『社会人基礎力』について 経 済 産 業 省 産業人材参事官室 平 成 1 8 年 3 月 「社会人基礎力」とは? 職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力 基礎学力 社会人基礎力 専門知識 (読み、書き、算数、 基本ITスキル 等) (コミュニケーション、 実行力、積極性 等) (仕事に必要な知識や 資格 等) 人間性、基本的な生活習慣 (思いやり、公共心、倫理観、基礎的なマナー、身の周りのことを自分でしっかりとやる 等) ※それぞれの能力の育成については、小・中学校段階では基礎学力が重視され、高等 教育段階では専門知識が重視されるなど、成長段階に応じた対応が必要となる。 1 なぜ今「社会人基礎力」なのか? ○1990年代以降、ビジネス環境においては以下の変化が指摘されている。 ・国内市場の成熟化 ・IT化の進展 ・市場ニーズの多様化、商品サイクルの短期化 ・単純な作業の機械化 職場では、「新しい価値の創出」が重要な課題として意識されてきている ○このため、職場等では基礎学力や専門知識に加え、コミュニケーション能力、実行力、積極性など 「人との接触の中で仕事に取り組む能力」が必要。 ○一方、教育環境においては以下の変化が指摘されている。 ・家庭や地域社会の教育力が低下している ・大学にはより多様な若者が集まってきている ・大学進学率の上昇(「大学全入時代」の到来;2004年の大学進学率は49.9%) ・推薦入試、AO入試の増加(入試に占める割合;1997年32.1%→2004年47.3%) 教育と実社会の人材ニーズが乖離 2 取り組むべき課題 ○若者の能力のばらつきが拡大する中、以下の対応が求められる。 社会人基礎力の明確化 →職場や地域社会で求められる能力を明確化し、企業・若者・学校等の間で共通の 認識を作る(「共通言語化」)。 社会全体による新たな枠組みづくり →社会人基礎力を土台とした企業・若者・学校等の「つながり」の強化、育成と評価 に向けた一貫した枠組みの構築。 3 社会人基礎力の内容 3つの能力 / 12の能力要素 ○社会人基礎力について、大きく3つの能力に整理。 ○「分かりやすく」、「焦点を絞ったもの」とし、かつ「具体的なイメージがわくもの」とした。 社会人基礎力の3つの能力 前に踏み出す力(アクション) 考え抜く力(シンキング) ~一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力~ ~疑問を持ち、考え抜く力~ チームで働く力(チームワーク) ~多様な人とともに、目標に向けて協力する力~ 【参考1】2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏(株式会社島津製作所)は、日本 のチームワークの重要性について、以下のとおり述べている。 【参考2】ゴールドマン・サックス会長のH・ポールソン氏は、 日本の強みをチームワークであると指摘している。 「日本のエンジニアにこそ独創的な研究開発を行う下地がある」と感じている。その理由は、 独創性を支える「チームワーク」の存在であり、私自身の経験を含めて、日本の「ものづくり」 にはこの点で豊かな歴史と土壌があるからだ。チームワークを「仲良しクラブ」と履き違えな ければ、異分野間のチームワークから、今後の日本を支えるような独創的な発明や知的財 産が必ず生まれる。 (2005年4月発明シンポジウムでの発言) 「日本人が見過ごしている日本の強みは『チームワーク』だ。 競争力のある人を採用してもチームの一員として働くのは容易 ではない。日本を訪問するたびに私はチームワークの値打ちを 学ぶ。」 (日本経済新聞(2006年1月4日)インタビューでの発言) 4 12の能力要素 ○若者が、自らの能力の特徴や適性に「気付き」「成長」していくためには、社会人基礎力の3つの能 力要素について、その内容を個別に整理し、明確化することが有効。 