脳深部刺激はパーキンソン病患者の生存期間を 延長させる可能性がある By Eleanor McDermid, Senior medwireNews Reporter J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2013 Jul 10. 視床下核をターゲットとした脳深部刺激(STN-DBS) 本試験では、無作為化はなされていないものの、ベース を受けたパーキンソン病(PD)患者の生存率は、薬物療 ライン時における年齢、性別、罹患期間、投薬量および 法 の 継 続 を 選 択した P D 患 者 よりも 優 れることが 、 うつ病の併存などの患者背景は、両群間でよく一致して Desire Ngoga(The University of Birmingham、 いた。その上で、Ngogaらは、 「 STN-DBSを拒否した UK) らの試験で明らかになった。本試験結果が掲載さ 患者は、実はPDの重症度が高く、そのために医師や患 れたJournal of Neurology, Neurosurgery & 者が意識的または無意識的にSTN-DBSに対してより Psychiatry誌によると、10年間の追跡期間中に死亡 大きな懸念を抱いたのかもしれない、 という可能性はあ した患者の割合は、薬物療法群では41.5%であったの る」 と述べている。 しかしながら、実際には、薬物療法群 に対してSTN-DBS群では17.0%であり、交絡因子を よりもSTN-DBS群の方がベースライン時におけるア 調整後の解析では、71%のリスク低下効果(ハザード ポモルフィンの使用率が高いことから、STN-DBS群の 比0.29)が示されたという。 方が症状の重症度がわずかに高かった可能性が示唆さ れている。 さらに、STN-DBSの選択肢が提示された患者147例 のうち、薬物療法の継続を選択した患者41例では試験 また、Ngogaらは、STN-DBS群で認められた生存率 期間中の介護施設への入院率が37%であったのに対 の改善には誤嚥性肺炎のリスク低下が寄与していた可 して、STN-DBSを受けた患者106例ではわずか6% 能性があると考えている。STN-DBS群で死亡した患 であり、 この差は交絡因子の調整後も有意であることが 者の原因はさまざまであったが、呼吸器系の原因によ 示された。 る死亡はわずか2%であった一方、薬物療法群では8 例(20%)で認められ、 この8例中7例は肺炎による死 Ngogaらは、 「 STN-DBSの選択肢について重症PD 亡で、 うち3例は死亡診断書で誤嚥と記されていた。同 患者と話し合う際、通常、期待される効果として生存期 氏らは、複数の研究でSTN-DBS下の患者における嚥 間の改善が言及されることはない」 と述べており、今回 下の口腔咽頭相の改善が認められていることに触れ、 得られた結果について、 「無作為化比較試験の実施はも 「このことは、嚥下の口腔咽頭相が改善されれば誤嚥 はや困難かもしれないということを踏まえると、より大 性肺炎のリスクが低減される可能性があることから、 規模な患者コホート試験で検証する必要がある」 と考え STN-DBS施行患者で認められた生存率改善のメカ ている。 ニズムとして関与しているのかもしれない」 と考察して いる。 Medwire Newsは、Springer Healthcareが運営している医療業界者向けの独立性の高いニュースサイトです。2000年からサービスを開始し、注目すべきニュースを1日平均20本配信してい ます。Medwire News編集部では、国際的に認知されているジャーナル(学術誌)の論文、国際学会の速報、医療基礎研究の報告を情報ソースとしています。 これらのニュースは、急速に発展を する医療開発や臨床試験の現場に向けて最新の研究結果をお伝えすることを目的に、経験豊かなメディカル・エディターによって最新かつ信頼できるニュースを配信しています。 掲載されたニュースには海外で実施された試験が含まれており、本邦で承認されている効能・効果および用法・用量とは異なる場合があります。掲載の情報は第3者機関により提供されており、 情報 確性、通用性、完全性 て グラクソ・スミスクライン株式会社が内容について関与するものではありません。 日本語レビューの精度については細心の注意を払っておりますが、 その情報の正確性、 完全性について は、 いかなる責任を負うものではなく、保証するものではありません。
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