セロトニン作動性神経は レボドパ誘発性ジスキネジアの発現

セロトニン作動性神経は
レボドパ誘発性ジスキネジアの発現とは無関係
By Eleanor McDermid, Senior medwireNews Reporter
Mov Disord. 2015 Feb 4.
レボドパ誘発性ジスキネジア
(LID)
を発現したパーキン
の平均数およびセロトニン軸索密度についても両群間
ソン病(PD)患者と発現しなかったPD患者ではセロト
で有意差は認められなかった。
また、PD患者のセロトニ
ニン作 動 性 神 経 の マ ーカー 値に差 異 は な いことを
ン作動性神経マーカー値とLIDの重症度との間に相関
David Williams(Monash University,
性はなかった。
Melbourne, Australia)の研究チームが明らかにし、
Movement Disorders誌に公表した。セロトニン作
本研究チームは、
「これらの結果から、LIDを発現した患
動性神経はレボドパから変換されるドパミンの放出で
者と発現しなかった患者でセロトニン作動性神経の線
中心的な役割を果たすことから、セロトニン作動性神経
条体への入力に差はないことが示唆される」と述べて
の変性によりLIDの発現が抑制されるとの仮説が提唱
いる。なお、LIDを発現した患者と発現しなかった患者
されているが、本研究結果はこの仮説に反するもので
との間において、確立したリスク因子であるPD罹病期
あるという。
間(16.3 vs 11.8年、有意差あり)および最大レボド
本研究の対象はPD患者44例と年齢および性別を一
ては差を認めたが、その他の臨床的特徴は概ね同様で
致させた対照17例であった。対照の死後脳組織に比
あったことが示された。
パ当量(946 vs 514 mg/day、有意差なし)につい
べPD患者の死後脳組織では、被殻のセロトニン濃度に
差はなかったものの、尾状核のセロトニン濃度が有意に
近年の研究から、
レボドパが投与されLIDを発現した患
低下していることが明らかにされた。
しかしながら、PD
者は発現しなかった患者に比べ、セロトニントランス
患者でセロトニン作動性神経の変性所見は認められ
ポーターとの結合に明確な差は認められないものの、
ず、セロトニン作動性神経システムの変化は構造上より
ドパミンの放出は増加していることが示されている。
こ
も機能上のものであることが示唆された。
のことからも、本研究チームは、セロトニン作動性神経
システムの障害は構造上よりも機能上のものであるこ
さらに、PD患者を生前にLIDを発現した患者33例と発
とが支持されると考察し、
「 PDの病態生理における
“セ
現しなかった患者11例に分けてセロトニン作動性神経
ロトニン”の機能障害の関与については十分に解明さ
マーカー値を比較したところ、両群間で差は認められな
れていないが、本疾患の非運動症状を検討する上で非
いことが明らかにされた。すなわち、LIDを発現した患
常に重要であろう」
と締めくくった。
者と発現しなかった患者との間で、尾状核および被殻
のどちらにおいても線条体のセロトニン量およびセロ
トニントランスポーター密度に有意差は認められなかっ
た。同様に、背側縫線核のセロトニン作動性神経細胞体
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