前に踏み出す力(アクション) ~一歩前に踏み出し、失敗 しても粘り強く取り組む力~ 考え抜く力(シンキング) 主体性 ~疑問を持ち、考え抜く力~ 課題発見力 物事に進んで取り組む力 現状を分析し目的や課題を明らかにする力 働きかけ力 計画力 他人に働きかけ巻き込む力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力 実行力 創造力 目的を設定し確実に行動する力 チームで働く力(チームワーク) 新しい価値を生み出す力 ~多様な人々とともに、目標に向けて協力する力~ 発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力 傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力 柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力 情況把握力 規律性 ストレスコントロール力 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 社会のルールや人との約束を守る力 ストレスの発生源に対応する力 5 社会人基礎力:生涯を通じた成長 社会人基礎力が、継続的な育成・評価のための枠組みとして有効に活用されるためには、以下に 留意する必要がある。 ①育成・評価が可能な能力である ②自己の強みを伸ばしアピールするための土台である ③各成長段階を通じて一貫した育成が必要である ④学校教育の中で育成が可能である ⑤家庭・地域社会における取組が可能である 社会人基礎力の位置付け ○「社会人基礎力」は、各成長段階における育成・評価の指標として重要。 ○「社会人基礎力」の育成は、それぞれの段階を通じて継続的に実施していくことが必要。 中・高校卒業後 の就職 家 庭 ・ 地 域 社 会 小 ・ 中 ・ 高 等 学 校 段 階 大 学 ・ 大 学 院 段 階 就 職 ・ 採 用 段 階 組織・家庭・地域社会における 社会人基礎力の定着 就 職 後 の 段 階 職場での活動 家庭での役割 転 職 段 階 地域での活動 就職後も行き来が可能 (さらなる学び) 6 トピックス1.社会人基礎力と就職プロセス ①就職プロセスを巡る状況 3つの課題 ○企業が求める人材像が若者に上手く伝わっていない。 ○就職プロセスが早期化している。 ○「大手志向」が強まっている。 新卒採用プロセスの問題点(複数回答可) 74.8% 就職/採用活動時期の早期化 42.2% 34.0% 9.7% エントリー時点での選考(いわゆる足切り) 39.7% 15.0% 採用基準が明確でない 企業側の学生に対する情報収集不足 12.4% 1.5% 10% 文系男子 19.6% 35.0% 企業 40 34.0% 54.8% 文系女子 50 61.0% 51.0% 理系女子 41.8% 41.6% 43.5% 41.4% 44.0% 42.2% 39.3% 大学 36.0% 大学生 1.0% 0.0% 0.0% 0% % 理系男子 1.0% 5.7% 5.0% その他 60 49.0% 33.5% 22.8% 24.7% 採用プロセスが開示されない 60.3% ※大手企業志向 : (就職するなら)「ゼッタイ大手企業がよい」または 「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」と回答 21.4% 21.0% 企業側の学生に対する情報提供不足 無回答 88.7% 66.0% 就職/採用活動時期の長期化 大学生の「大手企業志向」比率の推移 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 企業N=206、大学N=194、大学生N=388 (出所)経済産業省「社会人基礎力に関する調査」(2005年) 33.2% 32.6% 100% 30 1996年 2000年 2005年 (出所)毎日コミュニケーションズ「2005年度大学生の就職意識調査」 7 トピックス1.