基準に基づいて行 われてることをめざす そのための戦略 2015/9/30 倫理に関する議論の結論とアジェンダを一致させる IFSWの倫理原則や基準に基づきSW実践が行われている のかを、国際規模で調査する そのためにIASSWやその他の団体と協働する 人間福祉学科 宮嶋 15 異なる文化との対話とソーシャルワーク コミュニティ○ 対 話 人 環境 共生・連帯 対 話 対 話 SWer 備考: コミュニタリアニズムを適用させた場合のソーシャルワークの基本形 2015/9/30 人間福祉学科 宮嶋 16
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