宿題1の解答

平成 27 年 5 月 7 日
公共経済分析 I
第1回宿題
5 月 28 日(木)の講義中に回収
問 1(15 点各 5 点)
:ある財貨市場xにおける消費者の限界便益(効用・ニーズ)と生産に
係る限界費用が下記のように与えられているとする。
(1.1)
MB = α − βx
MC = γx
ただし、α、β、γは外生的に与えられたパラメータとする。
(1) x財に係る社会的余剰(=便益マイナス費用)を最大にしているxの水準を求めよ
x 財の価格をpとおく。市場の需要関数、供給関数を求めよ
(2) 市場均衡(部分均衡)を導出せよ。xの均衡水準を(1)の解と比較せよ
(3) 市場で実現する「消費者余剰」、
「生産者余剰」を計算せよ。
解答:
MB = α − βx = γx = MC ⇒ x * =
(1)
(2)
MB = α − β x = p ⇒ D( p ) =
MC = γx = p ⇒ S ( p ) =
(3)
(4)
D( p) =
α
β +γ
α−p
β
p
γ
α − pe pe
αγ
=
= S ( p) ⇒ p e =
,
β
γ
β +γ
xe =
1 e
1 α 
αγ
e
消費者余剰= x × α − p =
 α −
2
2 β +γ 
β +γ
(
)
1 e
γ α
e
生産者余剰= x × p = 
2
2β +γ



α
β +γ
 β α
 = 
 2 β +γ



2
2
問 2(10 点各 5 点)
:問 1 の(1.1)式にある財貨xに対する消費者の限界便益と生産者の
限界費用を想定する。このx財の消費に伴い次のような「限界的外部コスト」が生じてい
1
るとする
(2.1)
MEC = φ
(>0)
(1) 社会的余剰を最大化する効率的なx財の生産量と最大化された社会的余剰を計算せ
。
よ(ヒント:社会的限界費用= PMC + MEC )
(2) 外部コストがあるときの効率性のロスを計算せよ
解答
α − βx ** = γx ** + φ ⇒ x ** =
(1)
α −φ
β +γ

1 e
1
φ2

( x − x ** )φ = 
2
2  β + γ + µ 
(2)
問 3(10 点各 5 点)
:問1の(1.1)式にある財貨xに対する消費者の限界便益と生産者の
限界費用を想定する。このx財の消費に伴い次のような「限界的外部コスト」が生じてい
るとする:
(3.1)
MEC = φ + µx
(>0)
(1) 社会的余剰を最大化する効率的なx財の生産量と最大化された社会的余剰を計算せ
。
よ(ヒント:社会的限界費用= PMC + MEC )
(2) 外部コストがあるときの効率性のロスを計算せよ
解答
(1)
(2)
α − βx ** = γx ** + (φ + µx * ) ⇒ x ** =
α −φ
β +γ + µ
1 e
1 α
α − φ 
αµ
 φ +
−
( x − x ** )(φ + µx e ) = 
2
2  β + γ β + γ + µ 
β +γ



問 4(15 点各 5 点)
:ある財貨市場xにおける私的限界便益と私的限界費用が下記のように
与えられているとする。
(4.1)
PMB = α − βx
PMC = γx
ただし、α、β、γは外生的に与えられた正のパラメータとする。このx財の消費に伴い
2
次のような「限界的外部コスト」が生じているとする:
(4.2)
MEC = φ
(>0)
(1)
(4.2)式で与えられた外部費用を内部化するよう政府は「ピグー税」を課すとする。
効率的な資源配分を実現するために必要な税率(財一単位あたり)を求めよ
(2)ピグー税を課した後の消費者余剰、生産者余剰、外部コスト、政府の税収の変化額
を求めよ。
(3)パレート改善が必要な所得補償額を説明せよ
解答:
(1) t = φ (財一単位あたりの税額)
(2)
消費者余剰の変化= −
=−
生産者余剰の変化= −
=−
1
β
α − βx ** − α − βx e × ( x ** + x e ) = − ( x e − x ** )( x e + x ** )
2
2
(
(
φ
β
2 (β + γ ) 2
(
))
(2α − φ )
)
1
γ x e − x ** × ( x ** + x e )
2
φ
γ
2 (β + γ ) 2
政府税収の変化= tx ** =
φ
(β + γ )
(2α − φ )
(α − φ )
 α
α −φ 
φ2
 = −
−
β +γ
β +γ β +γ 
外部コストの変化= − φ ( x e − x ** ) = −φ 
問 5(15 点各 5 点)
:ある共有地(例:漁場)について考える。その共有地を利用する人数
(投入される労働量)を N, 産出量(例:漁獲高)を Y とする。アウトプットの価格は1
に基準化しておく。利用者各々の利得は Y/N に等しい。この経済全体の労働量は N で与え
られる。
(5.1)
Y = AN α
(A>0, 0<α<1)
共有地に代えて市場で労働を提供したときの賃金率=労働の生産性は W で一定と仮定する。
(1) 共有地と市場との間で労働配分を効率的にする利用人数 N * を求めよ。
(2) 個人が自由に共有地に入れるときに実現する均衡利用人数 N e を求めよ。
(3) N * と N e を比較せよ。
3
解答:
(1)
(2)
d
 αA 
Y = αAN α −1 = W ⇒ N * = 