社会人基礎力と就職プロセス ②「納得感のある就職プロセス」の構築に向けて 3つの方向性 ①企業と若者の双方の接触機会・期間を拡大する ②企業と若者の双方が社会人基礎力を土台としたコミュニケーションを実施 ③地域産業と若者・大学の「つながり」を強化する 【事例】採用活動の柔軟化 大手電機メーカーA社では、2006年度採用において、より 柔軟性の高い採用制度を実現するため、新たな採用制度 (「FLEX ENTRY」)を導入。 その柱はとしては、 ①採用シーズンのフレックス化(年4回に分けて採用を実施) ②入社時期のフレックス化(入社時期を最大2年後まで選択 できるようにする) ③学校推薦制の廃止 ④企業情報、採用情報の公開レベルの向上 ⑤採用プロセスにおいて本人の希望と事業部のマッチングを 行い、採用予定(内々定)と同時に配属先を通知する こととなっている。 【事例】新卒派遣等の新しい就職ルート 人材派遣会社B社では、新卒者を2年間企業に派遣し、その後、 本人及び企業が正社員となるかを決定する「新卒派遣」プログラム (「キャリアーラ」)を実施。2年間の派遣期間はA社の契約社員とし て雇用が保障されており、若者はその間に自分の適職を見定める ことができる。 【事例】地域の大学グループと産業界との連携による 就職サポート 東京都多摩地区の産官学連携組織、学術・文化・産業ネットワーク 多摩は、若年既卒者向けに職業紹介や研修を実施。 同組織に加盟する42大学・短大の卒業生や加盟11自治体に住む 若者が原則、無料で利用できる。求人情報は加盟する29の企業・団 体を中心に集め、卒業後も学生が地元にとどまることで多摩地区の 地域活性化にも繋がっている。 8 ( 参考 1 ) ジョブカフェ・モデル事業の推進 【18年度予算案: 52.5億円(17年度予算額 : 52.5億円)】 ○ 地域の実情に合った、若者の能力向上及び就業促進を図るため、雇用関連サービスを1か所で まとめて受けられるワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)を設置。 ○ 平成16年度から、ジョブカフェ・モデル事業を、全国15地域で開始。17年度に新たに5地域(宮城、 新潟、茨城、福井、大分)を追加。 (注) 実績(平成18年1月末時点):サービス利用者数 138万人、就職者数 7.5万人 厚生労働省 ○ 若年者地域連携事業の委託 ○ ハローワークの併設 等 支 援 都道府県 経済産業省 設置・企画・運営 ○ 地域産業活性化人材育成事業の委託 支 援 ワンストップサービスセンター サービス例 情 適適 報 職性 フリーター 提 診判 若年失業者 供 断断 学生・生徒 カ ウ ン セ リ ン グ カ リ キ ュ ラ ム 作 成 研 修 ( イ職 ン タ ー場 ン シ体 ッ プ 等験 ) 職 業 就 職 紹 介 民間の積極的な活用、産業界・教育界との連携 9 ジョブカフェモデル地域の状況 新潟 沖縄 民間活用の先駆け。 全国の先進事例とし て更なる発展を期待 島根 地元産業への定着 のため、各層別にき め細かくカウンセリ ング等を実施 福井 県内9箇所にミニジョ ブカフェを作り、就業 促進、人材育成を実 施 地元産業界と専門 学校の連携により、 震災復興と企業誘 致を展開 県内の大学を支所と して位置づける等、教 育機関と積極的に連 携 長崎 主要産業毎にネットワー クを形成し、基礎人材か らコア人材までレベルに 分けてプログラムを開発 インターネット・カウン セリング等により、道 内全域を網羅 産業界と連携し仮 想OJT等により、 モノ作り産業を復 興 産業毎に就職目標人 数を設定、地域産業界 と密接に連携 地元IT企業等と連携 する雇用型インター ンシップを実施 群馬 大阪 優良な人材育成型企 業による就業促進、 地元製造業の競争力 強化 求人開拓のため、県 職員を総動員し企業 訪問を実施 宮城 産学公の連携によ り既存のネットワー クを総動員 大分 青森 岩手 福岡 情報関連、観光産業 等主要産業毎に産学 官で連携し、アジアビジ ネスのための人材育成 に特化 北海道 石川 京都 山口 ( 参考 1 ) (16年度選定地域:黒塗り17年度選定地域:斜線) 若年失業者全国最多。 