学術集会 2日 一鱒4一 66 クラビオAGによる肉芽増殖およぴポケット消失 効果の検討 高岡駅南クリニック ○塚田 邦夫 クラビオAGはアルギネートに属するウエハース様の 軟らかい板状の国産創傷被覆材である。製品の特徴と しては、肉芽障害作用を持つカルシウムイオン含量が 少ないため、従来のアルギネートより肉芽増殖作用が 強いとうたわれている。そこで肉芽増殖作用の強さが ポイントとなるポケヅトを有する褥創に適用したので、 その使用経験を紹介する。 [症例]症例は平均78±6β歳の、仙骨部にIV度の褥 創を有する寝たきりの患者5例で、壊死組織や感染の 徴候は認めなかった。使用方法は板状のクラビオAG をちぎり押しつぶして創面に3∼4枚重ねて用い、ビ ジダーム又はオプサイトで密閉する閉鎖性ドレヅシン グ法で行った。交換は1日1回とした。3例ではプロ スタンディン軟膏を併用した。 褥創の最大経は110∼20㎜で、ポケットの深さは20 ∼5mmであった。クラビオAGによる治療観察期間は 70∼8日、平均36.4±239日であった。ポケヅトの消 失は5例中3例に認め、他の2例でもポケットは縮小 した。創の収縮率を褥創の最大径とそれに直行する径 の乗数でみると、平均54.0±30,9%の収縮を示した。 [考察]これまでのアルギネートは繊維状であったが、 クラビオAGは板状の構造のためやや使いにくい印象 を持つ。創面に用いるとかなり強い吸水力はあるが、 創そのものを乾燥させる危険は少ないように思われた。 これは従来のアルギネートと同様である。浸出液を吸 収した後ドレッシング材はほとんど創面に残らず、創 保護作用が有るか心配したが、肉芽の盛り上りは確か に優れており、従ってポケットの縮小効果も満足のい くものであった。構造的に軟膏剤の吸収が良さそうで あったので、肉芽増殖作用の強いプロスタンディン軟 膏を併用したところ、相乗的に効果が強まる印象を得 た。プロスタンディン軟膏は油性軟膏であるため圧迫 の強い褥創では創面にとどめにくい欠点が有ったが、 クラビオAGとの併用で欠点が補正された。 クラビオAGは状来のアルギネートより肉芽増殖作用 が強い印象を得、使用にあたってやや使いにくい点を 差し引いても今後に期待できるドレヅシング材である。 67 療養型病床群における褥瘡ケアーの経過 〈食品包装フィルム(以下ラップ)による 閉鎖療法を用いての検討〉 木村病院 鯖江リハビリテーション病院 O鷲田純子 井藤めぐみ 丹尾由紀子 木村明 [目的]前回は褥瘡委員会の設置,スタッフの教育及 びブレーデンスケールを基に予防的ケアーにカを入れ その過程と結果について述べた。今年はその基本的な 取り組みに加え,P S S Tの導入と,ラップを用いた 閉鎖療法を取り入れ実践してきた結果,若干の知見を 得たのでここに報告する。 [方法]①H11年5月∼H12年4月において病院 全体の有褥瘡者数の推移を表示する。②ラップを使用 する前後の症例を,創部面積治癒過程・生化学検査結 果・P S S T面で比較検討する。 [結果]①P S S Tにより褥瘡の経過を明確にするこ とができ,病院全体での有褥瘡者数においても大きな 減少が見られ急速な治癒が図られた,,②ラップ閉鎖療 法を開始し6ヶ月しか経っておらず確実な結果は得ら れていないが,閉鎖療法の利点を実感することが出来 た。 [症例1]63歳男性(左視床出血)で仙骨部に黒色 懐死と巨大なポケットを有する褥瘡を認めた。H11 年7月黒色懐死に対しデブリードマンを行い,加えて MR S A感染を認めた為,ネグミン消毒後生理食塩水 で洗浄し白糖・ポピドンヨード配合製剤をガーゼに塗 布し処置を行う。8月MR S A消失にて,塩化リゾチ ーム製剤処置に変更する。9月塩化リゾチーム製剤を 塗布してラップで覆い,ロイコポールで固定する。 ガーゼは使用中止する。10月浸出液の量も減り処置 回数は1回でよくなる。現在,ラップ療法を開始後6 ヶ月経過し,一部にポケットは残るものの75≦瘡部 く100の表皮化が見られている。 [考察]今回①褥瘡予測ツールと②褥瘡判定ツールを 用い③適切な処置を行うことにより,褥瘡発生の予防 と治癒促進が図れた。療養型病床群で療養生活を送る 高齢者のQOL向上の為にも,今後も適切な処置方法 やツールヘの取り組みなど新しい技術・知識への研鎖 が必要と考える。
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