dN
W 
Y
 A
= AN α −1 = W ⇒ N e =  
N
W 
 A
Ne = 
W 
(3)
1 /(1−α )
 αA 
> N* = 

W 
1 /(1−α )
1 /(1−α )
1 /(1−α )
問 6(20 点各 5 点)
:二人の消費者 A,B が私的財yと公共財 X を消費しているとする。各
消費者の効用関数は次のように与えられているとしよう:
(6.1)
(6.2)
U A = X + α ln y A
U B = X + β ln y B
j
各消費者の所得は I (j=A,B)で与えられている。公共財供給の限界費用はcで一定と
しよう。各消費者の公共財への拠出(自発的生産)を x j とすれば、その予算制約式は
(6.3)
cx j + y j = I j
(j=A,B)
に等しい。ただし、 X = x A + x B 。
(1) 個人 B の拠出 x B を与件としたときに個人 A が選択する拠出量 x *A を求めよ。
(2) 個人 A の拠出 x A を与件としたときに個人 B が選択する拠出量 x B* を求めよ。
(3) この公共財供給ゲームの非協力(ナッシュ)均衡における公共財供給量 X と各消費
者の拠出 x j を求めよ。ただし、どちらの消費者もプラスの拠出をする「内点解」を
仮定しても構わない。
(4) 仮に個人 A から個人 B に一定額(1 万円)の所得移転を行ったとき、各個人の公共
財の拠出 x j はどれくらい変わるか、公共財供給量 X の変化について述べよ。
解答:
(1)
1 α
α
IA
A
*
*
=
= A
⇒
I
−
cx
=
c
α
⇒
x
=
−α
A
A
c y A I − cx *A
c
4
1 β
IB
β
*
*
B
(2) =
=
⇒ I − cx B = cβ ⇒ x B =
−β
c y B I B − cx B*
c
(3) 均衡量= x *A + x *B =
(4)
∆x *A =
− ∆I
;
c
IA +IB
− (α + β )
c
∆x B* =
∆I
;
c
∆X = ∆x *A + ∆x B* = 0
問 7(15 点各 5 点)
:
「混雑現象」を伴う次のような準公共財 X が供給されているとする。
個人は皆同じ効用関数、所得 I を有していると仮定しよう。個人の効用関数は
(7.1)
U = α ln X + y
で与えられる。一人当たり均等に公共財費用を負担するとすれば、予算制約式は
(7.2)
C( X , N ) / N + y = I
ただし、準公共財の供給費用は
(7.3)
C ( X , N ) = cX α N β + F
F > 0 c, z > 0, β > 1
N は消費者(利用者数)である。
(1) 所定の N に対して「効率的」な公共財の水準を求めよ。
(2) 所定の X に対して「効率的」な利用者数(クラブ規模)を求めよ
(3) 効率的な X 及び N の水準を算出せよ
解答:
(1)
Max{ X }U = α ln X + I −
⇒
α
1
(cX α N β + F )
N
= cαX α −1 N β −1
X
 1 
⇒ X =  β −1 
 cN 
1/ α
*
(2)
5
Max{ N }U = α ln X + I −
⇒
1
(cX α N β + F )
N
F
= ( β − 1)cX α N β − 2
2
N


F

⇒ N = 
α 
 ( β − 1)cX 
1/ β
*
(3)
X
α
 1 
=  β −1  =
 cN 
1  ( β − 1)cX α

c 
F



( β −1) / β
c1−1 / β  β − 1 
=


c  F 
( β −1) / β
X α (1−1 / β )
⇒
X
α /β
1  β −1
= 1/ β 

c  F 
( β −1) / β
⇒
1
X = 
c 
*
1/ α
 β −1


 F 
 F 

N = 
 ( β − 1)c 
*
1/ β
( β −1) / α
(X )
* −α / β
 F 

= 
 ( β − 1)c 
6
1/ β
c
1/ β
 F 


 β −1
( β −1) / β
=
F
β −1