中小企業の経営革新 に資する人材を輩出 愛媛 商店街や若者NPO と連携し、地域一体 となって運営 NPO運営で「若年者 による若年者のための ジョブカフェ」を展開 茨城 地元企業のニーズを 踏まえたプログラム の受講者が就職に直 結するシステムを作 る 千葉 岐阜 各支所ごとに、地 域の産業ニーズに 対応したきめ細か なサービスを提供 アミューズメント等特定分 野で大学を支所として 活用し、職場体験等を 実施 10 トピックス2.産業界・企業に望まれる取組 ①「社会人基礎力」の枠組みを活用した「求める人材像」の情報発信 ②採用から入社後の人材育成までの「つながり」の強化 ③社会人基礎力育成に向けたインターンシップの活性化 ④採用段階での幅広い対応の検討 大手コーヒーチェーンA社における「求める人材像」 フレーム A社の場合 具体的な仕事のシーン 前に踏み出す力 お客様が心から満足する お客様が満足するためには自分なら何ができるか サービスを提供することを常 を常に考え、失敗を恐れずに実行する。 に考えて実行する。 考え抜く力 常に最高のコーヒーを提供し ようと努力し、さまざまな多様 性を受け入れて成長してい く。 1杯1杯のコーヒーをよりおいしくするために、お客 様により満足してもらうために、A社がよりよい企 業になるためにあらゆることを受け入れていく前向 きな考え方をもつ。 チームで働く力 社員同士がそれぞれ敬意を 1杯のコーヒーを入れるためにカウンターのチーム 持って接し、働きやすい環境 皆が声を掛け合い、自分自身の役割をきちんと果 を作っていくこと。 たしていくリズムとワークスタイルをキープする。 【事例】大手情報通信会社B社における採用と 入社後の人材育成の接続 採用時 採用時に求める人材像として、 「自らの考えを的確に発信できる」、「主体的に 動き出す」、「変化を察知し俊敏に対応する」、 等の項目について情報発信。 入社後の人材育成 入社後の教育プログラムにおいて、上記の項目 をベースにしたコア能力として 1.考える力 2.聴く力 3.伝える・表す力 4.動かす力(推進力、人間力、価値共有) 5.育てる力 といった項目別に学習プログラム を用意され、社員が自発的にキャリアアップをは かれる体制を確保。 11 トピックス3.若者に望まれる取組 ①社会人基礎力を活かした自己分析や自己アピールの実施 ②様々な「体験」への積極的な参加(インターンシップ等) 【事例】新しいスタイルのインターンシップ「3日間カバン持ち体験」 【概要】 八王子市及び八王子市商工会議所が主催する「首都圏情報産業 特区・八王子」構想推進協議会(サイバーシルクロード八王子)では、 八王子地域に多数の大学が集積していることに着目し、2005年より 大学生が中小企業の経営者の「カバン持ち」を3日間にわたり経験 する、という新しいスタイルのインターンシップを実施。 【特色】 「カバン持ち体験」は、学生が企業の経営者の第一線での活躍を 体験できるとともに、インターンシップ生の受入のために専属の人員 を割けない中小企業にとっても、効率的な手法となっている。また、 学生がインターンシップ後に、研修報告書を本協議会のWEB上の サイトに掲載することにより、地域の中小企業の魅力発信にもつな がっている。 12 トピックス4.教育機関に望まれる取組 ①大学の正課の授業の充実 ②インターンシップやプロジェクト型授業など産学連携の促進 ③地域産業と密接に連携した効果的な就職サポートの実施 ④小・中・高等学校における社会人基礎力の育成を視野に入れた教育の実施 【事例1】産学連携によるプロジェクト型授業の展開 慶應義塾大学SFC研究所IDビジネス・社会モデルラボ(慶應義塾 大学湘南藤沢キャンパス)では、各種のテーマについて、産学連携 研究と教育を融合させ、実際に企業内で取り組んでいる課題の解決 を目指すという「プロジェクト型授業」を実施(例:「ICタグを用いた顧 客マーケティングの改善戦略」等)。 委託元である企業の関係者と、受託者である大学の教員・学生が チームを組んで1年間にわたり課題の解決に向けた検討を行い、取 りまとめられた対応策については、企業側に対して説明がなされ、 企業側から評価が実施される。 また、こうしたプロジェクト型授業を実施した際の教育効果の測定 にあたっては、独自の評価手法を活用して学生の能力を測定し、若 者の「気付き」や自己評価を促すとともに、その教育プログラムの効 果を検証する取組を実施。 企業・経済団体 基礎力による 共通評価手法 プロジェクトへの参画 インターンシップの受入れ (試験) 教育 大学 プロジェクト 型プログラム 計画・実施・評価 学生 (出典)第5回「社会人基礎力に関する研究会」梅嶋委員資料を基に作成 13 トピックス4.教育機関に望まれる取組 【事例2】効果的なインターンシップの例 【概要】 武蔵野大学では、高知大学との共同事業により、学生だけのバーチャルカンパニー(「SPARKLE」)を設立。 学生が自ら企画・運営・実施・検証することを通じて、実社会で働く上で必要とされる基礎的な能力を育成する取組を実施。 【特色】 学生は会社運営を体験することを通じて、企業活動の流れや会社組織の仕組みを理解することができるなど、通常の参加 型のインターンシップでは得られない貴重な経験を得ることができる。 また、インターンシップの効果測定を実施することで、学生の能力向上についてアセスメントの充実を図る。 平成16年度 夏期インターンシップ前後の適性検査の結果比較 イ ン 80% タ ー ン 70% シ の ッ 60% プ 比 後 率 に 50% 上 昇 40% し た 学 30% 生 SPARKLE (19名) 体験型 (82名) ※インターンシップ参加学生に、 平成16年4月と9月に適性検査 を実施し、その変化を分析 (資料提供)武蔵野大学 意 欲 ス ト レ ス 適 応 力 自 己 統 制 力 説 得 力 共 感 力 協 調 性 指 導 性 自 主 性 創 造 的 態 度 現 実 的 態 度 国 際 性 コ ン ピ ュ ー タ 対 人 積 極 性 「 社会的強み」 の項目 14 トピックス5.家庭・地域社会に望まれる取組 ○家庭 →子ども達への語りかけや、学校や地域社会の活動への参加 ○地域社会 ①地方自治体 →社会人基礎力育成のメッセージを明確化、地域の関係者の連携を促進 ②地域産業界、労働界、教育界 →密接な連携による若手人材の育成・確保の枠組みの創出 ③NPO等の民間団体 →教育とビジネスの両方のノウハウを有するNPO等による関係各者のコーディネート 【事例】地域での連携による社会人基礎力の育成の例 【概要】 山形県立米沢工業高等学校では、地域のものづくり企業を担う新規人材の確保を狙いとして、米沢ビジネスネットワークオ フィス(地域の産業界、行政、学校、金融機関、労働組合等が連携する地域活性化を目的とした組織)と連携した授業づくりを 実施 。 【特色】 校内に、ITに特化した専攻科を設置し、インターンシップの長期化や在学中からの共同研究の実施を通じて職場で求められ る能力の育成に取り組むなど、地域の産業界で即戦力として活躍できるよう実践的な教育を実施。 15 ( 参考 2 ) 小中高校におけるキャリア教育の推進 【18年度予算案: 4.4億円(17年度予算額 : 3.4億円)】 ○ NPO・企業等の民間主体の経験やアイデアを活用し、モノ作り等の働くことの面白さを体系的に 体験・理解できるようにするため、「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」を推進。 ○ 平成17年度、25件のモデル事業を採択。約200校、約3万人の生徒を対象に実施。 <経済産業省モデル事業の実施体制図> 地元産業界 協力 (講師派遣、生徒受入、 体験現場の提供など) 経済産業省 公募・選定・委託 民間コーディネーター (NPO・民間企業等) プログラム実施 実 施 校 (小学校、中学校、高校を対象) 連携 連携 文部科学省 (実施校や授業時間の 確保など) 地域の教育委員会、 PTA、自治体など 16 地域自律・民間活用型キャリア教育事業の推進 【中国】 中国】 ○㈱中国電力:(広島県広島市) ○㈱中国電力:(広島県広島市) 中学対象。疑似TV会社を設立し、5分間の地場産業を紹介 する番組制作を体験するために、取材、企画・撮影を行い、 全校生徒、保護者、企業の前で発表する。 ○㈱ウィル・シード:(広島県三次市) 小中対象。市内全小(29校)を対象に、自分の興味、職業の 理解を促す、職業体験型シュミレーション型ゲームを実施。既 存特区で実施している少人数授業とあわせて意欲の向上に よる学習向上も図る。 【九州】 九州】 ○NPO男女・子育て環境改善研究所:(福岡県福岡市) NPO男女・子育て環境改善研究所:(福岡県福岡市) 中高対象。福岡の産業が集積する「キャナルシティ」を題材に 関心のある職業に取材を行う。取材をもとに、原稿校正・編集 を行い、ガイドブックを作成する。民間校長で有名な杉並区立 和田中学校の藤原和博氏をアドバイザーとして招聘。 ○レベルアップ㈱ レベルアップ㈱:(福岡県飯塚市) 小中対象。飯塚市から生まれた菓子メーカー(ひよ子、千鳥屋 など)の協力のもと、菓子作りにかかる商品コンセプトを考え、 実際に作成する。また、包装紙などをITを活用し作成し、菓子 メーカーにプレゼンし、商店街のイベントに出店する。 ○NPO鳳雛塾:(佐賀県佐賀市) NPO鳳雛塾:(佐賀県佐賀市) 小中高対象。外部講師(商店主、銀行員など)に商売に関す る講演をしてもらう。商店街へのアンケート、MBAのケースメ ソッドなども使い事業計画の作成を実施した上で、模擬出店を 体験する。 【東北】 東北】 ○NPO 未来図書館:(岩手県盛岡市など) 小中高対象。マーケティングに基づいた市場動向分析、広告戦略 の意義を学び、協力企業や商品について調査し、実際にCM作成 を行う。県内大学生がサポーターとして全面協力。 ○”ひと” ひと”と”くらし” くらし”と”まち” まち”大館ネットワーク:(秋田県大館市) 小中対象。特産の「きりたんぽ」や新産業として期待される「木素 材」を通し、事業計画立てから加工・販売を経験し、販売終了後の 収支決算までを経験する。 ○ハリウコミュニケーションズ㈱ ハリウコミュニケーションズ㈱:(宮城県仙台市) 小学生対象。ホームレス問題から社会、仕事、自立の意味を考え、 世界的に有名な㈲ビッグイシューの協力も得て仕事展示会、企業 訪問などを通し、その会社のPRを兼ねた「地域仕事マップ」を作成 する。 【四国】 四国】 ○NPOベンチャー・アライアンス協会:(愛媛県大洲市) 小中対象。会社の設立を目的に企業訪問などを通して、事業 計画(資金、商品、販売、リスク分析など)を立て、企業などの前 でプレゼンテーションを実施していく。 【沖縄】 沖縄】 ○㈲オーシャントウェンティーワン:(那覇市) ○㈲オーシャントウェンティーワン:(那覇市) 小学生対象。伝統工芸品の歴史背景から、原材料の調達、デザイン開発、 マーケティングまでの一連の流れを学ぶ。さらに、実際に工芸品を制作し、 お土産屋さんでの販売まで体験する ○NPO 金融知力普及協会:(名護市) 小中高対象。国内唯一の「金融特区」を活かし、「お金」の役割と必 要性を理解しつつキャリア教育を実施。経済環境の変化によっては、 仕事を始めライフプランを変更せざる負えないことを理解し、対応方 法等を検討する。 【近畿】 近畿】 ○NPO Jaee、大阪商工会議所:(大阪府大阪市) aee、大阪商工会議所:(大阪府大阪市) 小中対象。阪急電鉄、三洋電機などの協力の下、新しいデパートや家電 を作るといったテーマに企画の提案を行う。最終的に「自分が、この職に就 くとしたら」という想定で、ライフプランを立てる。 ○NPO 南大阪地域大学コンソーシアム:(大阪府堺市) 小中対象。提案団体は、地域の20大学が参加するNPOで、地域の大学 生も全面的に協力する。堺市が全国トップシェアを占める自転車産業を題 材に関連企業(シマノなど)の協力の下、新商品の開発というテーマで企 画書を作成し、協力企業にプレゼンを行う。 ○㈱キャリアリンク:(兵庫県尼崎・西宮市) ○㈱キャリアリンク:(兵庫県尼崎・西宮市) 高校生対象。国際都市「兵庫」として、ネスレジャパン、P&G等の協力のも と、同社のイメージを高めるというミッションを得てCMの企画提案する。波 及のため、実施校以外へのキャリア教育実態調査や、教員研修プログラム も作成する。 ( 参考 2 ) 【北海道】 北海道】 ○キャリアバンク㈱ キャリアバンク㈱:(札幌市) 小中高対象。北海道を代表する観光、食品などのサー ビス産業が集積する「札幌ドーム」を題材に、協力企業 からの課題に沿った企画書の作成等を実施する。 ○NPO 北海道職人義塾大学校:(小樽市) 小中高対象。小樽の資源である鉄道、運河などの歴史 遺産やガラス工芸などのものづくり現場を活用し、職人 自らが企画・立案から販売までのビジネス能力を教える。 【関東】 関東】 ○㈱ソシオエンジン・アソシエイツ:(東京都渋谷・杉並・荒川区) ○㈱ソシオエンジン・アソシエイツ:(東京都渋谷・杉並・荒川区) 中学生対象。新聞記者、雑誌編集者などから取材方法やタイトル付けなどを学び、 実際にネタを探し取材し、一冊のフリーペーパーを作成。東京都の「東京都地域教 育プラットフォーム」も活用し、都全体への波及を目指す。 ○NPO 三鷹ネットワーク大学推進機構(東京都三鷹市) 小中対象。宮崎駿プロデュースのスタジオジブリなどのアニメ関連産業の協力を得て、 アニメ・コンテンツにおける産業化戦略(マーケティング、広告、資金調達など)を学び、 実際にアニメを作成する。上映の機会として市主催の『三鷹の森アニメフェスタ』との 共催を図る。 ○NPO キーパーソン21:(神奈川県川崎市) 伝統的な産業集積地である川崎市の企業の協力の下、現場で活躍する社会人が、 仕事内容や面白みを講演し、さらに生徒自身が主体的に考える。「自分を知る」「世 の中を知る」「自立を考える」きっかけ作りとするワークショップを実施。東大玄田有史 氏による教育効果測定を行い、プログラムの進展を図る。 ○NPO 企業教育研究会:(千葉県東葛、京葉、幕張、成田地域) 小中高対象。千葉県内各地に存在するシャープ、キッコーマン、JAL、NECなどの協 力の下、これまで千葉大学教育学部で実践してきた企業教育のノウハウをフルに活 用し、各企業の専門分野を活かしたキャリア教育を実施する。 ○㈲つくばインキュベーションラボ:(茨城県つくば市) ○㈲つくばインキュベーションラボ:(茨城県つくば市) 小中高対象。研究学園都市として、宇宙飛行士やロボット研究者などの「おしごと先 生」に対するインタビューや職場体験を通じて、小中高を通じた自らの「キャリアパス ポート」を作成する。家族もキャリアパスポートに記入するなど、学校以外を含めた地 域全体をあげた取組を実施。 ○エプソンインテリジェンス㈱ エプソンインテリジェンス㈱:(長野県諏訪市) 小中対象。市内全小中学校全生徒に対し、地元精密機械業者の協力の下、家族を ユーザーに制作計画を立て実際に制作する。『諏訪圏工業メッセ』においてプレゼン を行い、販売までを経験する。 【中部】 中部】 ○瀬戸商工会議所:(愛知県瀬戸市) 小中対象。焼き物のまち「瀬戸」を前面に押し出して、ものづくりの実体験と多くの社 会人などとの交流を通した「体験と交流」によるキャリア教育を実施する。文部科学省 のキャリア教育事業と同じ学校で実施を図り、相乗効果を図る。 ○羽島商工会議所:(岐阜県羽島市) 小中高対象。市内全小中高の全生徒を対象。産業人から話を聞いたり、工場見学な どを通じ、ロボットの設計製作・制御を通じ、ロボットやITなどの地域ものづくり産業の 担い手を養成する。 ○富山県経営者協会:(富山県富山市) 小学生対象。富山発祥の売薬の歴史などを学習、製薬会社などを訪問する。実際の 会社組織に倣い分業し、癒し系グッズの製造を通じ、商品開発から製作、販売まで実 施する。 17 トピックス6.政府による取組の方向 ○個人が能力を十分に発揮できる社会を目指し、社会人基礎力の育成に関する社会全体 の幅広い関係者への働きかけを行う。 “3つのアクション” 【Action1】 産業界・教育界・若者等の関係者によるネットワークの構築 ①業種ごとに重視される社会人基礎力の要素等についての調査の実施 ②社会人基礎力の普及や育成の在り方等に関するシンポジウムの開催 【Action2】 大学等における産学連携の推進 ①プロジェクト型授業の導入等による大学の「教育力」の強化 ②社会人基礎力の育成を重視したインターンシップやキャリア教育の実施 【Action3】 地域産業と大学等の連携強化(local to local) ①中小企業と大学等との連携の強化 ②地域の大学ネットワークと地域産業との連携の推進 18 ( 参考 3 ) 関連資料 新製品開発の短サイクル化 これからほしいタイプの人材像(経営者回答) 18 キーワード 創造力、新しい発想・アイデア、独創性、価値創造 実業変革・再構築力 実行力、行動力、業務遂行能力 自立的行動、自己責任能力 チャレンジ精神、失敗を恐れない 課題設定力、問題発見能力 前向きさ、積極性、やる気 戦略思考 グローバル感覚、国際感覚 高度な専門性 リーダーシップ 起業家・事業家的マインド 経営者感覚 営業力 仕事のプロフェッショナル(社外でもその分野で適用する) 状況対応能力 利益の得られる期間 16 市場に導入されるまで 14 研究開発期間 12 10 10.2 8 6.5 6 4 2 1.5 1.2 3.2 0.9 3.9 3.4 2.6 1970~1979年 1980~1989年 1990年~ 0 (資料)(社)日本能率協会「競争優位をめざす人材戦略」 に関する経営者アンケート結果 (2002年2月) (出典)科学技術庁科学技術政策研究所「研究開発関連政策が及ぼす 経済効果の定量的評価方法に関する調査」 (1999年) 大学生の「社会的強み」の変化 家庭の教育力が低下していると思うか (一般都民のアンケート回答) 50 49 そうは思わない 2.5% 無回答 どちらかというと そうは思わない 46.7 45.8 46.1 46.3 指 導 性 自 主 性 45.8 45.2 45 44 そう思う 19.6% 46.5 46.3 46 7.7% どちらとも 言えない 49.1 48.1 偏 48 差 差 47 2.3% 回答数 33 25 16 14 13 12 11 9 9 9 8 7 7 6 5 5 32.2% どちらかというと そう思う 67.9%が 「低下している」 と回答 35.7% (出所)東京都の教育に関する都民意識調査(2003年6月) (備考)調査期間は、2003年3月3日~3月28日。東京都に居住する保護者 や一般都民、企業など3,335人・社から有効回答。 43 42 意 欲 ス ト レ ス 耐 性 適 応 力 自 己 統 制 力 説 得 力 共 感 力 協 調 性 創 造 的 態 度 (注1)対象者:1997年度受検者:大学1年生 1636人(大学1年生用適性検査「自己発見レポート」開発時の母集団) 2005年度受検者:大学1年生60997人(大学1年生用適性検査「自己発見レポート」2005年3月~2005年7月受検者) (注2)検査項目:同一の適性検査項目を実施 (注3)比較方法:各項目における2005年度の平均点を、1997年の母集団における平均点と標準偏差を元に偏差値化。 資料提供:㈱ベネッセコーポレーション大学事業部 19 ( 参考 4 ) 「社会人基礎力に関する研究会」プレスリリース 経済産業省では、我が国の経済活動等を担う産業人材の確保・育成の観点から、職 場等で求められる能力(「社会人基礎力」)の明確化、産学連携による育成・評価のあり 方等について、平成17年7月から経済産業政策局長の私的研究会として「社会人基礎 力に関する研究会」(座長:諏訪康雄法政大学大学院教授)を開催し、検討を進めて参 りました。 本研究会は平成18年1月を一つの区切りとし、「中間取りまとめ」を行いましたので、 ご報告いたします。 ホームページ http://www.meti.go.jp/press/20060208001/20060208001.html (>>経済産業省ホーム>>経済・事業環境整備ホーム>>その他関連情報>>報道発表) ◆掲載資料 ・社会人基礎力に関する研究会「中間取りまとめ」報告書 ・社会人基礎力に関する研究会「中間取りまとめ」報告書(概要版) <問い合わせ先> 経済産業省経済産業政策局 産業人材参事官室 担当者:能村(のうむら)、巽(たつみ) TEL 03-3501-2259 FAX 03-3501-0382 20
© Copyright 2024 ExpyDoc